深まる謎と妙な気配
私はホログラムを映し出すテーブルを弄って、他のホログラムなどを映させていく。映し出されるのは怪物ばかり。
丸い身体から蜥蜴の頭が複数生えている怪物。
豚のような身体だけど、肉が少なく肋骨が剥き出しになっている。その身体から骨張った足がいくつも生やし、大きな牙を持ったゲジゲジのような怪物。
脚ではなくヒレが生えた牛のような怪物。
ミミズが絡まり合ったような怪物。
ウイルスのファージのような見た目で頭部がクリオネのように開いている怪物。
そんなものが沢山でてきた。それを見た時に思った事は、最初の人の上半身の怪物を見た時と同じ恐怖心が湧き出てくるというものだった。
「…………これ全部地下に浸透してくるの? 形はあってないようなものって考えるのが一番かな」
一応スクショで全部撮影しておく。そして、他にもホログラムで分かる事がないかを調べて行く。こういうものなら、もっと色々と見つけられる可能性がある。特にこの施設の地図とか。
色々と適当に操作していると、この施設の地図が現れた。いや、設計図とかに近いのかな。問題があるすれば、現在位置が分からないっていうところ。
「えっと……探すべきものは……縦穴。ここに落ちてきた場所」
全体の見取り図から、縦に長い穴を探す。そこが私が落ちてきた場所だ。そう思ったのだけど、その穴は複数箇所あった。だから、次に調べるのは、発電室。穴の近くに発電室があれば、そこが私が落ちた穴って考えられる。
「…………全部の穴の近くに発電室がある。区画別に発電室を作ってるの? てか、なんで縦穴の近くに発電室を……縦穴は後付け? だから、端っこに作った発電室の近くになっているのかな。全体的にシンメトリーで作られた場所……という事は、大体の道程はどこでも同じ。ここからこっちに行って……階段を上ってから、こっちに移動して、階段を上がって、そこからこっちに移動してずっと階段を上がる。何で同じ階段で繋げなかったの……」
スクショを撮って、いつでも見返せるようにしておく。これで脱出の目処は立ったので、他に情報に繋がるものがないか、周囲の機械を調べて行く。脱出できる事が分かったら、ここで得られる情報が気になり始めたから。
ホログラムには、他の情報がないのでパソコンの中に何かがあったら良いと思ったら、今度はマップが出て来る。
「これは……うん。この大陸のマップかな。ここら辺がユートアルパで……ここに来るとユートゼータ。それで、このまま行くとユートイオータ。じゃあ、ここはここら辺かな。バッテン印は……怪物の落下地点。ここの近くにも一体落ちてきてる。クレーターがある感じだよね。あ、いや……そもそもこの施設が出来た年代と怪物が落ちてきた年代がどのくらいなのかで、クレーターがどうなっているのかが変わって来るかも……」
ここで分かった事を調べるにしても、この跡が絶対に残っているとは言い難い。だから、参考にするのは光景じゃなくて、この地図になる。しっかりとスクショしておいて、他に情報がない事を確認した後、私はその部屋を出て地上への道を進んでいく。
さっきの3Dマップを何度も確認して進んでいるので、特に迷うという事はない。でも、迷うという事はなくても問題は生じる。
「嘘ぉ……」
呆然と呟く私の前にあるのは、大量の瓦礫。通路が完全に塞がっている状態だった。照明が明滅しているので、瓦礫の状態は見にくいけど、何とか隙間がないか探す。こういうのは、隙間から向こうに抜けられるというのが、有りがちだから。
「う~ん……全然ない……」
どこを調べても、私が通り抜けられそうな隙間はなかった。つまり、本当に通行止めになっているらしい。スクショを見て、別の通路を探している時、急に背後に気配を感じた。
ぞわっとしてすぐに背後を振り返る。
「…………」
周囲を見回して気配の正体を探るけど、何も見当たらない。そもそも私は気配を探るスキルを持っていない。だから、こんな気配を感じるという事はないはずなのだけど。
「えぇ……ホラーなの……?」
別に苦手という訳では無いけど、好んでプレイするゲームのジャンルじゃない。ただ幽霊相手に私の黒帝がどこまで使えるのかが問題になる。
周囲を見回しながら、回り道出来る場所に向かって歩いて行く。途中にある入れる部屋も調査しておいたけど、情報が残っている部屋は少なかった。
そこで分かった事は、この場所が研究施設であり、怪物を安全に分析してその討伐方法を探るために建造されたらしい。地上に大きな施設を建てると、あの怪物に見つかって破壊されるみたい。
でも、今はそんな事はない。街は発展しているし、図書館みたいな大きな施設も普通に存在しているから。
怪物はいない。でも、怪物が倒されたみたいな情報はどこにもない。そもそもこの場所に死体が残っているし、怪物が完全にいなくなったなら、死体とかも埋葬はしてあるはずだし……浸透したっていうくらいだし、この星の中核で眠りに就いているっていうのが正しいかな。
だけど、結局この場所が何で音楽で開くような仕組みなっているのかに関しては、全然分からなかった。
情報的にはそんな感じだけど、あれから何度も変な気配が背後だったり、暗い部屋の中だったりで感じる事があった。気配を感じた場所を詳しく調べてみたりもしたけど、何も見つからない。何かが追ってきているようなそんな気味の悪い感覚。
それを覚えた私は、早くこの場所から抜け出さないといけないという考えが頭を過ぎり続けたので、急いで出口まで向かって行った。




