四人揃っての探索
翌日。私はパラユニにログインした。今日は、ステラミルクの四人で探索をする事になっている。四人揃うから、偶にはライブではなくて探索をしてみようという事になっていたからだ。
フォルティさんと一緒に地下に降りると、そこには既にシェリアさんとアルシャさんがいた。
「時間よりも早いわね。まぁ、探索に時間を掛けられると考えれば良いわ。それにしても……綺麗な格好ね。冒険者というよりも、コンクールにでも出そうな感じね」
「実際、そんなイメージで作って貰ったようなものですしね」
「ヴァイオリニストって感じだもんね。似合ってるよ。シェリアもそう言いたいみたい」
「ちょ……まぁ、そうね。リラに似合ってるわ」
「あ、ありがとうございます……」
「それじゃあ、早速行くわよ。まずはユートゼータに転移するわよ」
それぞれ戦闘用の服に着替える。アルシャさんの全身鎧姿は久しぶりに見る。ライブをしている時との印象ががらりと変わる。
そして、ユートゼータに転移した。
ここからどこの街に向かうかが決まる。ユートゼータからは三つの街に繋がっている。つまり三つの道があるという事だ
まずはユートエータへと繋がる大きな山道。グランドマウンテン。そこから二つ先の街まで続く山脈でもあるらしい。街の特色は、石工などが多くいて、中には採掘場などもある。
鍛冶系統の生産織は、皆ここを選ぶらしい。いっぱい鉱石が得られて、鍛冶のレベル上げに繋がってくるから。
山道という事もあり、歩きにくさがあるため割と不評な道らしい。
次にユートテータへと繋がる大きな湖畔。この湖畔自体も三つの道に分かれる。中央の湖を渡る水中ルート。湖の上部と下部を行くルート。実のところ素材面で一番良いルートは水中ルートらしい。上部と下部にも湖畔で取れる上等な薬草があったりするらしいけど、水中素材はかなり高価で売れるとの事。
問題があるとするなら、酸素の問題。水中で呼吸が出来るわけもないから、一々水面に上がって呼吸する必要がある。加えて、水中での動きは地上とは異なり、モンスターと戦うのも一苦労。だから、良いルートではあるけど、不人気なルートとなっている。
最後にユートイオータへと繋がる遺跡群だ。ここから二つ先の街まで連なる遺跡群は、パラユニのストーリーに関わっているのではないかという事で調べる考察好きもいるらしい。
機械っぽいものからオカルトっぽいものまで何でもある遺跡群は、下手に道を逸れると地図が読めなければ一生迷子になるような場所で、似たような場所が多いとのこと。でも、調べ甲斐があるらしい。
この三つのルートから、一つを選んで二つ先の街までは一直線となる。つまりルート選択は、基本的にここから三つ先の街でしか出来ない。
「さてと、探索するルートはイオータルートで良いのよね?」
「一応、攻略情報でもストーリーに関わっているかもしれないというものがあるので、私達の音楽が関わってくるかもしれないかなと」
「まぁ、そうね。私としてもそれが良いと思うわ。ここで音楽をやっているのは私達だけで、その音楽がストーリーに関係していると知っているのも私達だけだものね。新しいものが発見出来るかもしれない」
「それじゃあ、私が先頭で歩くね。リラちゃんは、速度上昇のバフを演奏して。戦闘に入ったら、攻防上昇でお願い」
「は、はい……!」
パーティーでの行動となれば、私の役割はサポートになる。寧ろ、サポートに専念できると言った方が良い。私のサポート能力は、キューちゃんお墨付きだから、ちょっと自信あるしね。更に、水薔薇の披露服のおかげでバフの効果が上がっているから、お墨付きの上をいける。
私は黒帝を使って速度上昇(中)の演奏をする。私達全員の移動速度が上がり、私達はユートイオータへと繋がるエリアであるルインズナイトへと足を踏み入れた。
事前に得ていた情報から、大体どんな場所なのかは理解していたけど、実際に目にすると、文字から来る印象とは全く違うものになる。
ルインズナイトは、基本的には草原がメインとなっている。その中にストーンヘンジのような石で出来た遺跡だったりが存在する。その遺跡は長年手入れなんてされていなから、多くの草木に覆われている。石が辛うじて見えるかな程度しか露出していないものもあるので、その全てを調べるのは一苦労という印象だ。
今のところ石の遺跡しか見当たらないので、機械っぽいものが見えるのは、道から逸れた奥とかになるのかな。
「身体が軽いわね」
「リラちゃんのバフのおかげだね。ただ歩くにしても足取りが軽いと、普段よりも速く歩けるし」
「それとこの金色の光が浄化効果と回復効果を持ったものなのよね?」
「そうですね。この範囲にいれば、基本的に綺麗になりながら回復します。回復がどの程度のものかは分からないですが、それは今日分かれば良いかなって感じです」
「街中でダメージを受ける事なんてほとんど無いし、そこは仕方ないね」
そう。回復効果はあるのだろうが、まだその効果を実感するような事にはなっていない。そもそもダメージを受ける事がほぼないから。
「そうこう言っているうちに来たわね。スカベンジャースライムよ。基本的に死肉を食べるってもの何でしょうけど、見境なく消化してくるから気を付けなさい」
そう言ってシェリアさんが弓を構える。私は速度上昇(中)から攻防上昇(中)にバフを切り替える。飛び掛かるスカベンジャースライムを、アルシャさんが盾で上空に打ち上げる。
スライムという身体の形状の関係で、形が常に変わっているスカベンジャースライムだけど、打ち上がった何かを追うような身体の動きをしている。その何かはスカベンジャースライムの体色よりも少し濃い球体だ。
シェリアさんは空中を流れるその球体を射貫いた。クリティカル判定のダメージエフェクトが散る。
そこに接近したフォルティさんがシェリアさんが射貫いた球体を双剣で貫く。スカベンジャースライムは、その二撃で消え去った。
「うわっ!? 耐久がめっちゃ削れた!?」
「それがスカベンジャースライムの特徴の一つよ。大人しく私に任せなさい」
「はい……」
武器の耐久を削られてしょんぼりとしているフォルティさん。
スカベンジャースライムの身体は近接武器の耐久値を大幅に削るものらしい。
「あ、アルシャさんは……だ、大丈夫ですか……?」
「うん。耐久値が高い盾を使ってるからね。それに普段から予備も用意してあるから問題ないよ」
「本当なら攻撃させずに倒すのが良いのだけど、身体が薄く伸ばされた状態じゃないとクリティカル判定が出にくいのよね。後はリラの攻撃は通じると思うわ。次はやってみる?」
「そ、そうですね……そ、それが確実なら……」
「なら、その方針でいくわよ。フォルティは、スライムに対してだけは前に出ないで良いわ。武器を大切にね」
「はい」
そうしてモンスターと戦いつつ、連携の仕方を模索しながら探索を始める。




