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パラレルユニバースオンライン~コミュ障女子高校生のリア充への道~  作者: 月輪林檎
自らの心を自覚し向き合う時間

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図書館清掃を思いも寄らぬ方法で

 今日はそのまま二時間練習した後、シェリアさんとアルシャさんがバイトのため、早めにログアウトした。

 私とフォルティさんは、まだ時間があるため、図書館の大掃除を手伝ってもらう事になった。これはフォルティさんからの提案だ。二週間で全体の大掃除が本当に終わるかは分からない。学校もあるので、出来る時間が限られてくるからだ。来週はお母さんが戻ってくるので、夕食を作ったりする必要がない分、まだマシになるはずだけど、それでもお昼丸々使えないので、人数でカバーしようという提案だった。

 私としても有り難いし、フォルティさんも特にこの後用事がある訳じゃないらしいので、手伝って貰う事にした。

 司書さんに確認したら、問題ないという事だし。まぁ、確認してくれたのはフォルティさんなんだけど。

 フォルティさんもこの前の屋敷掃除を頑張った結果、【浄化】は持っているので、掃除の効率は上がる。


 手分けして作業しているので、いつも通りに掃除をするだけだった。だから、自然と鼻歌をくちずさんでいた。


「リラさん、上機嫌?」

「うわっ!?」


 唐突にフォルティさんの声がしたから、驚いて肩を跳ね上げた。その拍子に掃除のために上っていた梯子が傾いていく。


「あわわわ……?!」

「おっと!?」


 フォルティさんが素早く梯子を支えてくれたおかげで、事なきを得た。


「ごめんね。驚かせちゃったね」

「う、ううん……だ、大丈夫……」

「それにしても……私と同じ時間やったのに、掃除出来てる範囲が全然違うね。【聖歌唱】が関係してるのかな?」

「え?」


 【聖歌唱】が関係しているとは思えなかったので、私は完全に戸惑ってしまった。それを見たフォルティさんは何かに納得いったように手を鳴らした。


「ああ、なるほど。リラさん気付いてないかもしれないけど、鼻歌でも【聖歌唱】っぽいの発動してるよ?」

「ふえっ!? う、嘘……」

「本当本当。周辺に金色の光が薄ら広がっていたし。ちょっと試してみようか。もう一回鼻歌してくれる?」

「あ、う、うん……」


 フォルティさんに言われた通り、鼻歌を口ずさむと確かに周囲に金色の光が散っているのが分かる。でもかなり薄いし、掃除に集中していたら分からないのも無理はないと思う。


「うん。【聖歌唱】の効果範囲内だったら、私の【浄化】の効果も上がる。多分、そういうものの効果を向上させる効果があるんだと思う。だから、リラさんの掃除が効率良く出来ているのも鼻歌のおかげだね。私もなるべく効果の範囲内で作業しておくかな。その方が作業も早く済むし」

「そ、そうだったんだ……き、気付かなかった……か、回復浄化効果を持つって説明だけだったから……」

「ああ、それなら、浄化が二重に掛かってるのかもね。【聖歌唱】と同時に【浄化】の効果が入るから一気に綺麗になるって感じ」

「な、なるほど……」


 【聖歌唱】の効果に記載されていないものがあるよりも、二つの効果が重なる事によって、効果が上昇したかのように見えるという方が納得しやすい。


「効果範囲は……十メートルくらいかな。多分、近ければ近い程効果が強いのかな。鼻歌でこうなると、普通に歌ったら、もっと効果範囲は広いかも」


 私を中心に効果が広がるから、こうして確認してくれる人がいないと効果がどこまで届くかどうかは分からない。フォルティさんがいてくれて良かった。


「そうなると、図書館で普通に歌っていたら、図書館全体が綺麗になる?」

「えっ……で、でも……ふ、普通に迷惑かも……?」

「それはそうだろうね。いや、違うかも。司書さんに確認してみよう。方法があるかも。図書館に相応しいね」

「?」


 私が首を傾げると、フォルティさんが司書さんの方に向かうのでその後に続いていく。


「すみません」

「ん? どうしたの? 本を探してるとか?」

「いえ、掃除の方で一つやり方がありまして。リラさんが歌うと周囲を綺麗にする効果が広がるみたいなんです。なので、ここで歌えば図書館全体に効果を広げる事が出来るかもしれないんです。リラさんに歌う許可を頂けませんか?」

「う~ん……」


 これには、司書さんも即答はしなかった。静かに本を楽しむ場における歌となると、読書の妨げになる可能性が高い。司書としては即座に許可を出すのは難しいのだと思う。


「や、やっぱり難しいよ……」

「ううん。アメイジンググレイスならどうかな?」

「讃美歌の?」

「うん。あの手の曲なら、ここの図書館にも合いそうじゃない?」


 ケルン大聖堂みたいな建築物であるこの図書館なら、アメイジンググレイスが流れてもおかしくないっていうのがフォルティさんの考えだ。あの大聖堂でアメイジンググレイスが歌われるかは分からないけど。


「どんな曲?」

「あ、えっ、えっと……」


 私は小さい声でアメイジンググレイスを歌う。思えば、私が歌えなかったら、どうするつもりだったのだろうと思ったけど、その辺りを信頼されている感じかな。


「う~ん……まぁそれなら良いかな。あの子みたいな歌だと変に盛り上がるかもしれないから」

「ありがとうございます」


 アルタさんの歌だと皆が盛り上がって、図書館内で大盛り上がりになりかねないけど、アメイジンググレイスのような讃美歌などなら、大盛り上がりはないから大丈夫って事かな。

 アメイジンググレイスで大盛り上がりになったら驚くし。

 フォルティさんは私の方を見てサムズアップする。交渉を成立させるための、フォルティさんの機転は良かった。まぁ、結局図書館で歌うのは色々と罪悪感というか背徳感があるけど、これが一番早くこの場所を綺麗に出来るという事だから、頑張るけど。

 私は図書館の中央に立つ。そして、そこで讃美歌などの静かに聴くような歌を歌う。私から光が広がっていく。どこまで届いているのかは分からないし、本当に綺麗になっているかも分からない。そう思っていたら、視界の端でフォルティさんが両手を使った大きな丸を出していた。どうやら確認をしてきてくれたみたい。


 十分ほど歌い続ける事で、図書館全体への浄化が完了する。私には思い付かなかった方法で、フォルティさんが導いてくれた。フォルティさんと一緒にいて良かったと心の底から思う。

 ここ最近はいつもだけど。

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