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第7話 大将戦の開幕、荒金遥輝の神に拒絶された暴風(ディザスター・ドライブ)

お読みいただきありがとうございます!作者です。

今後は不定期での更新となります。少し投稿日が空いてしまったらすみません。

前回、中堅戦で優しい先輩である棗由依(なつめゆい)が、明治からの超名家・國贓美沙(くにぎすみさ)の前に涙を流しました。

その横で「おままごとの夢はここで終わりだ」と最高調に舐め腐った態度を取る荒金遥輝(あらがねはるき)。

ついに勝負の行方は、最終第3試合――大将戦へと委ねられます。

由依先輩、そしてその兄である仁志の100年の意地を背負い、星野紬がコートに立ちます。

それでは、第7話をお楽しみください!

「次の方、さっさとコートに入ってよ」

勝ち誇った顔でオーダー表を指差す黒鉄学園の1年エース、荒金遥輝。

その生意気な声を置き去りにするように、私は静かにパイプ椅子から立ち上がった。

ベンチでは、先ほど國贓美沙の重量級パワードライブの前にラケットを弾かれ、公然とバカにされた屈辱で、2年の優しい先輩――棗由依がまだポロポロと涙を流して肩を震わせている。

凛が「あいつら、マジで許せない……っ!」と悔しさに唇を噛み締めながら、由依先輩の肩を強く抱きしめていた。

私は、そんな二人の前を通り過ぎ、コートの入り口へと向かう。

地味な長い前髪を、部室で凛がパチッと留めてくれたあの黒いヘアピンでサイドに固定する。

視界が、いつもより何倍も広く、明るくクリアに開けた。

抱えていたプラスチックの籠から取り出したのは、おじいちゃん――星野巌が遺してくれた、使い古された木製の5枚合板ラケットだ。

それを目ざとく見つけた荒金遥輝が、レシーブ位置に入りながらゲラゲラと下劣な笑い声を上げた。

「ハハッ! 何だよその骨董品! そんな大正時代の化石みたいな木のラケットで、俺の最新カーボンラケットの球が受け止められると思ってんの!? 女子の卓球部なんて、やっぱりおままごとなんだよ。1点もやらねえから、泣いてベンチに逃げ帰りな!」

遥輝の言葉には、才能だけで全てをバカにする天才型特有の傲慢さが満ちていた。

これまで「女子の卓球なんてお遊びだ」と、全国の女子強豪88人を絶望させ、泣かせて引退に追い込んできたという最悪の引き出し。

だが、私の耳には、彼の安い挑発など1ミリも届かなかった。

私が背負っているのは、そんな薄っぺらいベスト4の肩書きではない。

戦時中の暗黒時代、贅沢品だと弾圧され、道具をすべて没収されながらも、地下防空壕の暗闇の中で泥まみれになって命を懸けてラリーを繋いだ先祖たちの歴史。

そして、かつて黒鉄学園の闇の罠によって夢半ばで表舞台から去っていった、由依先輩の兄――棗仁志の無念。

100年の絶対防御の結晶が、私の右手にガチリと馴染む。

地味子・星野紬の皮が、内側からバリバリと音を立てて完全に剥がれ落ちていた。

大将戦、試合開始。

荒金遥輝のサービスからだ。

「終わりにしてやるよ、地味子!!」

遥輝がトスを高く上げ、最新のカーボンラケットを電光石火の速度で振り抜いた。

――ッシャアアアアアン!!!

体育館全体の空気が、一瞬で狂暴な風圧に変わった。

遥輝の最大最強の技――『神に拒絶された暴風《ディザスター・ドライブ》』。

打球の軌道が激しい暴風を帯び、猛烈な速度で私のコートへと突き刺さる。バウンドした瞬間に、上回転なのか下回転なのか、物理的に判別できないほどブレる魔球だ。

翠ヶ丘の部員たちが、その風圧に思わず息を呑み、絶望の表情を浮かべる。

だが、私は一歩も動かなかった。

長い前髪を上げたその澄んだ瞳で、暴風のブレを、球の自転を、ミリ単位ですべて見切っていた。

防空壕の暗闇の中で、何万発、何億発と繰り返してきた、極限の『絶対防御の超回転(バックスピン)』。

私は木製のラケットを、ただ静かに、その暴風の真ん中へと差し込んだ。

――スウウウッ。

ラケットが白い球を捉えた瞬間。

体育館を揺るがしていたはずの遥輝の暴風の衝撃波が、まるで魔法のように完全に「無音」へと吸収された。

すべての回転エネルギーを強制的に吸い尽くされ、死んだように無回転になった白い球が、ネットの際、遥輝のコートの最も返しづらいエッジへとポトリと静かに落ちた。

ポン……と、虚しいバウンド音が響く。

荒金遥輝はラケットを構えたまま、その場に固まっていた。

「……は?」

遥輝の顔から、さっきまでの余裕の笑みがスッと消え失せる。

「今、俺のドライブが……消えた……?」

「1対0。翠ヶ丘、星野」

審判の声だけが、静まり返った体育館に冷酷に響き渡った。

(第7話 終わり)

第7話をお読みいただき、ありがとうございました!

ついに始まった因縁の大将戦。荒金遥輝の放つ必殺技『ディザスター・ドライブ』の暴風を、紬ちゃんが100年の防空壕カットで完璧に「無音」にしてシャットダウンしました!

次回、いよいよここから、舐め腐ったガキを21-0のストレートで完封する、紬ちゃんの新技『閃光弾の球(ライトニング・ボール)』の猛攻が始まります!

今後は不定期での更新となります。少し投稿日が空いてしまったらすみません。

紬ちゃんの圧倒的な本気(分からせ)にスカッとしてくださった方は、ぜひ画面下部から、

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それでは、また次回の更新でお会いしましょう!

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