第12話:絶対の処刑台(ギロチン・サーブ)の宣告
【前書き】
お読みいただきありがとうございます!作者です。
今後は不定期での更新となります。少し投稿日が空いてしまったらすみません。
前回、新章である第2章が開幕し、不気味な絶対計算集団『聖ヨハネス茅ヶ崎学園』がその純白の姿を現しました。
第12話、ついにインターハイ予選の火蓋が切って落とされます!
翠ヶ丘高校の攻撃型ギャルエース・一ノ瀬凛の前に立ちはだかる、副部長・塩見會都の冷酷無比なハメ技サービス。その生々しい絶望のラリーをぜひお楽しみください!
「インターハイ予選、神奈川県大会。これより、翠ヶ丘高校対聖ヨハネス茅ヶ崎学園の試合を開始します!」
審判の甲高い声が、張り詰めた体育館の空気を切り裂いた。
第1シングルス。翠ヶ丘高校のベンチから、ラケットを軽く回しながらコートへと歩み出たのは、一ノ瀬凛だった。
サイドのヘアピンが、体育館のライトを浴びてキラリと輝く。
「サクッと1勝持って帰るから、紬、そこでアタシのウイニングショット見てなよ!」
いつもの不敵なギャルスマイル。野生の嵐
『クレイジーな一撃』を宿す凛の瞳には、一切の迷いはなかった。
だが、対面に立つ男――聖ヨハネスの副部長、塩見會都の表情は、どこまでも平坦だった。
氷のような三白眼。純白のユニフォームの襟元をスマートに整え、會都は感情の失せた声で淡々とスマートラケットのグリップを握り直す。
彼の視線は凛を見ていない。ただ、凛の足の位置、肩の傾き、およびラケットの角度から弾き出される『データ』だけを、脳内のサイバー・ラボで冷酷に処理していた。
「第1ゲーム、塩見サービス」
審判の合図とともに、會都が静かにピンポン球を左手に乗せた。
トスは低く、精密機械のように寸分の狂いもない高さへと上がる。
――『絶対の処刑台』。
会場中の誰もが、會都の放った球の軌道に戦慄した。
「……っ、低っ!?」
観客席から見ていた私が、思わず声を漏らす。
球速はそれほど速くない。しかし、放たれた球は、ネットの白帯から『わずか0.5ミリ』の隙間を、まるでカミソリの刃のようになぞりながら鋭く滑り込んできたのだ。
弾む高さは、卓球台の表面からほとんど離れていない。
「なっ、あんなの……ラケットが入んないじゃん!」
凛が野生の直感でガバッと前へ踏み込み、球の下へラケットをねじ込もうとする。
だが、あまりの超低空軌道の前に、ラケットの先端が卓球台のラバーの表面を空しくかすった。
――パシッ。
球はレシーブされることすら許されず、エッジを鋭く削って床へと転がっていく。
「1対0」
「……チッ。たまたまエッジに引っかかっただけっしょ」
凛が悔しそうに前髪を払い、再び構える。
しかし、それは偶然などではなかった。
「2対0」
「3対0」
「4対0」
狂いなく、全く同じ軌道。ネットの上0.5ミリの針の穴を通すような処刑台の刃が、容赦なく凛のコートへ突き刺さり続ける。アドリブを仕掛けるための『レシーブ』という大前提そのものを、最初から物理的にハメ殺しにくる、極限まで磨き上げられたリアルな絶望。
「ふぅ……」
連続でノータッチエースを奪いながらも、塩見會都の額には、汗ひとつ流れていなかった。
相手を見下すことも、嘲笑うこともない。ただ計算通りに、淡々と、目の前のギャルを処刑台の露へと変えていく。
ベンチの由依先輩が、青ざめた顔で両手を強く握りしめていた。
かつて、この冷徹な絶対計算の前に、兄・仁志さんの夢がへし折られた悪夢が、再びコートの上で再現されようとしていた。
(第12話 終了)
【後書き】
第12話をお読みいただき、ありがとうございました!
ついに塩見會都副部長の『絶対の処刑台』がベールを脱ぎました!
ネットの上わずか0.5ミリを通すという、現実の卓球ベースだからこそ「本当にいそうでいない」生々しいハメ技の恐怖。凛ちゃんのアドリブ無双が封じ込められ、翠ヶ丘高校は波乱の幕開けとなります!
今後は不定期での更新となります。少し投稿日が空いてしまったらすみません。
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それでは、また次回の更新でお会いしましょう!




