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第60話【義妹とアフタヌーンティー】



「ゆうくん、映画楽しかったね♪」

「ああ、意外と楽しめたな」


 あの後、映画を見たわたし達は約束のアフタヌーンティ―に来ていた。

 アフタヌーンティーは三段のスタンドにいろんなデザートとスイーツが並ぶ定番のものだ。


「このキーホルダーも買ってくれてありがとうね♪」


 そして、ここに来る前にアニメイドというアニメショップで、わたしはゆうくんにちいキモのキーホルダーを買ってもらっていた。


「今日は誕生日だしな。誕生日プレゼントってわけじゃないけど……今日の記念に桃花に何か買ってあげたかったからな」

「えへへ♪ ゆうくん、ありがとう!」


 そう言って、わたしはゆうくんから貰ったキーホルダーを小さな袋に入れて鞄に仕舞った。


 わたしは知っている。ゆうくんが実はもう一つ誕生日プレゼントを用意しているのを……そして、それをどのタイミングで渡すか迷っていることも知っている。


 流石に誕生日プレゼントの内容までは知らないけど、そのためにバイトを頑張っていたのも知っているし、今日の為になれない女性用のプレゼントを選んでいたのも知っている。


 知っていると言うかゆうくんは隠せているつもりだったのだけどバレバレだった。


 だって、夏休みほぼ同じ部屋で寝たり過ごしていたわけで、ふとした空いた時間に女性用のアクセサリーを見ていたり、急に夏休みになってバイトを始めたり、挙句の果てにはわたしが眠ったと思った横で『誕生日プレゼントどうしようかな……』なんてつぶやかれていたらバレるのは当たり前だ。


 だけど、わたしはそんなゆうくんが大好きだ。


 サプライズのつもりで映画やアフタヌーンティーの予定を立てて、それなのに行きたいアフタヌーンティーのお店や見たい映画を堂々と聞いて来るゆうくんが大好きだ。


 誕生日プレゼントを用意しているのになかなかタイミングが分からず渡せずにいるゆうくんが大好きだ。




「あの日のなたの言葉と美しい時が~♪」


 アフタヌーンティーの後、カラオケに来てわたしの歌を楽しそうに聞いてくれるゆうくんが大好きだ。


「ゆうくんは歌わないの?」

「俺は桃花の歌を聞いているだけで幸せだよ」


 わたしが歌うのが好きだからと言って聞き手になってくれるお兄ちゃんなゆうくんも大好きだ。


「夢の中で見えた未来のこと~♪」


 ちゃんと、わたしの歌を聞いてくれるゆうくんが大好きだ。


「カラオケって、イチャイチャしたらダメなの?」

「歌う所だからな……まぁ、ハグくらいなら……」

「じゃあ、お兄ちゃん! ぎゅう~ってして♪」

「はいはい、ぎゅう~」


 そう言って、優しく『ぎゅう~』ってしてくれるゆうくんが大好きだ。


「ちゅー」

「いや、ちゅーはダメだろ」


 なんかエチケット的にカラオケでちゅーはダメだと線引きするゆうくんも大好きだ。


「ぶぅー……」

「頭をなでてやるから拗ねるなって」

「にゃ~♪ えへへ……♪」


 そして、なんだかんだでわたしを甘やかしてくれるゆうくんが大好きだ。


「お兄ちゃんの歌も聞きたいな」

「仕方ないな……」


 そして、このあと、わたし達は程よくイチャイチャしながらカラオケを楽しんだ。




「ゆうくん、たくさん歌ったね!」

「ああ、まぁ、歌ったのはほとんど桃花だったけどな」

「それでも、いいの!」


 そして、わたし達はカラオケを出て家へと帰る所だった。

 もう、楽しかったデートも終わりだ。


 すると、ゆうくんが立ち止まって振り返るように言った。


「桃花と一緒に暮らすようになって、いろんな初めてを経験したよな……」

「ゆうくん……?」

「今日の誕生日デートもそんないろんな初めてを桃花と経験したくてプランを組んで来たんだ。」


 確かに、ゆうくんに言われて、今日のデートは初めての映画に初めてのアフタヌーンティーに初めての二人カラオケと初めてづくしなんだと実感した。


「ゆうくんってばそんなことを考えていたんだ……」

「ああ、初めての……誕生日デートだからな」


 そういうと、ゆうくんはこのデートの間鞄からいつ取り出そうかと迷っていたそれをついに取り出した。


「ゆうくん、これは?」

「本当の誕生日プレゼントだ。桃花の誕生石のネックレスを用意したんだ。俺のバイト代だとこんなちっちゃなサファイアのネックレスしか用意できなかったけどな」


 それは小さなハート型の青い宝石が先についたシルバーの綺麗なネックレスだった。

 わたしはそれを受け取って自分の首にさっそくつけてみた。


「えへへ♪ ゆうくん……似合う?」

「ああ、とっても似合うよ」


 そして、ゆうくんはわたしの体を抱きしめてこう言ってくれた。


「これからも、いろんな『初めて』を二人で経験していこう」

「うん……お兄ちゃん!」


 つい感極まってわたしは『お兄ちゃん』と返事をしてしまった。

 そんな照れを隠すためにわたしはお兄ちゃんの目を見つけて唇を差し出した。


「桃花、好きだよ」

「ゆうくん、わたしも……」


 そして、わたしの初めての誕生日デートはゆうくんとのキスで素敵な思い出の一ページになった、





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