第59話【義妹と映画館】
「ゆうくん、まずは映画館に行くんだよね? なんの映画を見るの?」
外に出ると、手を繋いだ桃花が俺を『ゆうくん』と呼びそんな質問をしてきた。
最近は夏休みだったおかげで『お兄ちゃん』呼びが多かったが今日はデートだから、または人の目があるからか『ゆうくん』呼びで通すのだろう。
そして、俺はそんな桃花の質問に返答をした。
「映画は『ちいキモ』を見ようと思うんだがどうだ?」
「わぁ~! わたしが見たいと思っていたやつだ! 賛成♪」
「確か桃花は『ちいキモ』好きだったもんな」
「ゆうくんってば覚えてくれていたんだ……えへへ♪」
そういうと、桃花は俺の腕に嬉しそうに自分の腕を絡めて来た。
ちいキモ、たしか『なんか小さくてキモくてかわいいやつ』の略称だったかな。女性に人気で桃花も大好きな漫画のアニメ映画だ。
キモかわと呼ばれるキャラクター達がサッカーW杯優勝を目指すために『特別な監獄へご招待』と書かれた招待状を持って、W杯優勝するために合宿を決めたキモかわ達が生き残りをかけて様々な試練に立ち向かう……という感じの話だった気がする。
「あとは、映画を見たらアフタヌーンティーにも行こうと思っているだけど、どうかな?」
「それって、わたしが前に行きたいって言ってたお店のやつ!?」
「そうそう、あの予約が必要なやつな」
「もしかして、ゆうくんってば……今日、わたしが今までで行きたいって言ってたお店でデートを考えてくれたの?」
「バレたか……」
「だって、ゆうくんの口から『アフタヌーンティー』なんて単語出ると思わなかったもん!」
そう、今日のデートコースは事前に夏休中に桃花から『見たいといった映画』や『行きたいと言ったお店』をリストアップして作ったデートコースだ。
「前に二人でプールデートに行ったことがあっただろう?」
「うん! あのウォータースライダーがあったやつだね」
「あの時に、俺は桃花にあんまり『彼氏らしいこと』をできていないじゃないなと思ってな」
「ゆうくん……」
「だから、今日は桃花のために『彼氏』としてできることをしてやりたいんだ」
いままでは、夏休みにプールに行ったくらいでデートもできていなかったし、俺もバイトが忙しくて『彼氏らしいこと』をしてやれなかったけど、今日という桃花の誕生日だけは精一杯の『彼氏らしいデート』をするつもりだ。
「もう、ゆうくんてば……わたしはゆうくんと一緒にいられるだけで幸せなんだからね♪」
そういうと桃花は俺の手を恋人繋ぎで握ってそっと俺の腕に体を寄せた。
「じゃあ、ゆうくん。今日はたっぷりデートをエスコートしてね♪」
「ああ、桃花。任せてくれ」
そして、俺達は映画館へと向かい、俺達の『特別な一日』が始まった。
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