第58話【義妹と誕生日】
「桃花、今日は特別な日にしようと思うんだ」
「お兄ちゃん、特別な日ってどういう意味?」
すると、お兄ちゃんはわたしの手を掴んで腰に空いたを回してぐっとわたしの体を引き寄せて言った。
「そんなの言葉にしなくても分かるだろ? 桃花の全てが欲しいんだ」
「お、お兄ちゃん……いいよ」
お兄ちゃんはベッドにわたしの体を押し倒して服を脱いで裸になった。
「桃花、これからはずっと二人っきりだよ……」
「お兄ちゃん……♡」
そして、わたし達は――
「桃花? 桃花? 朝だぞ~?」
「うん……お兄ちゃん……あれ? 何で服を着ているの?」
目を開けると、そこには服を着たお兄ちゃん画いた。
あれ……わたしもパジャマを着ている……ってことはさっきのは夢?
「うわ~ん! せっかく、お兄ちゃんがヘタレなかったと思ったのに……もう! お兄ちゃんのバカ! ヘタレ!」
「何で俺、義妹を起こしただけなのに朝から罵倒されなきゃいけないんだ!?」
うぅ~だって、それは良い所で夢から起こすお兄ちゃんが悪いんだもん……っ!
「お兄ちゃん、罰として『おはよう』のぎゅぅ~って、して!」
「何が罰なのか分からないんだけど!?」
「いいから、お兄ちゃんは『ぎゅぅ~』ってしてくれればいいの!」
そう言って、わたしは起きているお兄ちゃんをベッドに引きずり倒して上から『ぎゅぅ~』っと抱き着いた。
「お兄ちゃん、罰として義妹の頭を『よしよし』して!」
「うん、何か分からないけど俺が悪かったのは分かったよ。よしよし……」
そういうと、お兄ちゃんは諦めたようにわたしに抱き着かれたまま頭を『よしよし』してくれた。
むふぅ~! 幸せ……えへへ♪
「お兄ちゃん、大好き……」
「ああ、俺もだよ……」
そして、わたしはお兄ちゃんに抱き着いたままお兄ちゃんの胸元に顔を埋めてお兄ちゃんの匂いを嗅いで『すぅ~はぁ~♡』と息を吐いた。
わたしはこのお兄ちゃんの匂いが大好きだ。朝のポカポカした香りと共にお兄ちゃんの暖かい匂いが全身に伝わって来る。
もしかしたら、わたしはお兄ちゃんの匂いフェチなのかもしれない。
「お兄ちゃん♪」
「桃花、一応お義母さんが朝ごはん作ってくれているからそろそろ起きて下に行こうな?」
「ん~……じゃあ、お兄ちゃん起こして……♡」
「仕方ない義妹だなぁ……」
そういうと、お兄ちゃんはわたしの体を起き上がらせてベッドから起き上がらせてくれた。
そして、最後に『ぎゅぅ~』っとしてくれてからこう言った。
「じゃあ、お義母さん達が待っているから下に行こうか」
「うん! お兄ちゃん♪」
お兄ちゃんに起こされてリビングに下りると既にお母さん達が朝食を並べてテーブルについていた。
お兄ちゃんと手を繋いで下りて来たわたしをみてお母さんが何かを察したように笑みを浮かべた。
「あらあら、悠くんってば、娘がなかなか起きなかったみたいでごめんなさいね……ウフフ♪」
「いや……そんなことは無かったですから……大丈夫ですよ」
「でも、その割には二人共下りて来るの遅かったけど……一体何をしていたのかしら?」
「か、母さん。そう言うのはあんまり聞くもんじゃ……」
「父さんもお義母さんも誤解しないでください! ただ桃花が起きるのを渋っただけですから!」
「うぅ~、そうだけど……お兄ちゃん、そこはもう少し義妹を庇ってくれてもいいんじゃないのかな? 例えば『義妹が可愛くて起こせなかっただけです』とか……」
「この流れで俺が責められるの!? まぁ、じゃあ、そういうことで……」
「あらあら、二人共とっても仲良しね♪」
そんな会話もしながらわたし達はテーブルについて『いただきます』をして朝食を食べ始めた。メニューはご飯に味噌汁に納豆にハムエッグとわたしやお兄ちゃんでは到底作れないような高度な朝ごはんだった。
流石はお母さんだ……わたしもお兄ちゃんと二人で暮らす時用にお母さんに料理を教わったりした方が良いのかもしれない。
すると、お母さん達がご飯を食べながら今日の予定を教えてくれた。
「ごめんなさいね。お母さん達、今日もお仕事で朝帰りになっちゃうの……」
「桃花ちゃんもせっかくの誕生日なのにごめんね。一応これは、お父さん達からの桃花ちゃんへのプレゼントだ」
そういうとゆうくんのお父さんがお母さんと一緒にテーブルの下から綺麗にラッピングされた箱をわたしに渡してくれた。
「誕生日プレゼント!」
そう、今日はわたしの誕生日だった。
でも、お母さん達は仕事で今日は休めないって聞いていたからお祝いは次の休みの日に家族四人でしようということになっていたけど、誕生日プレゼントがあるのはビックリした。
「一応内容はお母さんが選んだのよ」
「私じゃ桃花ちゃんの欲しい物は分からなかったからな。お母さんに聞いてお金だけ出さしてもらったよ」
「お義父さん、お母さん、ありがとう! 開けていい?」
「もちろんよ♪」
そして、ラッピングされた箱を開けるとそこには高級コスメのセットが入っていた。
「わぁ! これディオーラのコスメじゃん!」
「うふふ……あなたこの前欲しいけどおこずかいじゃ買えないって言ってたでしょう?」
「誕生日に時間を作ってあげられなかったからな……これくらいはお父さん達にプレゼントさせてくれると嬉しい」
「ありがとう! お義父さん、お母さん!」
すると、お母さんが気にしたようにお兄ちゃんに話しかけて来た。
「それで、悠くんは桃花の誕生日プレゼントはないのかしら?」
「い、いいえ! 俺は……この後、桃花と一緒に誕生日デートをする約束なので……」
「あらあら、誕生日プレゼントにデートなんて、若くていいわね~♪」
「もう、お母さんってば茶化さないでよう!」
そう、この後、お兄ちゃんとはわたしの誕生日プレゼントとして一日デートしてくれる約束なのだ。まぁ、実はお兄ちゃんがバイトしていたお金で、こっそりわたしの誕生日プレゼントを買ってくれていることは知っているんだけど……それは知らないことにしておくのができる義妹というものでしょう♪
そして、わたし達は『ごちそうさま』をして、お仕事に行くお母さん達を見送った。
「悠くん、少しいいかしら?」
「はい、な、なんでしょう……」
「――ね?」
「は、はい!」
その時、お母さんがお兄ちゃんに何か耳打ちをしたけど、小声過ぎてわたしには聞き取れなかった。
あとでお兄ちゃんに何を言われたのか聞こうかと思ったけど、どうせお母さんだからロクでもない事だろうと思って聞かないことにした。
「じゃあ、桃花……お義母さん達も仕事に行ったし、俺達もデートに行こうか?」
「うん、お兄ちゃん!」
そして、デートの準備を終えたわたし達も玄関へと向かい、お兄ちゃんは靴を履いたわたしに手を伸ばし、わたしは今日の誕生日デートに胸を躍らせながら期待と共にお兄ちゃんの手を握った。
「誕生日……楽しいデートにしような」
「そうだね、お兄ちゃん!」
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