第53話【義妹と将来の夢】
「お兄ちゃんのバカバカ! お母さんに変な誤解をあたえちゃったじゃん!」
あの後、お風呂から上がり水着から着替えた桃花はそのまま流れるように俺の部屋に入り、ベッドで眠ろうとする俺の胸をポカポカと両手で叩いて抗議をしに来た。
「でも、変な誤解とは言うが、俺達がしていたことはあながち間違いではないだろう?」
実際に水着を着てお風呂の中で多少はいやらしいことをしていた自覚はあるので、ある程度の誤解で済むなら結構だ。
「うぅ~……だけど、お母さんのいらない情報が入って来ちゃったよう……」
「まぁ、それはそうだな……」
あの話で、お義母さんの中では俺達は『そういうプレイ』をしていたで収まったのだろう。だけど、心当たりがあるということは父さんとお義母さんもどこかで似たようなことをしているのかもしれない。
「たまに二人そろってやけに帰りが遅い日があるけど、もしかしたらホテルで『そういうこと』をしている可能性が……」
「嫌だよ~! 実の親のそういう関係聞きたくないよう……」
実際に今日もあの後すぐに父さんも帰って来たから実は二人で夜のデートをしてきていた可能性もあるんだよな。
「お兄ちゃん! もう、これ以上考えるのは止めよう! わたし、もう寝る」
そういうと、桃花は当たり前のように俺のベッドに横になってしまった。
「お兄ちゃん、腕枕して……」
そして、当然のようにこの義妹は俺の腕枕をご所望するのだった。
仕方なく、俺も桃花の隣で横になり彼女の頭を支えるように腕枕を貸し出す。
「よいしょ……ねぇ、お兄ちゃん」
「桃花、何だ?」
「ぎゅぅ~ってして……」
「俺今、片腕を枕にされているんだが……」
「もう、ぎゅぅ~っは片腕でもできるでしょう?」
「はいはい、分かったよ」
「ハイは一回でいいの!」
「ハイ……」
そして、俺は義妹のご所望通りに空いた片腕で義妹の体を『ぎゅぅ~』っと抱きしめた。
だいたい、これが最近の桃花のお気に入りの就寝ポーズだ。
「うむぅ、お兄ちゃん、くるしゅうないのです♪ ぎゅぅ~!」
すると、桃花がお返しと言わんばかりに俺の体に抱き着いて『ぎゅぅ~』っとし返してきた。
そして、俺は抱き着く義妹の体の柔らかさを堪能しながら、桃花の頭を軽く撫でて言った。
「ほら、早く寝ないと、お義母さん達にまた一緒の部屋で寝ているのがバレるぞ?」
「そんなこと言っても、わたし達が一緒に寝ているのなんて、どうせバレてるよ?」
「そ、それはそうかも知れないが……」
しかし、今日はお風呂の件があったから、一応大人しくしておいた方が良いのではないかと俺は思うのだが……
「まぁ、でも、大人しく寝ているだけなら別に堂々としていて良いか……」
「お兄ちゃんもお兄ちゃんで感覚バグって来ているよね」
誰の所為だ。誰の所為だと……
「それとも……大人しく寝ないでさっきのお風呂の続きでもする?」
そういうと、桃花は俺の手を掴んでそれを自分の胸に当ててきた。
俺はその手を冷静に払い義妹の胸を三揉みほどして、手を義妹の腰に回してこう言った。
「今日はダメだ……それこそお義母さん達にバレたらヤバイだろ?」
「むぅ……わたしの胸はもまれ損だよ……」
すると、今度は桃花が俺の胸元に顔を埋めるようにして再び強く『ぎゅぅ~』っと抱き着いて顔をスリスリとこすりつけて来た。
まるで、猫が自分の匂いを飼い主にこすりつけるみたいだ。
そう思っていると、桃花がつぶやいた。
「わたし……将来はお兄ちゃんと一緒に暮らしたい」
「今も一緒に住んではいるだろう?」
「もう……そういう意味じゃないって分かっているでしょう?」
「まぁ、な……」
要は二人で一緒に暮らしたいという意味だろう。
いつになるかは分からないがお義母さん達の了解を得られて大学生にでもなったら考えていいのかもしれない……。
しかし、いざそうなったら、いろいろと歯止めが効かなくなりそうで怖いな。
『お兄ちゃん……♡ もう、しちゃおうか?』
今日だってあの後、お義母さんが帰って来なかったら危なかったと思う。
冷静に考えたら風呂の中だからゴムさえなかったからな……。
「ねぇ、お兄ちゃん」
「なんだ、桃花?」
「お兄ちゃんと一緒に暮らすの……お義母さん達が許すかな……」
「さぁな……だけど、時間をかけて説得したら許してくれるだろう」
「そうだよね……」
すると、桃花は眠たそうな声でこうつぶやいた。
「お兄ちゃんは……わたしと一緒になりたい?」
「もちろん……」
俺が桃花の髪をなでてそう答えると、桃花は嬉しそうな笑みを浮かべて「すぅ~すぅ~」と寝息を立て始めた。
「おやすみ……桃花」
俺は桃花が寝て俺が寝られるまでの時間が一番嫌いだ。
何故なら、一人は寂しいから……
桃花と一緒に暮らすまではこの一人だけの眠られない夜がいつも辛かった。
だからそれを思い返してしまうようで嫌いなのだ。
桃花が寝て俺が眠れるのはいつも大体一時間はかかる。その間ずっと俺は桃花のことを考えている。
今までは一人では眠れなかったけど、桃花がいてくれるようになったからか眠っている桃花を眺めて彼女のことを考えるだけで最近は自然と眠れるようになった。
『わたし……将来はお兄ちゃんと一緒に暮らしたい』
俺だってそうだ。もう桃花と離れたくないと思っている。
だけど、俺の感情はこの少女に向けるには重すぎるように感じてしまっていつも冗談で誤魔化してしまう。
多分……桃花が思っている以上に俺は桃花のことが好きだ。
正直、愛している……。
「って……ちゃんと伝えてあげられたらいいんだけどな」
やっぱり、それを伝えることを何処か怖がってしまう俺はヘタレなんだろうか。
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