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第54話【義妹の夏休み】


「お兄ちゃん……あれ?」


 ある夏休みの一日、わたしはお兄ちゃんの部屋で起きた。


「お兄ちゃんがいない……」


 時計を見るともうお昼の十二時を過ぎていた。どうやらお兄ちゃんは既に起きてリビングにでもいるんだろうか?

 そう思って、眠い瞼をこすって起き上がり、お兄ちゃんを求めてリビングに下りるとそこには昼食を用意しているお兄ちゃんがいた。


「お兄ちゃん、おはよう」

「ああ、桃花。おはよう」


 テーブルを見るとバターが塗られたトーストとヨーグルトに簡単なサラダが用意されていた。


「お昼ごはん作ってくれたんだ。お兄ちゃん、ありがとう」

「ああ、これ以上手を加えるとチャーハンになっちゃうから、簡単なものしか用意できなかったけどな」


 お兄ちゃんにはどんな食材も手を加えるとチャーハンになっちゃう特技があるから迂闊に凝った料理は作れないのだ。だけど、そんなお兄ちゃんでも流石にフライパンを使わなければチャーハンにはならないようだ。


「いただきます」

「いただきます」


 手を合わせてお兄ちゃんと一緒に朝食もかねてお昼ごはんをいただく、夏休み中はお互いに起こす必要も無いから基本的に先に起きた方が……と言ってもほとんどお兄ちゃんが先に起きてお昼ごはんを用意してくれて、それでもわたしが起きなかったらお兄ちゃんが起こしてくれる生活を満喫していた。


 一緒に寝てくれるし、お昼ごはんも用意してくれるし、わたしの生活はもうお兄ちゃんなしでは生きられない体になっているのかもしれない。


「お兄ちゃん、そう言えばお母さん達は?」

「もう、とっくに仕事に出たよ。今日も帰りは遅くなるってさ」

「ふーん、そうなんだ……」


 やったぁ~! っと、それを聞いてわたしは心の中でガッツポーズをした。だって、それって今日はまる一日お兄ちゃんと一緒ってことじゃん! えへへ、どれだけ甘えちゃおうかな~♪


「ねぇ、お兄ちゃん。お昼食べたらベッドでもう一度ゴロゴロしようよ」

「食べた後、すぐ寝るとふと――」


 その瞬間、わたしは残ったトーストをお兄ちゃんの口に押し込んで無理矢理黙らせた。


「お兄ちゃん♪ 余計なことを言うお口にはチャックしちゃうよ?」

「……はい、すみません」


 大人しくトーストをのみ込んだお兄ちゃんを見てわたしは『よろしい』と呟いて残りのトーストを食べた。


「「ごちそうさま」」


「じゃあ、ベッドに行こう! お兄ちゃん♪」

「うーん、でも部屋って暑いからな……もう少しリビングで涼んでからにしないか?」

「お兄ちゃん、何言っているの? 部屋にはもうエアコンが設置されたでしょう? だから、エアコンを付ければすぐに涼しくなるよ」

「まぁ、そうか……」


 この夏休み、わたしとお兄ちゃんの部屋にはエアコンが設置されたのだった。だから、これで日中でもお兄ちゃんの部屋でイチャイチャできるのだ。


「ねぇ、部屋に行こう? お兄ちゃん」

「じゃあ、行くか」

「うん♪」


 正直、夏休みに入ってから、わたしはずっと幸せだ。お兄ちゃんと一緒に毎日いられて……だけど、少しだけ不安になってしまう。


「そうだ。お兄ちゃん……」

「何だ。桃花?」


 お兄ちゃんに負担をかけているんじゃないかって……わたしだけが幸せで、お兄ちゃんにはずっと我慢させているんじゃないかって……


 だから、今日は少しだけ攻めてみるつもりだ。


「今日はわたしの部屋でイチャイチャしない?」



 お兄ちゃん……義妹がエッチでもいいよね♪





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