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第49話【義妹と恋人モード】


「お兄ちゃん!」

「何だ、桃花?」


 プールから帰った後リビングのソファーでゴロゴロしていると、二階から桃花があわただしい様子で駆け下りてこう言った。


「母さん達、今日二人共お仕事で遅くなるらしいから晩ご飯自分達で食べていいって」

「お、そうか! じゃあ、何か食べに行くか?」

「えー、この時間から外に出るの怠いよ~」

「まぁ、そうだな……」


 時計を見るともう夜の九時を回っていた。このタイミングで両親から帰りが遅くなるという連絡が来るということは大体帰りが零時をすぎるのも今まで生活で分かっている。


 ――ということは今日は夜遅くまで桃花とイチャイチャできるのか……。


「お兄ちゃん、今日は夜遅くまでイチャイチャできるね♪」

「ああ、そうだな。桃花」


 どうやら、そう思ったのは俺だけでは無いらしく、桃花も俺に抱き着いて甘えて来た。俺はそんな桃花の頭をなでながら目先の問題を考えた。


「でも、ご飯はどうする? 外食にしないならデリバリーでも頼むか?」

「うーん、デリバリーも飽きて来たし、今日は何か自分達で適当に作って食べない?」

「まぁ、そうだな」


 桃花と一緒に暮らして三ヶ月、こうして両親が返ってこない日にデリバリーを頼むことはまぁまぁあったが、俺もそろそろデリバリーの種類には飽きてきた頃だ。

 それに、俺も桃花も両親が返ってこない日が多い経験があるおかげである程度の自炊はできるしな……。


「じゃあ、とりあえずお兄ちゃんが冷蔵庫にある食材で適当に何か作ってやるか!」

「本当! 手作りご飯愉しみ!」


 よし、冷蔵庫を見た感じこれならアレが作れそうだな。

 お兄ちゃんの三分クッキング始めちゃうぞ!


「まず、卵を割る」

「うんうん!」

「そして、米を炒める」

「うん!」

「チャーハンの完成だ!」

「おお~! 流石お兄ちゃん、三分でチャーハンができちゃった!」


 まぁな。男の手料理と言ったらチャーハンだろう? 


「でも、お兄ちゃん、ご飯がチャーハンだけじゃ物足りなくない?」

「じゃあ、もう一品作るか」

「やったー!」


 そして、俺は冷蔵庫の食材を取り出しあたらな料理を作り始めた


「まずは豆腐を切る」

「うんうん!」

「そして、錦糸卵をつくる」

「うん!」

「チャーハンの完成だ!」

「何で!?」


 うぉ! 突然桃花が横で叫ぶからビックリした……。


「どうしたんだよ。桃花?」

「どうしたのはお兄ちゃんだよ! どうしてもう一品がチャーハンなの!? 同じじゃん!」

「同じじゃないぞ? こっちは豆腐と錦糸卵を使ったチャーハンだ」

「そういうことじゃなくて!? てか、何でその材料でチャーハンができるの!?」

「分かった分かった。要はチャーハン以外の料理を作ればいいんだろう?」

「そうそう! 晩ご飯がチャーハンだけは偏りすぎだからね!」


 そして、俺は再び冷蔵庫の中を見て別の料理を作り始めた。


「まずは牛乳を浸した食パンをフライパンでじっくり炒める」

「うんうん!」

「そして、そこに溶いた卵と蜂蜜、砂糖を入れてさらにじっくり炒める」

「うん!」

「チャーハンの完成だ!」

「だから何で!?」

「うおぁ! どうしたんだよ……桃花?」

「どうしたのはお兄ちゃんだよ! 何でチャーハンになるの! 何であの食材で最終形態がチャーハンになるの!」

「そう言われてもなぁ……俺ってチャーハン以外はそれを先に行ってよ!? もう、これならわたしが作る!」


 ということで、チャーハンを三つも作ってしまった罪により俺はキッチンを義妹に奪われてしまった。


「えーと、冷蔵庫の中は……なんだこんなにあるならチャーハン以外も作れるじゃん!」

「それで何を作るんだ?」

「お兄ちゃん、それは見てのお楽しみだよ♪」


 そして、今度は義妹の三分クッキングが始まった。


「まずは溶いた卵をフライパンに入れてすぐにお米を入れます」

「うんうん」

「そして、刻んだ玉ねぎとベーコンフライパンに入れてそこに塩コショウ醬油を入れてさらに炒めます」

「うん……?」

「イチゴのショートケーキの完成です」

「何で!?」


 フライパンから皿に料理を移すとあら不思議、そこには立派なイチゴのショートケーキができていた。


「うわ! ビックリした……どうしたのお兄ちゃん?」

「どうしたのはこっちの台詞だよ! 今の流れは絶対にチャーハンができる流れだっただろ?」

「そんなのお兄ちゃんじゃないんだからしないよ……何言っているのお兄ちゃん?」

「お、俺がおかしいのか!?」


 すると、今度は桃花がもう一度冷蔵庫の中をあさり新たな料理を作り始めた。


「まずは下味をもみ込んだ豚バラとレタスをフライパンで炒めます」

「うんうん」

「そして、ごま油と胡椒を振ったらもう出来上がり~♪」

「おお!」

「イチゴのショートケーキの完成です」

「だから、何でだよ!」


 フライパンから皿に料理を移すとあら不思議、そこにはまたもや立派なイチゴのショートケーキができていた。


「ど、どうしたのお兄ちゃん……?」

「どうしたのはこっちの台詞だよ! むしろ、さっきまで炒めていた豚バラとレタスは何処に行った!?」

「勘のいいお兄ちゃんは嫌いだよ……」

「まさかの等価交換!?」

「って、言うのは冗談で……実はわたし手料理ってイチゴのショートケーキ以外は作れないんだよね……」

「逆にそれはそれですごくね!?」


 もうパティシエじゃん! 才能だよそれは! 俺の特技のチャーハンがかすむほどのレベルだよ!


「それでお兄ちゃん……ここにチャーハンが三人前とデザートのイチゴのショートケーキが二つできたわけだけど……」

「食べるか……」


 とういうわけで、計チャーハン三人前と二人分のイチゴのショートケーキが俺達の晩ご飯になったわけだ。


「うう、お兄ちゃんわたし食べすぎちゃったかも……」

「流石に、チャーハン三人前は多かったな……」


 食べ終わった後、俺と桃花はソファーで休憩をしていた。因みに、イチゴのショートケーキは材料があれだったにもかかわらずちゃんとイチゴのショートケーキの味がした。


「お母さん達まだ帰ってこない……よね?」

「流石にまだ帰っては来ないだろうな」


 時計を見ても時間はまだ十時だ。多分、返って来るにもあと二時間はあるだろう。


「そろそろ風呂でも入って寝るか……」

「ねぇ、ゆうくん……」


 すると、桃花が風呂に入ろうとする俺の手を取ってこう言った。



「お風呂……一緒に入らない?」



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