第4話【義妹と抱き枕】
「ゆうお兄ちゃん、起きていますか?」
「……うん」
あの後、二人でベッドに仰向けになって寝てみたけど当然こんな状況で寝れるわけもなくチラリと時計を見たが今は深夜の一時だった。
「やっぱり、俺は床で寝ることにするよ」
「や、ゆうお兄ちゃん! 待ってください!」
空気に耐え切れず僕がベッドから出ようとすると桃花に引き留められた。
「そ、その……実はわたし……言ってないことがあったんです」
「……何?」
「わたし……横向きじゃないと眠れないんです」
「それ……やっぱり、俺が床で寝た方がよくない?」
その方が広くベッドも使えるしな。
「そ、そうじゃなくて……誰かが横にいないと眠れないんです」
「それって……」
ということで結局、二人で向かい合うようにして同じベッドで寝ることになった。
「……あぅ」
「…………」
――って、なんでやねん! こんなん余計眠れなくなるやろがい!
お互いに横向きで向き合ったことでパジャマ姿の桃花の胸元から大きなふくらみが見えるような気がするし、お風呂上がりな所為で桃花の髪から良い匂いが漂ってくる気がするしこんなん眠れるわけねぇだろぉおおおおおおおおおおおお!
「ゆうお兄ちゃん……」
「何? てかそのお兄ちゃん呼び許可した覚えないんだけど?」
「でも、気に入っていますよね?」
「……黙秘で」
だってクラスで一番の美少女に『お兄ちゃん』呼びされているんだぞ? 気に入らないわけがないだろ……
「その……腕に抱き着いても良いですか?」
「何で!?」
「そ、その、エッチな意味じゃないんです! だから、安心してください!」
エッチな意味でたまるかぁ!
「実はわたし……不眠症なんです」
「あ、そう言えば『一人じゃ眠れない』とか言っていたよね」
「……はい」
すると、桃花は自分の境遇をベッドの中で話してくれた。
「わたしの前の家は離婚する前、お父さんとお母さんとわたしの三人で寝るのが普通だったんです」
「よくある川の字で寝るってやつか」
「……はい」
僕のその言葉の何が面白かったのか分からないけど、彼女はそれを聞いてクスっと笑みを浮かべた。そして、何かを思い出すかのように少し暗めの声のトーンで続きを話し始めた。
「でも、ある日からお父さんの帰りが遅くなるようになって、段々と三人じゃなくてお母さんと二人で寝る機会が増えたんです」
「それは……」
俺の父さんと再婚した彼女のお母さんは既に前の夫とは離婚済みだった。つまり、この話のオチは――
「……はい、お父さんは浮気をしていたんです。それが分かってからはお母さんも病んじゃって離婚するまで……いや離婚できるまでわたしの家庭環境は酷い物でした」
確かに、家も父さんが母さんと離婚したから分かる。離婚には物凄い時間がかかるそして、その離婚するまでの家庭環境は子供からしたら最悪なのだってことも……
「その頃からなんです……一人で眠れなくなったの……また、わたしが一人で寝ている間に家族がいなくなっちゃうんじゃないかと思って……怖いんです」
そんな話されたら、パジャマの隙間からおっぱいがとか髪から良い匂いがとか考えていた俺がバカみたいじゃないか……だから、俺は手を差し伸べるように彼女の懐に自分の腕を差し出した。
「ゆうくん……」
「これで……眠れるんだろ?」
「……はい」
そう言って、彼女……桃花は俺の腕に抱き着くようにして眠りにつき始めた。
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