第35話【義妹と三者面談】
「では、K大学なんですね」
「はい、俺の学力的にも近くのK大が思います」
「私も息子がそう言うなら、自分で決めたことなので反対はしません」
「では、これで三者面談を終わりたいと思います。」
三者面談当日、緊張していた割には思ったよりもあっさりと三者面談自体は終わった。
先生に挨拶して、父さんと一緒に教室を出ると廊下には桃花が待ってくれていた。
「ゆうくん! 三者面談どうだった?」
「桃花、特に問題も無く終わったよ」
「そっか、ゆうくんもK大志望だもんね」
「桃花は昨日が三者面談だったんだよな?」
「うん、わたしはもう少し上の大学を目指してもいいんじゃないかって言われちゃった」
桃花の三者面談は桃花のお母さんと一緒に昨日行われた。桃花の希望は俺と同じ近くのK大志望だが、どうやら、先生とお母さんにもう少し上の大学を進められたそうだ。
まぁ、桃花の学力は学年トップレベルだからそうは言われるよな。
三者面談では桃花にはお母さん、俺には父さんに来てもらったが、学校側に俺と同じ大学に行きたいからK大なんて理由も伝えられなかったし桃花の三者面談は大変だったようだ。
「桃花ちゃんも、こんな時間まで廊下で待たせちゃってゴメンね?」
「お義父さ――じゃなくて、おじさんもそんなの全然大丈夫です。ゆうくんと一緒に帰りたかったんで♪」
「そうだね。桃花ちゃんが悠木と仲良くしてくれて、わたしも嬉しいよ」
一応、学校では俺と桃花と俺の家庭事情は伝えていないから、父さんも学校では桃花の
義父さんではなく、俺の父親として振舞ってくれているようだ。
すると、さっきの会話を聞いていたのか、他の三者面談を待つクラスメイトからこんな声が聞こえた。
「吉田、聞いたか今の? 白根さんが桜井のお父さんに挨拶してたぞ!」
「ああ、山田。確かに聞いた! 桜井の奴、白根さんと既に親同士の付き合いまであるのか!」
「「コロス!」」
それを聞いてか、俺の背筋に軽い悪寒が流れた。
どうやら、今日の三者面談はクラスメイトからのヘイトを無駄に買った結果で終わったようだ。
「悠木とは学校でも仲良くしてくれているんだね」
「え、は、はい……か、家族ですから……」
学校からの帰り道、俺と桃花と父さんの三人で帰っていると、父さんがそんな質問を桃花にしていた。
「ありがとう……息子と仲良くしてくれて」
「父さん、何か恥ずかしいからそういうの止めてくれないか……」
「何を言っているんだ。父さんだって再婚したことで二人が仲良くやれているか不安だったんだ。まぁ、今日の学校での二人を見てその心配は無さそうで安心したがな」
「は、はい……」
「…………」
まぁ、確かに再婚した子供たち同士が仲良くしているかは父さん達にとっては家を空けがちなこともあって心配だったんだろう。
その気持ちは分かるが……だけど、まさか俺と桃花が付き合っているとまでは思うまい。
すると、父さんが溜まっていた気持ちを吐露するように言った。
「本当は、わたしが再婚して無理矢理、二人を家族にしてしまったことで迷惑をかけたんじゃないかと思っていたんだ」
「そ、そんなことは無いです!」
「父さんは考えすぎなんだよ」
父さんの言葉に桃花と俺が反応するとそれを見て、父さんがつぶやいた。
「それでも、父さんは間違ったからな……」
それは過去の離婚の経験のことを言っているのだろうか。
父さんは仕事にかかりっきりだったせいで母さんが俺への虐待行為に気付けなかった経験がある。それを多分今でも悔やんでいるんだろう。
すると、そんな父さんを見て桃花がつぶやいた。
「ゆうくんのお母さんのことですか?」
「聞いていたのか……?」
驚いたように父さんが桃花に返した。
まぁ、そうだよな。父さんからしたらまさかそんな話まで桃花が知っているとは思わないよな。
「俺が……話したんだ……」
「そうか……」
何故か俺と父さんの間で気まずい空気が流れると、それを見ていた桃花が急に俺の手を両手で握って父さんに向かってこう言った。
「あ、安心してください! ゆうくんは……わたしの大事な家族ですから!」
そんな桃花を見て、父さんはこう返した。
「思ったよりも二人の仲がよさそうで安心したよ」
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