第28話【義妹と恋人】
「お、お兄ちゃん……手を繋いだまま学校に行ったら、皆に付き合っているのバレちゃうよ……?」
「桃花は俺を好きなんだろ?」
「うん……」
「なら、俺も桃花を『好き』なことを学校では隠さないよ」
わたし、白根桃花はゆうくんと付き合うことになりました。
「…………」
「…………」
そういうわけで、二人で手を繋いだまま教室に入ると案の定クラスメイト達の反応が凄くて……
「ウリィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!? 野郎、白根さんと手を繋いで教室に入って来た!?」
「キャァアア! もしかしてって思ってたけど二人って付き合っているの!」
「山田ぁああああああああああ! 俺達のアイドルを奪ったアイツを殺せ!」
「吉田! 俺はまだ認めんぞ! 二人が手を繋いでいるだけで実はただの兄妹でしたと言うオチがあるかもしれん!」
「そんなわけあるかぁああああああああああああああ!」
なんか一人だけドンピシャで正解を言いに来た人がいた気もするけど、もうそれは正解じゃないんです! 何故なら、わたしはゆうくんの『彼女』になったんですから! ドヤァ!
その証拠にわたしはゆうくんの腕に抱き着いて、再びその行動に教室の人達が叫び声や悲鳴を上げました。
「ゆ、ゆうくんは……本当にこれでよかったんですか?」
一応、付き合ったことを公表してることでクラスの人達に殺されそうになってますけど……しかし、ゆうくんの答えは決まっていました。
「ああ、俺はけじめをつけたいんだ」
「けじめを……?」
「うん……俺は今まで桃花の好意から逃げていたんだ。いや、正確には桃花の好意に自分の答えを出すことから逃げていた」
「ゆうくん……」
「だけど、桃花に告白してもらって……あんなことまでしておいて自分の気持ちを保留のままにするのはズルいと思ったんだ。」
あんなことというのは……昨日の夜のゆうくんからの熱くて長いキスのことだと思います。あの時のゆうくんは覚悟が決まっていて本気でわたしを……だから、カッコよく見えました。
「だから、俺はもう逃げない。桃花を好きだと言える自分でいたいんだ」
「ゆうくん……っ!」
そして、わたしは教室で再びゆうくんに抱き着いて教室中から色々な悲鳴が湧きました。
時間は立って学校のお昼休み。
わたしはゆうくんと腕を組んで学食でお昼を食べることにしました。
「えっと……桃花は何が食べたい?」
「チョワヨ~、チョワヨ~、ゆうきゅん、チョワヨ~♪」
「うん、日本語話そうね?」
「モモピ、ゆうきゅん、チョワヨ~♪」
正直、わたしの心の中は幸せで一杯になっていた。だって、ゆうくんがわたしを好きだと告白して、ちゃんと『付き合う』まで言ってくれたから……だから、少しくらい頭がモモピになることくらい許してくれても良いと思う。
「でも、ゆうくん」
「うわ、急に元の桃花に戻った!?」
「お母さんとお義父さんには……付き合っているの内緒なんだよね?」
「ああ、やっぱり……心配はかけたくないからな」
つまり、家では家族として妹とお兄ちゃん。
そして、外、学校では恋人の彼女、彼氏としてやっていくということだ。
「それなら、やっぱり学校では付き合っているの隠している方が良かったんじゃないの?」
その方が変なところからお母さんやお義父さんにバレる可能性だって低いし……
「それも覚悟の上で、俺は桃花に告白したんだ」
「何でそこまでして告白を……」
「朝言っただろ……」
『誕生日の夜……ゆうくんがしたいこと何でもしてあげる……』
「桃花がここまでしてくれるのに、俺がいつまでも答えを出さないのは卑怯だと思ったんだよ」
「ゆうくん……」
「だから、桃花の気持ちは全部受け止めるつもりだ」
「わ、分かった!」
つ、つまり……ゆうくんは、いや、お兄ちゃんは……
誕生日にわたしの『初めて』を貰う気なんだ!
【おまけ】
学校の帰り道、俺は桃花に外で待ってもらいながら、コンビニである物を買うか悩んでいた。
「コンドーム買った方がいいのかな……」
いや、買った方が良いのは分かっている! だけど、その……買ったらやる気なのバレバレじゃん! でも、いや、まだそういう機会があるとは――
『誕生日の夜……ゆうくんがしたいこと何でもしてあげる……』
すると、どうしても桃花のあの言葉が脳裏をよぎってしまう。いや、だけど、あれも『する』って言っているわけじゃないし……
「だけど、無いよりは――」
「ゆうくん」
「も、桃花!? どうして店の中に」
「だって、ゆうくんがコンビニから出てくるの遅いんだもん! まだ、何か買う物あるの?」
「……いや、ナニモナイヨ」
結果、俺は手にしようとしたアレを素早く棚に戻し、買わずにしてコンビニを出たのだった。
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