【義妹とデート】
『ゆうくんは先に行って、待ち合わせ場所で待っていてください』
朝、桃花に起こされると俺は先に着替えさせられて上記のように先に家を出るように言われた。
その理由は……
『お母さん達にわたし達が一緒に出るのを目撃されたら……で、デートってバレちゃうかもしれないから……』
――というものだった。
確かに俺と桃花は義妹とはいえ家族だ。その二人が休日に仲良く家を出る所を親に見られたら何か勘ぐられてしまう可能性は否定できない。
つまり、今日は二人だけの秘密のデートということなのだ。
そういうわけで待ち合わせ場所の総合デパートの入り口で桃花が来るのを待っているのだが……
待っている間、俺は考えていた。
桃花は俺に好意を抱いてくれている。
それは、義妹や家族、とか以上の感情だ。
それだけの感情を桃花は何故か俺に向けてくれている……と思っている。
しかし、好意だけどそれは本当に『俺』への好意なのだろうか?
もしかして……『お兄ちゃん』としての『好意』なのではないだろうか?
俺は義妹という関係を利用して白根桃花からの好意を受け取っているだけの『お兄ちゃん』ではないのだろうか?
だって、白根桃花というクラスで一番かわいい子が俺に惚れてくれる理由が『俺自身』には全く分からない。
だからこそ、俺はこのデートで出来れば桃花の本当の気持ちを確かめたいと思っている。
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「お、お待たせしました……っ!」
「おう、桃花」
待ち合わせ場所に到着すると私服姿に身を包んだゆうくんがちゃんとわたしを待ってっくれていた。
「ゆうくん……待ちましたか?」
「いいや、特に待っていないぞ」
嘘だ……ゆうくんが家を出てから、わたしは三十分近く着替えに時間がかかってしまったから、ゆうくんは待ったはずなのにそれを全然顔にも出さないでそう言ってくれた。
そう言う所も……ゆうくんは優しくて好きだ……。
「ゆうくん……」
「な、なんだ?」
「な、何でもないです……ただ呼んだだけです……」
今日は『お兄ちゃん』とは呼ばないと決めている。
何故なら家では義妹とお兄ちゃんで家族だけど、外でデートするならそれはもう恋人だと思うから……それをゆうくんにも意識してもらう為にも、今日は『お兄ちゃん』とは呼ばない……。
だって、今日は桜井悠木くんと白根桃花の初デートなのだから……
「ゆ、ゆうくんはこういう服も似合うと思う?」
「似合う? じゃあ、桃花はこういうのが似合うんじゃないかな?」
「ゆ、ゆうくん……それメイド服……」
デパートでお互いの服を見たり。
「最上階は映画館ホールだってさ、時間もあるし何か見ようか?」
「う、うん……ゆうくんはどの映画がいい?」
「そうだな……このちぃかわなんてどうだ? 小さくて可愛くてきっと胸がほこっりする映画だぞ」
「うん、じゃあ、それがいい♪」
楽しい! ゆうくんとのデートは楽しくて時間を忘れて楽しんだ。
服を見たり、映画を見たり、映画館ではこっそり手を繋いじゃったりして……
そのあと、わたし達はデパート内のカフェで休憩することにした。
「ゆうくんはコーヒーブラックで飲めるの?」
「ああ。まぁ、ガムシロップ入れると手がベトベトニなるのが嫌なだけなんだけどな」
「何それ♪」
お互いに飲み物を交換したり、ブラックが苦手なわたしにはゆうくんのコーヒーはまだ早くて、そんな姿をゆうくんに笑われたり、いたって今日のデートは順調に進んでいた。
すると、不意にゆうくんがわたしに質問をしてくれた。
「桃花はこういうデートは……その……他の誰かとはしたことあるのか?」
「全然ないよ……おに――じゃなくて……ゆうくんが初めて」
「そっか……実は俺もなんだ」
「じゃあ……ゆうくんのデート相手も、わたしが初めて?」
「ああ、そうだよ」
それを聞いて、わたしの心は少し嬉しくなって跳ねそうになった。
そして、今ならこの気持ちをゆうくんに伝えられるかもしれない。
そう思ったとその時――
「山田! 映画面白かったな!」
「だな吉田! やっぱり宇宙ライダーゼッツインフィニティは最高だぜ!」
――く、クラスメイトだ! 何でこんな所に同じクラスの男の子達がいるの!?
瞬間そのクラスの男子達と鉢合わせしそうになった瞬間、ゆうくんがわたしに抱き着いて来た。
「お、お兄ちゃ――っ!?」
「しっ……クラスメイトにバレる」
そこで、わたしはゆうくんが抱き着いて来た意図を察した。
「ちぇ! 吉田みろよ! カップルが抱き合っているぜ」
「ああ、山田! よくこんな場所で堂々とイチャイチャできるよな!」
そう言ってクラスメイトの男の子達はわたし達の前を通り過ぎて行った。
それを見て、ゆうくんが抱きしめるを止めた。
ちょっと寂しい……
「ゆうくんは……クラスメイトにわたし達のこと見られたら嫌なの?」
「騒ぎになったら困るだろ?」
「それはそうだけど……」
学校でわたしとゆうくんの関係がバレたら家族だってことまでバレるかもしれない。
そしたら、余計に良く無い意味でわたし達は注目されるかもしれない。
それは結果的にお母さんやお義父さん達にバレることになるかもしれないし……
「でも、わたしは……」
「俺達は家族だろ?」
「そうだよね……お兄ちゃん」
ゆうくんはわたしと『そういう関係』になるのはさけたいんだろうか?
そう思うと何だが悲しくなって目に涙が浮かび始めた。
そして、距離を取ろうとしてゆうくんと目が合った。
ゆうくんはわたしの目に浮かぶ涙を見てハッとした表情になったと思った次の瞬間、わたしは再びゆうくんに抱きしめられた。
「お、お兄ちゃん……!?」
「外ではゆうくんだろ? なに泣いているんだよ……」
「だ、だって……」
ゆうくんに抱きしめられて顔を見上げるとキスできるような距離にゆうくんの顔があった。
こんな泣いている状態で、キスなんてしたくないのに、わたしの口は吸い寄せられるようにゆうくんの口にキスをした。
ゆうくんはそんなわたしの行動に驚いたような表情をしたが突き放すようなことはせず、逆にゆうくんは強くわたしを抱きしめてくれた。
言葉を交わしていないはずなのに、こんなことで気持ちが伝わった気になって、わたしは幸せを感じてしまう。
そして、甘くてしょっぱいキスをし終わってまだ抱き着いたままのゆうくんにわたしは言った。
「ゆうくん、もうクラスメイトの人達いないよ」
「ああ……」
それでも、ゆうくんはわたしを抱きしめるのを止めなかった。
この時、わたしは抱きしめられると幸せを感じ同士に安心を感じしていた。
もっと触れ合いたいと思う。
やっぱり、この気持ちは……
「好き……わたしはゆうくんが好きです」
気付いたら、わたしは伝えたかった気持ちを言葉にしていた。
「俺は……」
「ゆうくんに答えは聞いていないの……」
そう言って、返事をしようとするゆうくんの口をわたしは人差し指で止めた。
今はゆうくんがわたしを『義妹』としてしか見ていないのは知っている。
それでも、わたしは良いと思っているけど、多分ゆうくん自身がそれを認めないタイプだ。
だから、今日はこれだけでいい……わたしの気持ちだけ――
「ゆうくんに……意識してもらいたかったから……」
「ああ、分かった……」
そう、今日のデートはわたしの気持ちを伝えるためのデートだった。
だから、これだけでいいのだ……。
そして、その夜。
「さぁ、寝るか……」
「……うん」
今日も一緒に寝るのに何言っているんだわたしはぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
まだまだ夜は続く
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