【可愛い義妹がデレまして】
「もう! お、お兄ちゃんってば義妹のお尻揉み過ぎ!」
深夜の二時半、ひとしきり義妹のお尻を揉みまくった後、桃花は荒い息を整えながらそう言って俺の右手を叩いた。
「し、仕方ないだろう。だって、桃花があんな挑発すること言うから……」
「もう、お兄ちゃんのスケベ……」
すると、突然桃花が俺の胸元に抱き着いてベッドに倒れて来た。
そして、ポツリとこう漏らした。
「ゆうくんとこうしていると、安心するしドキドキします……」
「……それは俺もだよ」
「ゆうくんも安心するんですか?」
「まぁ、眠れるし……それにドキドキはするぞ」
「……それ、ただ欲情しているだけじゃないんですか?」
「そうともいうかもしれなんな」
「もう、お兄ちゃんのエッチ!」
しかし、桃花と一緒に抱き合っていると安心できるのは本当だ。
そのおかげで夜も最近は眠れるようになったし、桃花という存在が俺の中で特別な『何か』になっているのは間違いないと思う。
すると、桃花が俺に話を振って来た。
「ゆ、ゆうくん……明日は学校お休みですよね……」
「ん、ああ、そうだな……」
明日は日曜日だから学校は休みだ。
「ゆうくんは何か予定はありますか?」
「うーん、特には無いかな」
「そ、そうですか……で、でしたら! で、でで……で……」
なんだろう? いつもなら『お兄ちゃん』と義妹モードで呼ぶのにさっきから『ゆうくん』呼びになっている。これは、つまり義妹としての『桃花』でなく『白根桃花』としてのお願いがなんかあるということなのだろうか?
「言いたいことがあるなら、何でも言ってくれ」
「えっと……ゆうくん、本当に?」
「ああ、桃花は俺の家族だからな」
すると、桃花は恥ずかしそうにつぶやき始めた。
「で、で……」
「で?」
「デパートに行きたいの!」
「行けば?」
俺がそう言うと、桃花は足で俺の脛を蹴り上げて背中を向けてしまった。
「お兄ちゃんのバッカ!」
「いて!」
何で!? 今の返事の何処に俺落ち度があった!?
てか、呼び方も『お兄ちゃん』呼びに戻っているし、こっちを振り向いてくれない。
どうやら、義妹モードに戻ってしまったようだ。
「い、妹は激おこぷんぷん丸なのです……」
「激おこって……それもう死語だって、多分」
「そ、そんなこと無いもん! お兄ちゃんのバーカ! スケベ!」
かわいい……義妹が拗ねてしまった。しかし、桃花が義妹モードになる時は基本的に甘えたい時なのだ。だから、どうにかして機嫌を取り戻せばこっちを向いてくれるかもしれない。
「桃花さんや、一体お兄ちゃんは何をしたら許してくれますかい?」
なので、こういう時は素直に聞くのが一番だろう。そもそもさっき何かお願いしようとしていたし何か俺にして欲しいことがあるはずなのだ。
すると背中を向けたまま小声で桃花が何かを言った。
「……に誘ってください」
「え、なんだって?」
ちょっと、背中を向けている所為で良く聞こえない。そう思っていると「だ、だからっ!」と桃花が真っ赤な顔でこっちを振り向いて叫んだ。
「で、でえ、デートに誘ってくだしゃい!」
噛んだ……誘ってくだしゃいって……
「ぷははは!」
「お、お兄ちゃん!」
すると、それを聞いて笑った俺をたしなめるように桃花が両手で俺の胸をポカポカと叩き始めて真っ赤な顔で抗議して来た。
多分、噛んたのがよっぽど恥ずかしかったのだろう。
「わかったよ……。桃花、笑ってゴメンて……」
でも、桃花の気持ちは分かった。
なるほど、デートか……つまり、桃花がこれほど恥ずかしがっていたのは、義妹としてでなく『白根桃花』として、デートに誘いたかったからってことでいいのか?
いや、正確には俺が義妹の桃花ではなく『白根桃花』をデートに誘えという意味なのだろうか?
もしかしたら、俺の勘違いかも知れない……
でも、そうだったとしても……これは可愛い義妹のお願いなのだ。
なら、俺の返事は一つだ。
「桃花……明日、俺とデートしてください」
「……はい!」
そして、桃花はやっと振り返り俺に抱き着いて来たのだった。
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