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第16話【義妹とブラジャー】


 義妹の……桃花の様子がおかしい……


「お、お兄ちゃん……おおお、おはよう!」

「……桃花、おはよう」


 今朝、起きた時から既にちょっと違和感はあった。

やけによそよそしいと言うか……


「が、学校! わたしが先に行くから!  お、お兄ちゃんはゆくっり……そのいろいろとスッキリじゃなくて――ゆっくり学校に来ていいからね!」


 そんなわけで学校には言われた通りゆっくりしてから言ったのだが、そんな俺が教室に入るやいなや、先に教室にいた桃花が顔を真っ赤にし……


「お、おに……ゆうくん!? ちょっと、わたしお手洗い行ってくる!」


 そう言って、教室から出て行ってしまったのだ。

 その様子を見ていたクラスメイト達の反応も様々だった。


『桜井の野郎! 俺達の白根さんとなんかラブコメっぽいことしてやがる!』

『気に入らねえ! 俺達の白根さんが怪我される前に奴をぶっ殺せ!』


『ねぇねぇ、白根さんのあの反応、ちょっと気になるくない?』

『なんか桜井くんと良い感じだよね……面白いし大人しく見守りたくない?』


『何で桜井みたいな奴が白根さんに『ゆうくん』なんて呼ばれているんだ!』

『吉田! 俺も白根さんに『山田くん』って呼ばれたいよぉおおおお!』


 我が義妹が引き起こした『ゆうくん呼び事件』から我がクラスは『俺を殺す派』『俺と桃花を見守る派』『とりあえず羨ましい派』の三つに分かれ、混沌を極めていた。


「流石に、何かがおかしい……」


 桃花が俺を避けているのは分かっているが何故避けられているのか分からない?

 理由を聞こうにも――


「桃か――」

「ゆうくん、ごめんなさい!」


 そんな感じで学校では桃花に声をかけることはできなかった。




「ごちそうさま」

「ごちそうさま」


 あの後、家に帰っても桃花は俺と必要最低限の言葉しか交わしてくれなかった。

 すると、晩飯を食い終わったタイミングで父さんとお義母さんが俺達に質問をした。


「二人共、同じ家で暮らすようになって数日になるけどもう慣れたかい?」

「わたし達も、仕事増やしてなるべく早く新しい家を変えるようにするから、それまで我慢してもらえると嬉しいわ」


 今日は父さんもお義母さんも仕事が速く終わったらしく、珍しく家族四人での晩ご飯だったのだ。


「え、うん……わたしはお兄ちゃんも優しいから大丈夫……です」

「父さん、母さん、ありがとう。俺も桃花とは仲良くやれているよ」


 実際は今日の桃花の反応では仲良くやれているかは不安なところなのだけど、問題が分からない以上父さん達の前でいうことでは無いだろう。

 桃花も不満があるのならこの場で何か言っただろうしな。


 でも、だとしたら余計に俺が桃花に避けられている理由が謎なんだが……。




「お、お兄ちゃん……どうそ」

「ああ、部屋に入るな……」


 そして、食事の後、父さんとお義母さんも寝室に行き、俺も桃花がパジャマに着替えるのを待つために部屋の外で待ってから自分の部屋に入った。

 当然、部屋の中にはパジャマ姿の桃花がベッドに座り待っていたのだが……


「その……今日は一緒に寝てもいいのか?」

「も、もちろん……お、お兄ちゃんはわたしの抱き枕だから……」


 正直、これは意外な返答だった。

 今朝からやけに避けられている自覚はあったので一緒に寝たくないかとでも言われるかと思っていたのだが……


 しかし、桃花が良いというのなら遠慮する必要はないだろう。俺は桃花の隣に寝るようにベッドに入り彼女に聞いた。


「今日はどんな枕をご所望で?」

「今日も腕枕が……いい……」


 そうやって、俺は桃花に自分の右腕を枕として差し出し、まるで今朝の避けられていた様子がなかったかのように、桃花は俺の右腕に頭を乗せた。

 すると、自然と俺と桃花は向かい合うような形になり、俺の視線も自然と桃花のパジャマの隙間から覗く胸元のブラジャーに目線が……


――って、ちぃおっと待って!? ぶぶ、ブラジャー!?


 ……ブラジャーだと!? 何で、桃花がブラジャーをしているんだ!? 今まではノーブラだったのに!? 


「な、何でブラジャーなんかしているんだぁああああああああああ!?」

「ふ、ふぇえええええええええええ!? お、お兄ちゃん!?」


 思わず、義妹がブラジャーをしていることに叫んでしまった俺はこれは異常事態だと思いベッドの上で土下座をした。


「ど、どうしたの!? お兄ちゃん、そんな……わたしがブラジャーをしているだけで叫んで………」

「いや! だって、昨日まで寝る時にブラジャーなんてしてなかったじゃないか!」

「み、見ていたの!?」

「なのに、突然ブラジャーを付けだすなんて……きっと、俺が桃花に何か嫌な思いをさせることがあったんだ!」


 だとしたら、今朝からの違和感にも納得がいく、きっと俺の何かしらの行動が原因で桃花は俺を避けるようになった。でも、一人じゃ寝られないから一緒には寝るけど、それとは別に俺を避ける気持ちがある!

 それがきっと、このブラジャーなんだ!


「そ、それは……」


 すると、桃花は言いづらそうに、言葉を詰まらせた。

 やっぱり、何か俺に問題が……


「俺が何かをしてしまったのなら謝る! だから、今朝から俺を避けている理由を教えてくれないか?」

「だ、だって……」


 だって? 一体どんな理由だろうと俺は――


「朝起きたらお兄ちゃんのお、おお、お兄ちゃんが、おっきくなっていたんだもん!」


 それを聞いた瞬間、俺の頭の中は真っ白になった。




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