また
またひとつ
終わりを越えて
歩き出す
同じ空でも
心は新た
―ゆうき視点―
「第一レッスン?」
俺がそう聞くと、彼女は静かに頷いた。
「大会が始まる前に、まず最初のレッスンを行う。いい? この旅の間、私がずっとあなたを守れるとは思わないこと」
その声は冷静で、はっきりしていた。
「これから出会う敵と戦うには、あなた自身が強くならないといけないの」
「俺の……最初のレッスンって?」
「ええ。今日の最初のレッスンは――」
一拍置いて、彼女は言った。
「御魂の制御よ」
その言葉に、俺は首を傾げる。
「え? でも俺、この前の儀式で御魂のコントロールは――」
「違うわ」
彼女は即座に否定した。
「あれは訓練じゃない。あくまで“浄化の儀式”よ」
「浄化……?」
「あなたの魂は浄められた。だからこそ、今は御魂を扱える状態にあるだけ」
なるほど……つまり、スタートラインに立っただけってことか。
俺は手を上げた。
「レイカ……一つ聞いてもいいか?」
「何?」
「魂って、どうやって穢れて、どうやって浄められるんだ?」
俺はゆっくりと言葉を続ける。
「俺の魂は……妹を殺したことで穢れたんだろ?じゃあ、もしまた罪を犯したら、そのたびに儀式をやらないといけないのか?そのたびに力を失うのか?」
胸が重い。
俺の罪は消えない。自分の手で妹を殺した。守れなかった。大切な人たちを――。
「それが“穢れ”の正体よ」
彼女は静かに言った。
「罪を犯したことへの“後悔”や“罪悪感”。それが強いほど、魂はより深く穢れていく」
「じゃあ……罪を犯しても何も感じない奴は? そういう奴の魂は綺麗なのか?」
彼女は首を横に振る。
「違うわ。罪悪感は穢れを“加速させる”だけ。感じないからといって、魂が浄いわけじゃない」
なるほど……。
つまり、逃げても意味はないってことか。
「あなたは浄化の儀式を受けた。でも――」
彼女は一歩近づいた。
「心の中の罪は、まだ残っている」
その言葉が、胸に刺さる。
「守れなかったことへの後悔。自分への怒り。それがあなたの中にある限り――」
彼女は俺の胸に手を当てた。ちょうど左胸の上。ドクン、と心臓が跳ねる。
「そのままじゃ、この旅は生き残れない」
顔が熱くなる。
近い。近すぎる。
「ゆうき」
彼女の声が、少しだけ優しくなった。
「あなたは間違っていない」
「え……?」
「あなたは妹を救ったの。苦しみから解放してあげた」
その言葉に、息が止まる。
「彼女たちは感謝している。かすみも、あゆみも――きっと今は、もっといい場所にいるわ」
信じたい。その言葉を。彼女を。妹たちが幸せだって、信じたい。
「……やってみる」
俺は小さく答えた。
その瞬間――ピシッ。
「いって!」
彼女が俺の鼻を弾いた。
「“やってみる”?」
彼女は呆れたように言う。
「それじゃダメよ」
「え?」
「“やる”の。やるしかないの。試すとか、そんな甘い覚悟じゃ――」
彼女は俺を真っ直ぐ見る。
「死ぬわよ」
その言葉は、重かった。
俺は思わず彼女の手を掴んだ。
「なんでだよ……!」
声が震える。
「なんで俺を守ろうとするんだ? 俺は弱いし、お前みたいに強くもない。なのに……なんで“切り札”なんて言うんだよ」
彼女の目を見つめる。
綺麗だ。整いすぎている。
まるで黄金比みたいに。正直、アレクサンドロヴナ以外でこんな――
「痛っ!!」
頬を思いっきりつねられた。
「な、何すんだよ!?」
彼女は手を離す。
「今、他の女のこと考えてたでしょ」
「はぁ!?」
頬をさすりながら叫ぶ。
「なんで分かるんだよ!? 心読めるのか!?何かの能力か!?」
彼女は首を横に振った。
「違うわ」
そして、あっさり言う。
「チベットの僧から教わった“技”よ」
……は?
そのチベットの僧って何者なんだよマジで!?
私の作品を読んでくださっている皆様、ありがとうございます。皆様に楽しんでいただければ幸いです。初めてですが!SodaKun Out!◇




