ライン
一本の
細き線にも
意味があり
越えれば変わる
世界のかたち
〜第三者視点〜
「この景色、最高だな……。これなら誰だってホームレスになりたくなるってもんだ」
一人の青年がそう呟いた。
見た目はかなり若い。おそらく17か18歳くらいだろう。だが、どこか年齢よりも大人びて見える。いわゆる、アジア人特有の"実年齢より若く見える"タイプだ。
その青年は、路上に寝転がっていた。
太陽は沈み、空には月が浮かんでいる。
「風も止まった……世界が静かだ。休むには最高の時間かもしれない……」
彼はそこで一度言葉を区切った。
「……って、待てよ! 俺、天道の参加者じゃん!!」
勢いよく起き上がる。
「おいテメェ! 誰だよ!? なんでここで寝てんだよ! 俺の邪魔すんな!!」
隣にいたのは、本物のホームレスの男だった。青年がどこか上品で落ち着いた雰囲気を持っているのに対し、その男は完全に"普通のホームレス"だった。
青年は落ち着いた声で言う。
「帰る家はない。でも、俺が休む場所が家になる。風と太陽と雨が、俺の唯一の友達で――」
「うるせぇ! くだらねぇこと言ってんじゃねぇ! 俺は寝てんだぞ!」
ホームレスの男が怒鳴った。
その瞬間――青年は男の口元に指を当てた。
「ちょっと待て。今の、俺のキメ台詞なんだ。もう一回言わせてくれ」
そして、堂々と名乗る。
「俺は龍馬としろう。日本中をさまようホームレスだ。同じホームレス同士、仲良くしようぜ。一緒に旅でもしないか?どうだ? 天道に参加する気はあるか?」
青年――龍馬はそう言った。
ホームレスの男は、完全に呆れた顔で彼を見る。
「……どっか行け、このクソ野郎!」
罵声を浴びせる。
しかし龍馬は気にしない。
「つまり、もっと俺のことを知りたいってことだな?」
彼は勝手に解釈した。
「見ての通り、どこにでもいるただのホームレスだよ」
その瞬間――男は石を拾い、龍馬の頭に投げつけた。
ゴンッ!
「いってぇ!?」
直撃した。龍馬はすぐに逃げ出した。
「クソジジイ! 正気かよ!!」
数秒ほど走り続けたあと、ようやく立ち止まる。
肩で息をしていた。
「はぁ……はぁ……。仲間として歓迎してくれると思ったのに……甘かったな」
彼は少し寂しそうに言った。
「人間は快適さを求める。同じ空気を吸って、同じ太陽を浴びて、同じ水を飲むことすら――分け合おうとしない」
彼は無理やり笑顔を作る。
「……そういえば」
ふと思い出したように言う。
「天道でやるべきことがあったな」
ポケットから紙を取り出し、目を通す。
「依頼は――」
彼の目が細くなる。
「坂本ゆうきの死、か」
そして口元が緩む。
「おお、五百万円か。すげぇな」
だが、次の瞬間。
「……って、待てよ? そんな大金手に入れたら、俺、金持ちになっちまうじゃねぇか。ホームレスじゃなくなるぞ?」
彼が悩んでいるのは――人を殺すことではない。ホームレスでいられなくなることだった。だが、それは"依頼"だ。
彼はため息をついた。
「……ちっ」
そして呟く。
「しょうがねぇな」
顔を上げ、まっすぐ前を見る。
「坂本ゆうきはタダで殺してやるよ」
その言葉には、奇妙なほどの確信があった。迷いはない。龍馬敏郎は――坂本ゆうきという男を、必ず殺すと決めたのだから。
私の作品を読んでくださっている皆様、ありがとうございます。皆様に楽しんでいただければ幸いです。初めてですが!SodaKun Out!◇




