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あの夜、僕は“普通”を失った。ヘブンズ・ウェイ!  作者: SodaKun


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23/30

到達

遠い空

指を伸ばして

届かずも

夢の光は

胸で輝く

〜ゆうき視点〜



俺たちは時計が午前0時、つまり12:00AMを指すのを待っていた。この大会の開始時間。俺を殺すことを裏の目的とした――究極のトーナメントの始まりだ。


「準備はいい?」


レイカが聞いた。

俺は頷いた。

「何が起きても大丈夫だ。俺たちはチームだからな」

「うん。行こう、ゆうき! 行こう!」


俺たちは、真夜中の瞬間を待っていた。大会の開始。その時――レイカのスマホが再び鳴った。

また、さっきの番号だ。


「レイカ! 正宗さんからだ」


彼女は電話に出て、スピーカーにした。


「もしもし」

「夜遅くに悪いね、横浜さん。こんな時間に電話するのは普通じゃないが……理由がある」

「今度は何?」


レイカが短く聞く。


「さっき政府が公開したルールを読んでいたんだ」


正宗は続けた。


「そのルールによると、参加者は自分の番号を体につける必要がある。誰が誰か分かるようにするためだ」


俺はすぐに理解した。


「つまり……そのバッジが俺を識別するための追跡装置ってわけか」

「そういうことだ」

「その番号バッジはどこで手に入るんですか?」


俺が聞くと、正宗は笑った。


「俺がいるのに心配するな。玄関を開けろ。最速の配達が届いている」


その瞬間――

コンコン

ドアがノックされた。


「ゆうき。ドアを見て」


レイカが言った。

俺は玄関へ向かい、ドアを開ける。


「えっと……こんにちは」


緊張しながら挨拶する。そこに立っていたのは――アレクサンドロヴナだった。……なるほど。

正宗さんの言っていた"最速の配達"ってこれか。彼女はガムを噛みながら、風船を膨らませている。


「はい。参加者用のバッジ」


そう言って、二つのバッジを俺に渡した。俺たちの番号が書かれている。


「じゃあね」


彼女は去ろうとした。


「待って!」


彼女は立ち止まる。

俺は言った。


「……助けてくれてありがとう。俺の命を救ってくれたこと、本当に感謝しています。あなたと正宗さんには大きな借りがある」


彼女は肩をすくめた。


「別に。あんたを助けたのは正宗のためよ。彼がいなかったら、あんたなんて見捨ててた」


……どうしてだろう。

俺が出会う美人は、みんな言葉が冷たい。


「一つ聞きたい」

「早く言って。正宗のところに戻らないと」


俺は聞いた。


「どうして俺たちを助けるんですか? しかも間接的に。どうして直接助けないんですか?」


彼女は鼻で笑った。


「それは私も正宗に聞いたわよ。もし私が本気を出せば、あんたの敵なんて全部潰して終わり」

「……」

「それなのに、なんでこんな面倒なことしてるのかってね」

「じゃあ、どうして?」


その時、電話から正宗の声が聞こえた。


「理由はもうアレクサンドロヴナに説明した」


彼は少し笑う。


「彼女の俺への愛は強すぎるからな。俺が危険なことをするのが嫌なんだ」


レイカが口を開いた。


「もし本当にあなたたちが一撃でこの大会を終わらせられるなら――」


彼女は真剣な声で言った。


「どうしてそうしないの?」


俺も同じ疑問を持っていた。

正宗は答えた。


「いい質問だ、横浜さん」


彼は少し間を置いた。


「簡単に言うと……敵側にも切り札がある」

「切り札?」

「普通の敵とは比べものにならない力を持った存在だ」


空気が重くなる。


「俺はその相手に自分の正体を晒したくない」

「そんな敵がいるの?」

「そうだ」


正宗は続けた。


「もうすぐ真夜中だ。俺たちができるのはここまで」


そして言った。


「それと……スマートフォンは禁止だ」

「待って!」


俺は急いで聞いた。


「この旅のスタート地点はどこなんですか?」


一瞬の沈黙。

そして正宗は言った。


「スタート地点なんて存在しない」


――プツン。

電話が切れた。


「くそ……」


俺は振り返る。アレクサンドロヴナの姿も消えていた。……速すぎる。


「残ったのは俺たちだけだな」


俺が言うと、レイカは少し微笑んだ。


「ねえ」

「ん?」

「私たちのチームの名前、どうする?」

「え?」

「チーム名よ。日本で話題になるなら、名前くらい必要でしょ」


彼女はいたずらっぽく笑った。

さっき俺が言った言葉を真似している。

でも……こういう一面を見るのは悪くない。


「じゃあ……」


俺は考えた。


「ビザール・デュオか?」

「いいじゃない」

「本当?」


彼女は頷いた。

そして胸を張って言った。


「ビザール・デュオは、日本だけじゃなく世界で話題になるわ!」


……この旅で、彼女のいろんな一面を見ることになりそうだ。きっと長い旅になる。

その時、彼女は真剣な顔で言った。


「最初の教え」

「え?」

「私に希望を持たないこと」


俺は彼女を見る。


「私はいつもあなたを助けられるわけじゃない。すべての敵を倒せるとも限らない」


彼女は続けた。


「あなたも強くならないと」


俺は頷いた。


「分かってる。俺も……お前の隣に立ちたい」

「隣?」


彼女は笑い出した。

俺の顔が一気に赤くなる。


「な、なんで笑うんだよ!」


俺が言うと、彼女は笑いながら答えた。


「だってあなた、自分が私と対等になりたいって言ったのよ?」

「それがどうした!」

「私のレベルに追いつくには、百万年は必要ね」


彼女はニヤリと笑った。


「バカにしてるだろ!いつか俺はお前を超える!」

「夢の中でね」


彼女は言った。


「あなた、私の前で顔を真っ赤にしてるじゃない。気づいてないと思った?」


俺の顔がまた赤くなる。

レイカは静かに言った。


「今のあなたは――私の届かない場所にいる」


俺は彼女を見つめた。

そして言った。


「いつか……そこに辿り着く」

私の作品を読んでくださっている皆様、ありがとうございます。皆様に楽しんでいただければ幸いです。初めてですが!SodaKun Out!◇

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