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あの夜、僕は“普通”を失った。ヘブンズ・ウェイ!  作者: SodaKun


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16/30

火に油を注ぐ

赤き炎

夜の静けさ

揺らしつつ

消えぬ思いを

胸に灯せり

「自己紹介をしろ! 戦士というものは、戦う前に自分の名を語るものだ!」


檜山が叫ぶ。


「俺は檜山信行!賞金稼ぎ按排第九位だ!これまでに百二十三人の陰陽師を殺してきた。どいつも強かったが……お前ほどじゃなかったな!」


空気が張り詰める。檜山の体から漏れ出している御霊は、まるで炎のようだった。燃え上がるような気配。彼の足元の地面が、その強烈な御霊の熱で溶け始めている。それなのに――正宗はまるで何事もないかのように立っていた。……こいつはいったい何者なんだ?レイカのような陰陽師なのか?それとも、まったく別の存在なのか?なぜこんな場所にいる?


「俺か?」


正宗は肩をすくめる。


「さっきも言っただろ。俺はこのレストランのオーナーだ。自己紹介なんて必要ない。肩書きだけで人間は分かるもんだ。この世界ではな、肩書きがすべてだ!」


彼かは胸を張った。


「俺はこの世界でナンバーワンのシェフだ。さあ……お前を料理してやる」


二人の口元に同時に笑みが浮かぶ。


「もう手加減はしねぇ!!」


檜山が叫んだ。彼は正宗に向けて手を突き出す。体から炎のように漏れていた精力が、今度は掌の中心へと集中していく。……さっき俺に撃った精力弾とは違う。


「待て……」


俺の背筋が凍った。


「まさか……あれが本物ってやつなのか?」


目を見開く。

あまりにも巨大な精力。霊的精力の濃度が、掌の中心から溢れ出している。御霊が炎と熱をまとって踊っている。その霊場はまるで地獄の業火のようだった。すべてを焼き尽くす炎。


「この攻撃を生き延びたら……お前に敬意を払おう、最高のシェフよ!」


正宗は笑った。


「よく喋るな。落ち着けよ。お前、地球温暖化を加速させてるぞ。暑すぎるんだよ」


肩を回しながら言う。


「まあ……悪いけどさ。俺の方が強い」


檜山は笑いながら――攻撃を放った。轟音。それは、漫画で見るような精力砲だった。道路が溶け始める。この距離でも、恐ろしい熱を感じる。

――ドォォォン!!

爆発。あまりの光に目を閉じた。それでも爆発の熱が瞼を焼く。どれくらい経ったのか分からない。耳から音が消えていた。耳鳴りすらない。……聴力を失ったのか?ゆっくり目を開ける。熱が強すぎる。体が焼けるようだ。手を見ると、皮膚が黒く焦げていた。火傷の跡が手いっぱいに広がっている。

……生きているのが奇跡だ。周りを見渡す。どこもかしこも煙だらけ。これが……檜山の本当の力。やがて煙が少しずつ薄れていく。地面に倒れたまま、俺は三十分ほど動けなかった気がする。最初に見えたのは――檜山だった。

立っている。

だが――口を大きく開け、目は何かを見て凍りついている。……何に驚いている?


「おーい。髪、焦げてるぞ」


それが、耳が戻って最初に聞いた言葉だった。

振り返る。

正宗が――無傷で立っていた。かすり傷一つない。


「いやー、あのハゲ野郎、ほんと短気だな。いきなり終末レベルの爆発とかさ。俺の大事な髪型が台無しになるとこだった」


肩をすくめる。


「まあ、あいつは気にしないんだろうな。そもそも髪がないから」


そして大笑い。

俺は再び檜山を見る。まだ前を見つめている。……正宗はここにいる。なら、檜山が見ているのは――?

煙が完全に晴れた。そこに――一人の女が立っていた。腰まで届く長い白髪。そして血のように赤い瞳。……また超人か?


「戦士は決して退かない」


女が静かに言う。


「私の名は――イリーナ・アレクサンドロヴナ・ジューコワ」


……長い名前だ。

その名を聞いた瞬間、檜山の目が見開かれた。まるで幽霊を見たかのように。


「まさか……!お前は……第二次世界大戦のソ連の伝説の司令官の……子孫か!?」


女は冷たい声で言った。


「黙れ。祖先は私を定義しない。彼の栄光は彼のもの。そして私の栄光は私のものだ」


檜山が笑う。


「運が良すぎる!!二百万円の雑魚を殺しに来ただけだったのに――人生最高の戦いが待ってるとはな!!こんな名門の血を引く相手に手加減したら、俺の名が廃る!!」


檜山が突進した。拳の連打。だが――女はまったく動いていない。それなのに、すべての攻撃が彼女をすり抜けていく。


「次は……私の番」


その瞬間。彼女は一歩も動いていないのに――檜山が吹き飛んだ。


「な……!?」


俺の口から思わず声が漏れる。檜山の動きは速い。俺には予測するのがやっとだ。だが、この女の速さは――それを遥かに超えている。どうしてだ?指一本動かしていないのに。


「疑問で頭がいっぱいだろ?」


正宗が言った。

俺は彼を見る。


「どうしてあんなことができるんだ?」


正宗は笑う。


「何が起きてるんだって思ってるだろ?魔法か?それともトリックか?指も動かさずに人を吹き飛ばすなんてあり得ない……そう思ってるんだろ?」


俺は頷いた。

……こいつ、チベットの僧侶にでも修行を受けたのか?俺もその僧侶に会ってみたい。

正宗は肩をすくめた。


「お客さん。まだ普通の人間の視点で考えてる。超常の世界を見たあとでも、あいつらの強さを人間の基準で測ろうとしてる」


彼は煙の向こうの戦いを見ながら言った。


「いいか、友よ。あいつらは、とっくの昔に人間の領域を超えてるんだ」

私の作品を読んでくださっている皆様、ありがとうございます。皆様に楽しんでいただければ幸いです。初めてですが!SodaKun Out!◇

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