賞金がかかっています!
笑い声
風に乗りゆく
昼の道
心は軽く
空まで跳ねる
その坊主頭の男は、ゆっくりと俺に顔を近づけてきた。
その目が、まるで品定めするように俺を観察している。
「えっと……こんにちは?」
会話をしようとしたが、どうやら俺の言葉は無視されているらしい。男はただ黙って、俺の顔をじっと見つめている。……俺のことを知っているのか?いや、こんな坊主の男なんて見た覚えがない。しかも、どう見ても俺と同じ年には見えない。
「お前は坂本ゆうきだな」
ついに男が口を開いた。
俺の名前を言った。
心臓が止まったような感覚がした。顔から汗が噴き出す。俺の名前を知っているということは――
「お前……普通の人間じゃないな」
男は宝くじでも当てたかのような笑顔を浮かべた。
「やっと見つけたぞ、坂本ゆうき!!俺は檜山信行だ!!」
嬉しそうに、自分の名前を叫ぶ。
そして懐中から、一枚の紙を取り出した。
「よく見ろ」
それを俺の前に突き出す。
俺の目が大きく見開かれた。
それは――指名手配書だった。犯罪者に使われる、あの手配書。そこに載っている男は――俺だった。坂本ゆうき。生死問わず。懸賞金は――二百万円。俺はごくりと唾を飲み込んだ。
……この後に何が来るのか、分かっている。死が、俺を待っている。
「死ねぇ!!」
次の瞬間、腹に強烈な蹴りが叩き込まれた。一瞬、体の空気が全部抜けた。衝撃での体は宙に浮き上がる。レストランのドアが自動で開き、俺はそのまま外へ吹き飛ばされ、道路に叩きつけられた。
数分間、痛みで呼吸の仕方すら忘れる。
起き上がろうとしたが、痛みが強すぎた。
「痛いのか? はっ!なんて弱い奴だ!」
「なっ……!?」
目の前に、もうあいつが立っている。……どういうことだ?速すぎる。どうやってこんな一瞬でここまで!?
「ここにいる俺を見て驚いたか?なんでお前が狙われてるのかは知らねぇが……懸賞金がかかってるらしいな。二百万円だ。お前みたいな雑魚にしちゃ高すぎるぜ」
少し笑う。
しかし次の瞬間、表情が一変した。
「……俺の名誉をつけやがって」
怒りの顔。檜山は俺の襟首を掴み、軽々と持ち上げた。
俺は必死にもがく。
だが、この男は間違いなく強い。
……いや、ばけ物だ。
かたておれを空中に持ち上げながら、もう片方の手で指を向ける。
「おい、ガキ。カッコいい技を見たいか?」
指先が光り始めた。そこから、とてつもない量の御霊が放たれているのを感じる。
……すごい。御霊を感知できるようになったけど――その代償は……俺の命らしい。
「これは俺の御霊を込めた攻撃だ。霊的精力を一点に集中させた技だ本物より弱いが……お前を殺すには十分だ」
俺は目を閉じた。
……これで終わりだ。もう、どうにもできない。
「死ねぇ!!」
死を待つ。
――精力!!
爆発音が響いた。……俺もろとも何かが吹き飛んだのか?
その時――妙な匂いが鼻をくすぐった。……食べ物の匂い?ここは天国じゃないのか?天国って、もっと神々しい場所じゃないのか?
「起きろぉ!!」
怒鳴り声。
俺は目を開けた。
「よぉ! 俺だ!!注文してたドイツ風カリーヴルスト、特製だぞ!!」
目の前に立っていたのは――レストランの店主、正宗だった。手には、しっかりと俺の注文した料理が入った袋。
「ほらよ!金払わずに帰るなんてマナー違反だぞ!カリーヴルストがいくらするか知ってるのか!?悪い子だな!千円払え! 一円もまけないぞ!!」
俺の目が見開かれる。
……料金のせいじゃない。俺を殺しかけた男が、口を開けたまま固まっていたからだ。
逃げろと言わないと――
「お前……逃げろ!」
「は?」
「逃げろ!!」
しかし――遅かった。檜山信行が高く跳び上がる。
「死ねぇ!! クソ野郎!!」
着地。
その衝撃で地面が大きく割れた。爆弾が爆発したかのような衝撃。砂埃が舞い上がる。やがて煙が晴れた。檜山が俺を睨んでいる。
「誰かは知らねぇが……あいつはもう死んだ。俺の獲物を横取りする奴は許さねぇ」
その時。
コホン、と咳の音。
「人口密度上げすぎだろ、兄ちゃん。落ち着けよ。腹減ってないか? 何か作ってやるぞ」
声の主は――檜山の後ろに立っている正宗だった。俺も檜山も、同時に驚く。……どうやって生きてるんだ!?檜山が振り向く。
「てめぇ……誰だ?普通の人間じゃねぇな」
「誰? 俺か?」
正宗は胸を張った。
「世界一のシェフだ!!俺は最強だ!!」
大笑い。次の瞬間――檜山の拳が飛んだ。速すぎて、俺には見えない。
「おっと、落ち着けよ」
正宗はその拳を掴み――顔面に一撃。檜山の体が数間吹き飛び、トラックに激突した。
「うおぉ!!いいシュート決まった!! ゴォォール!!」
正宗は大喜びで空を殴った。次の瞬間。空気が歪んだ。
拳から衝撃波が生まれ、檜山を建物の中へ吹き飛ばす。道路はその一撃で破壊されていた。
「……何者だよ、お前」
俺は呟いた。
その時――瓦礫の中から、何かが高速で跳び上がった。空中にいるのは――檜山。眉から血を流し、傷だらけだ。
「気持ち悪い野郎だな……お前、何者だ?普通の人間じゃない。俺が誰か……分かってるのか?」
「ごめんなさい、私の方が強いんです」
私の作品を読んでくださっている皆様、ありがとうございます。皆様に楽しんでいただければ幸いです。初めてですが!SodaKun Out!◇




