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あの夜、僕は“普通”を失った。ヘブンズ・ウェイ!  作者: SodaKun


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14/30

正宗

ブラジルの

太陽高く

空燃えて

森と海まで

命あふれる

目を開けた瞬間、部屋の中は完全な混乱状態だった。

家具も家の中の物も、ほとんどが壊れている。壁には大きな亀裂が走り、その隙間から水が漏れ出していた。……水?いったい、どこから?だが、それ以上に驚いたのは――レイカが血を流していたことだ。俺は慌てて彼女のもとへ駆け寄った。


「どうしたんだ、レイカ!? 教えてくれ!悪霊に襲われたのか? 家はどうなったんだ!? 誰がこんなことをした!?」

「私のことは心配しなくていい。大丈夫よ」

「どう見ても大丈夫じゃないだろ!?」


彼女の手からは大量の血が流れている。床には血が広がり、彼女は明らかに重傷だった。


「だから言ったでしょ。私は平気よ、坂本ゆうき。

それより、自分の心配をしたら?」

「……は?」

「よく見てみなさい。罪の鎖から解放されたことを喜ぶべきよ。あゆみの怨霊は、もうあなたを追わない」


俺はゆっくりと体を動かしてみた。

……本当だ。もう鎖に縛られていない。後ろを振り向く。そこには怨霊の姿はなかった。


「……何が起きたんだ?」


背筋に冷たい感覚が走る。恐怖や危険の寒気じゃない。本当の冷たさだ。気のせいか?部屋が妙に寒い。さっきまで壁の亀裂から流れていた水も、いつの間にか止まっている。

俺は彼女を見た。何か聞こうとした瞬間、彼女は俺を手で制した。


「お腹すいた。何か買ってきて。できればカリーヴルストがいいわ。さっさと行きなさい。さもないと、あなたを殺して食べるわよ」


完全に脅しだった。


「は、はい、御上!!」


俺は急いで家を飛び出した。

……あの人、俺が今まで会った中で一番怖い女性かもしれない。


「居酒屋通りを通るしかないか……。まあ、日本の居酒屋でドイツ料理が見つかるとは思えないけど」


俺の家は、この辺のジムの近くだ。

歩き始める。

朝の空気を大きく吸い込んだ。


「……頭がスッキリするな」


朝の冷たい風が頬に触れる。気持ちがいい。……残念ながら、この朝を見ているのは、きっと俺だけだろうけど。

居酒屋通りを歩いていると――ふと、見慣れない店が目に入った。


「……ん?こんな店、いつできたんだ?」


昨日までは、こんな建物はなかったはずだ。三階建ての建物。

中央(には、大きな英語の筆記体で――

BRUTO

と書かれている。


「外国人がレストランを開いたのか?」


外観はかなりおしゃれで、色使いも目立つ。


「外国の店なら、入ってみるか。レイカはドイツ料理を食べたがってるし……もしかしたらカリーヴルストもあるかもしれない」


今日は運がいいかもしれない。俺は店の中へ入ることにした。ドアは自動だった。近づくと静かに開く。

店内は――妙に落ち着いた空間だった。


「……え?」


外の見た目は完全に外国のレストランだったのに――中は……完全に日本風だった。畳が床いっぱいに敷かれ、囲炉裏がこの場所に暖かさを与えている。

客はほとんどいない。奥の方で、一人の男が酒を飲んでいるくらいだ。薄暗い提灯の灯りが、店内を照らしている。歩くたびに、木の床がギシギシと音を立てた。

……タイムスリップでもしたのか?まるで別の時代に迷い込んだみたいだ。この空間の魅力から、目が離せない。


「いらっしゃいませぇぇぇ!!ここは俺の唯一のレストラン!!そして俺は世界一のシェフだぁぁ!!」


突然、大声が店内に響いた。

俺は思わず一歩下がる。


「はぁ!?」聞こえなかったのか!?俺は世界一のシェフだって言ったんだ!!」

「……誰なんだよ、あんた」


それが、彼を見た瞬間の俺の感想だった。黄色のジャージーに、大きく"9"の数字。青いショートパンツ。

そして――ワニの形の子供用スリッパ。


「誰だって? 俺か!?俺は世界一――」

「それはもう聞いた。自己紹介はそれ以外で頼む」


彼は自分を指差した。

「俺?俺は正宗!!この店のオーナーだ!!」


そう言って、彼は豪快に笑った。

……この人、大丈夫か?


「で、お前は誰だ?」


周章してきた。


「俺が誰に見える?」


彼は顎に手を当てて考え始めた。


「うーん……全然おしゃれじゃないな。たぶん……物乞い?」

「はぁ!?どこがどう見えたら物乞いなんだよ!?俺は注文しに来たんだ!」


彼は驚いた。


「おお! 客か!!サービスするぞ! 何を食べたい!?うちは世界中の料理を出してる!特にブラジル料理が最高だ!!このユニフォーム見ろ!!あのロナウド・ナザリオのサイン入りだ!!」


彼は胸のサインを見せてきた。

ロナウド?サッカー?なるほど、サッカーのユニフォームか。


「注文したい。持ち帰りで頼む。ドイツ料理のカリーヴルストはあるか?」


彼は頷いた。


「あるぞ!ちょっと待ってろ!世界一のカリーヴルストを作ってやる!!なんせドイツは昔、我らの同盟国だったからな!」


そう言うと、彼は背中を向けて奥へ歩いていった。障子を滑らせて閉める。俺は畳に座った。

すると――酒を飲んでいた男が立ち上がった。……帰るのか?

いや。こっちに来ている。

知ってる人か?胸が少しざわつく。

なぜか分からないが、妙に緊張する。男はゆっくり歩いてくる。

そして――俺の目の前で止まった。俺も立ち上がる。


「えっと……こんにちは」


……気まずい。何を言えばいいのか分からない。

しかし男は挨拶を返す代わりに――懐中に手を入れた。黒いフーディー。白いTシャツ。黒いパンツ。

そして――坊主頭の男だった。

私の作品を読んでくださっている皆様、ありがとうございます。皆様に楽しんでいただければ幸いです。初めてですが!SodaKun Out!◇

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