異なる世界
今日は体調が悪いので短い章になってしまい申し訳ありません。
「蟻一匹の死に、少々払い過ぎではありませんか、我が君」
U字型の机を囲む会議場。そこに座る者たちの顔には、困惑が浮かんでいた。今この瞬間、脅威とは言えぬ相手に、二百万円の懸賞金をかけるなど——。
「ギン。お前は高すぎると思うかもしれんが、私は妥当だと考えている。価値がないというなら、なぜ奴は我々の切り札だった?」
「我が君……彼が切り札である理由は——」
~ゆうき~
物音が聞こえる。扉が開く音だ。
窓から光が差し込む。
「起きろ、ゆうき」
柔らかく、それでいて冷たい声が、俺の名を呼んだ。
目を開けようとする。
開いた瞬間、焼けるような痛みが走る。まるで闇の中で生まれたかのように、光が刺さる。昨夜は長かった。悪夢のような夜だった。
いや——きっと一生終わらない悪夢だ。
「……レイカ」
「よく眠れた?」
俺は首元の鎖に触れる。
それだけで答えは十分だった。
怨霊は俺に縛りついている。静まり返っている。呪いも、言葉もない。その時、あることを思い出した。
「レイカ。かすみは? 彼女の霊が見えない。どこへ行った?」
「消えたわ」
「消えた……?」
どこへ?
「そんなはずない。霊は死んだ場所に縛られる。俺は今まで、霊が自ら去るなんて見たことがない」
「ごくわずかだけど、自分の終わりを受け入れる霊もいるの」
「終わり……?」
玲華は深く息を吸い、俺の肩に手を置いた。
「座りましょう。そして、あなたが属しているのに知らない世界について話してあげる」
気づけば椅子があり、俺はそこに座らされていた。いつの間に。
レイカも椅子に腰かけている。魔法みたいだ。
「知りたいことを聞いて。すべて答える」
頭が混乱している。質問だらけなのに、最初の一つが出てこない。
「……何が起きた? 死神って何だ?」
「死神は、悪意を抱いたまま死んだ魂。他者の苦しみと死を望む存在よ」
拳を握る。なぜだ。なぜ妹が標的になった?
「他には?」
「聞きたいことは山ほどある。でも、どこから始めればいいのか……俺たちは何者だ? 霊が見えるだけの普通の人間だなんて、自分に嘘はつけない」
「私たちは“選ばれた存在”。神々に選ばれた、特別な人間よ。あなたは霊を“見ている”んじゃない。“感じている”の。第六感で」
「第六感……?」
玲華は頷いた。
「人間は五感を持って生まれる。視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚。でも私たちは六つ持つ。その第六感が、魂の領域と繋がるの」
「だから、霊を見て、聞いて、触れて……感じられる?」
「そうよ」
特別。そんな言葉に何の意味がある。守れなかったのに。
「かすみは? あの子はどこへ行った?」
玲華は立ち上がる。
椅子が消えた。
「答えを知りたいなら、まず概念を理解すること。訓練するわ。今すぐに」
「今すぐ?」
「ええ。立って」
立つ。
椅子が消える。
「山とか森に行くのか?」
「いいえ。ここで始める。基礎から」
レイカは息を整えた。
「この世界は物質でできている」
「常識だろ」
「でも、もう一つの相がある。万物には二面性がある。物質と——霊性。すべてに魂が宿る」
「……無機物にも?」
「ええ」
混乱する。
「じゃあ……人形にも?」
「もちろん」
「銃で人を殺したら、銃も刑務所行きか?」
レイカの視線が冷たくなる。
「銃を握っているのは誰?」
「……」
「そんな考えをしていたら、昼までに死ぬわよ」
「俺たちの周りの“場”は何だ? 霊にはない」
「いい質問ね。それが私たちの霊的相よ」
「でも無機物には——」
「それは——」
~第三者視点~
畳の上に、二人の男が向かい合って座っている。間には低い木製の机。空になった酒瓶が二本。
だが、まだ飲み足りない様子だ。
「日山信行。坂本ゆうきの首を持ってこい」
私の作品を読んでくださっている皆様、ありがとうございます。皆様に楽しんでいただければ幸いです。初めてですが!SodaKun Out!◇




