その5
久々の更新
アンディの手を取ったその時だった。
ピリリリリリリ・・・
電話の音が二人の耳に届いた。電話と言っても魔法道具の一種であり、電波だのなんだのはない代物だ。電波の代わりに魔力を使うのである。
そのため魔法キャリーのような誰しもが使える魔法道具ではなく、国家資格を得た魔道士しか使うことを許されていない。ロジーナもテレビドラマ以外で見かけたのはこれが初だ。
「失礼」と柔和な笑顔で断った後、アンディはそれを慣れた手つきでポケットから取り出して耳に当てた。途端、怒号がスピーカーから流れ出す。
『アンドレイ!貴方何処にいるんです?!』
「何処って...」と彼はロジーナを一瞥した。
「可愛い女の子と一緒よ?」
『あんたそれで場所の特定が出来るとか思ってんですか!!』
「思ってないことくらい解るでしょ?貴方こそ、本当に検討もないことないんじゃない?」
クスクスと笑うアンディに電話の先の人物は大きくため息をつく。
『解りますよ。貴方が失踪するときは高確率でスイリスのところですからね...』
「いやん、さすがティオ!あたしのことわかってるーぅ!」
照れたような動作をしては見せるが、爽やかに笑っているようにもとられるため気持ち悪さは無い。本当にこの外見の無駄遣いはなんだろうかと、その微笑みに不覚にもときめいてしまったロジーナは冷静になる。
なおもスピーカーから喧しいどなり声が聞こえてきた。
『笑い事じゃありませんって!最高責任者の不在がどれだけ問題なのか御自覚下さい!』
最高責任者、と言う言葉に思わずロジーナは反応した。彼は蒼藍の一人であり、その上で最高責任者と言うことは、もしかして蒼春院の院長は彼に変わったのだろうか?書面上でと実際とで所属長が変わっていると言うのは存外珍しいことでもない。
が、そんなことを切り出すことなんてできるはずもなく、目の前で見えない相手との口喧嘩を楽しむアンディを見ていることしかできないのがロジーナの性格だ。




