その6
『貴方の地位はともかく、今回はイルと一緒ではないんでしょう?』
イルが男だと言うことさえ知っていれば、女の子と一緒という言葉一つで一緒にいる相手がイルではないことは判明する。それゆえに「ティオ」と呼ばれる電話の相手は居場所を聞いたのだろう。もちろん、そのくらいのことはアンディにも解っていた。
「そうね、でも甘いわよ?」
『は?』
「新人の蒼藍の子の話、聞いてるでしょう?私、会議報告で連絡したもの」
蒼藍は各四院に点在している。けれども仕事の量やら能力値やらは統一しなければならないため、月一ペースで魔法道具を用いた電子会議が行われていた。が、実際そんなに仕事が来るわけでもないので、ただの蒼藍年長者達による各院で起きたどうでもいいことを報告し合う雑談場となっている。もちろん前回の話題と言えばもっぱら新人が配属されるらしいと言うことで、「どうせまたダメだろう」だの「女の子とか、新人で来るのは久々じゃない?!」だの会議とは名ばかりの話が横行していた。
もちろんその時にいつも通り、蒼春院に配属することになるだろうという話も流れていた。
『・・・そう言えば、先日ビルさんに連絡してましたね』
「そ・う・よ!可愛い女の子が来るんなら、移院する前に顔見ておかないとって思うでしょう」
『僕は思いませんがね』
「ティオは女の子に淡白だからモテないのよぉ」
『貴方もそのオカマっぽさを抜けばいくらでも周りに花が咲きますよ』
「いやん、この性格とか口調も評判いいのよ?」
話の流れは多少めちゃくちゃだが、聞いていたロジーナは、アンディがイルではなく自分を見に来たのだということだけは解った。しかし、移院する前にとは正直な言い方だ。やっぱりそう思われていたのかと彼女は悔しさと悲しさに悶々とする。
と、不意にアンディがロジーナを一瞥すると、軽くウィンクをして見せた。見なりだけは相当なイケメンのため、不覚にもドキリとする。
「でも、心配無かったみたいだわ。蒼藍としての仕事を続けてくれるみたいよ」
『!!本当ですか?』
「そんな悪質な嘘つかないわよ」
『いつも吐くでしょう。・・・アンドレイ、電話を変わってもらえますか?』




