その6
しばらくの沈黙が走った。が、それは衝撃を受けたわけでも、あきれ返ったわけでもなかった。
「・・・え?それだけ?」
説明がもう少し続くかと思い、アンディが黙っていたのだ。そしてティムもティムで相槌か何かが来るのだろうと固まってしまったのである。
ゴホンと咳払いをすると、ティムが話を再開した、
「アンディ、人種と魔法の組み合わせについては抗議で聞いたよな?」
「そうね。少し薄れてるとは思うけど・・・」
「コクイ族と相性のいいのは何だった?」
「えーっと、確か・・・発現系陽魔法だったかしら」
発現系魔法には陰陽の二種類がある。今アンディの応えた発現系陽魔法は、火や草といった魔法を指す言葉だ。
アンディの言葉を肯定した後、応えさせたにも関わらず、ティムは違う話をし始める。
「有翼人種ってのは、村単位に一つの割合で独自の発紋陣を持っている。子供は10歳を超えた時にそこで紋を発紋させ、技術を徐々に磨いていく。そういう古来から続く文化がある」
発紋陣とは、身体に魔法を遣う紋章を浮かび上がらせる一種の魔法だ。どの魔法が使えるのかは人それぞれで違うものであり、それゆえどれでも使えると言うわけではない。そこで、発紋陣という特殊な魔法陣を用いて、体内に眠っている魔法を使う才能を叩き起こすわけだ。
現代でも基本的にはこの方法で魔法は授けられており、魔道士たちの間では酷く常識的な話だ。
「もう、何の話・・・」
「しかしだな!」
アンディが問いかけるのとほぼ同時にティムが言葉を繋げた。それから彼は一杯お茶を飲むと、彼はコップを持ったままアンディを指差す。
「あの餓鬼が使えたのは、水、氷、雷なんだよ」




