その1
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「んじゃ、そういうことだから」
「は?」
院長ティム・トムズの言葉にアンドレイ・ヤコフレヴィッチ・ウォロシーロフは固まった。
彼の目の前には一人の少年が立っている。いや、立っていると言うか、完全にティムの後ろに隠れている。年齢は小学生をくらいだろうか?ピンク色の髪が少し派手で、赤色の服も形状が少々特殊だ。どこかの民族衣装であんなものがあった気がするなと、アンディはうろ覚えすぎる記憶を探る。
ティムは頭をガリガリと掻くと、何故解らないのか解らないと言う感じでもう一度同じ説明を繰り返した。
「だから、こいつの面倒を見てくれ」
「こいつって何よ」
「この坊主だよ」
「ティム・・・あんた隠し子いたの?」
「よし、いい度胸だなガキ」
ゴキゴキとティムが指を鳴らすと、彼の後ろに隠れていた子供がぴょっと飛びあがってその場を離れる。おぼつかない脚で何処に行くのかと思いきや、アンディから見てティムより奥にある柱に、さっとその身を隠した。二人は、その様子を思わず淡々と見てしまう。状況から見て、明らかに彼を怯えさせたのはティムだ。ばつの悪そうな顔をするティムに、アンディが責めるような目を向けてきた。
「ま、そういうことだから」
「ちょ・・・」
アンディが問い詰める前に、ティムは部屋を出ていってしまう。
少年と二人残されたアンディは、困った顔で少年を見た。それだけで、彼は身をすくめる。一体何におびえているのか解らないが、ともかく小動物並みに臆病な性格のようだ。
派遣された村や町で気に入った孤児がいると連れ帰ってきてしまうという悪癖が、ティムにはある。彼がこの間行ってきた任務は確か、有翼人種の村だった。そこから、この少年はその村の子供だろうと推察できる。
しかし、ティムは面倒は見ない。「この間までは一人見てた」というのは古株が揃っていうので確かなのだろうが、少なくとも今は見ていないので見れるだろうとアンディは不満を抱いた。




