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毒親育ちの俺、異世界で優しい家族を得る~不運な男爵家ですが、錬金魔法で辺境領地を発展させます~  作者: 夢・風魔
3章

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82:それ、根回しってやつ?

「ぴーらー、ですか? ほほぉ、ほほぉ……こ、これは!? 剥きやすい! 剥きやすいですぞ!!」


 ピーラーの素晴らしさを知ってもらうなら、実際に使ってもらうのが一番。

 ということで厨房へとアスデローペ卿を連れてきて、ピーラーでニンジンの皮を剥いてもらった。

 それにしても。


「なんだか皮むき慣れてるような?」

「はっはっは。実はわたし、些か料理には自信がありましてな。いやぁ、実にいい。いいですぞ、これは! このピーラーの製造権をわたしに譲ってくれるとは、また何故であるかフィッチャー殿」

 

 そう。フィッチャーが企んでいたのは、ピーラーをアスデローペ卿に作らせるというものだ。

 なんで? 俺が錬金するのに。


「アスデローペ卿。ちょっとフィッチャーと話をしてきますので。どうぞ、ピーラーの使い心地を存分にお楽しみください」

「む? そうであるか。では遠慮なく」


 というわけでフィッチャーを連れて別室へ移動。


「どういうこと?」

「どうもこうも。ディルムット様、これ以上仕事を抱え込んでどうするんですか。ええですか。ピーラーの構造は職人なら見ただけですぐわかるもんです」


 まぁね。


「材料もちょっとの鉄と木材だけや。高値で売れまへん」


 まさにその通り。百円ショップで買えるような品物だ。

 安い。だからこそ、一年か二年で買いなおすことになっても気にならない。

 そりゃ高いのもあるけど、百円ピーラーが主流だったろうな。俺も税抜き百円以上するピーラーなんて、買おうと思ったこともないし。


「利益を出そう思たら、相当な数を売りさばかなあきまへんやろ?」

「うん。だから頑張って」

「一万個」


 うっ……。


「ディルムット様の錬金だけじゃ、刃の改善が必要なんでっしゃろ? せやったら、一日に作れるピーラーの数は、そない多くないはずや。そのうえ、親方さんたちには他にも仕事があんねんで?」

「い、一日数十個が限界……かなぁ」

「見習い職人でも作れるような品や。せやったら製造と販売権利を売って、利益の一部を受け取るようにしたらええんです。もちろん、ディルムット様の方でも錬金できるよう、契約書にはちゃんと書かなあきまへん」

「でも権利なんて……見ただけで誰でも作れるなら、意味ないんじゃ?」


 そう言うと、フィッチャーは指を立てて「チッチッチ」と舌を鳴らす。


「アスデローペ卿やったら、すぐに特許を取るでしょう。特許を取ったら勝ちですわ。他では作ったらあかんようなりますさかい」


 特許!? この世界にも特許があるのか。


「特許いうんは、その商品やそれを作る技術を一定期間独占できるっちゅうもんでしてね。まぁこれはレトンが七十年ぐらい前に始めたことで、独占だけやのうて、商業国がその品質を認めるっちゅうものでもあるんですわ」

「へぇ。この世界の特許には、品質保証まであるのか」

「ん? この世界の?」

「うん、なんでもない。なるほど。特許を取れば、アスデローペ卿の独占販売が可能なんだね」


 そうなれば、たとえひとつ売れたときの利益が少なかろうが関係ない。

 少なくとも、この大陸全土では彼が自由に販売できることになるのだから。

 そりゃ喜ぶはずだ。


 そして俺たちは、何もしなくてもお金がガッポガッポ入ってくるってわけだな。

 ま、単価が安いから大金じゃないだろうけどね。

 それでも十分だ。

 フィッチャーが言う通り、これ以上やることを増やしても仕方ないしね。

 新しい領民が増えるから、しばらくは忙しいだろうし。


「わかった。契約面はフィッチャーに任せるよ。どうせまた、オルフォンス王国内での販売は、フィッチャー商会がってことにするんだろう?」

「それもありますが、竹細工の特許をとるために協力をいただこうと思いましてね」

「竹細工の? もしかして、国外での販売も?」

「ふひひひ」


 悪そうな顔をしている。

 まぁ竹林の面積も増えたし、なんだったら西の山を少し行ったところに、大きな竹林も見つけてある。

 伐採して、村の方まで運べるようローラーコンベアはいつでも錬金できるしね。


「うん。竹細工なら一瞬で数百個作れるし、ピーラーほどの消耗品でもないから大量生産しなくていいもんね」

「そうです。せやから、希少価値を付けて高値でも売れますさかい。ぬふふふふ」


 やっぱり悪い顔をしている。


 アスデローペ卿の所へ戻ると、カゴ一杯のニンジンの皮が剝かれていた。


「わっはっはっは。ピーラーは確実に売れますぞ!!」


 うん、楽しそうで何よりだ。






「じゃ、契約書はこんなもんで」

「うむ。さっそく特許を取得して、うちの職人たちに作らせましょう。他にもあちこち声を掛けて、大量製造せんとな。そこでディル殿」

「見本のピーラーが必要なんでしょう? 直ぐに用意しますよ」

「ありがたい。竹細工の件、必ずや特許を取れるよう、特許庁に働きかけましょう。なぁに、ディル殿はレトンにとって恩人もどうぜん。誰も意義は申しますまい」


 特許庁に働きかけって、それ、根回しってやつ? 大丈夫? 不正にならない?

 まぁやってくれるっていうなら、いいか。

 俺はひとことも「やって」とは言ってないし。


「それじゃあアスデローペ卿。よろしくお願いしますね」


 ピーラーの件とは別に、鉄インゴットも注文した。

 他にも何種類かの布をいっぱい。

 移住してくる人たちのためだ。


 もちろん。


「技術提供はもちろんタダやありまへんで」

「う、うぐぐ……べ、勉強させて、もらいます……」

 

 フィッチャーが値切った。

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