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毒親育ちの俺、異世界で優しい家族を得る~不運な男爵家ですが、錬金魔法で辺境領地を発展させます~  作者: 夢・風魔
3章

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81/106

81:ディルムット、搭乗完了!

「さぁ、コロコロたち。いくよ!」

『『キチ!』』

「うおおおぉぉぉぉ! 錬・金・魔・法!」


 地面に両手をついてイメージする。

 シンプル且つ、カッコいいロボットだ。

 大きさは五メートル。これ以上大きいと、コロコロたちだけでは動かせなくなる。

 逆に小さいと、コロコロが各部に埋まれないのでダメだ。


 上腕、前腕、手のひら。太もも、ひざ下、足先。そして顔。

 全部で十三匹のコロコロを使って、この土製ロボットを動かす。

 そして俺はもちろん、パイロットだ!

 パイロット席は胸。ただし中ではなく、胸の前に囲いのある椅子を置いた感じのヤツ。もちろん、土製だ。

 中に入れるパターンも錬金してみたけど、強度が足りなくて一歩動いただけで崩れてしまった。

 また、ガチガチにするとコロコロが搭乗できないという。


「よいしょっと。ディルムット、搭乗完了! コロコロ機、発進!」

『キチィ』


 一歩、また一歩と前進する。俺が連続錬金で動かすよりも遅い。

 だけど、俺の魔力を消費しなくて済む!!


「うおおおぉぉぉぉ! ディルの兄貴、カッケェー!」

「うわぁ、すげぇー!」

「ほらほら、みんな。そばに寄ると危ないから、もう少し離れて見学しようね。後で順番に乗せてあげるから」

「「はーい」」


 側では子供たちが、主に男の子が羨望の生ざしで俺を見ている。

 ここまで長かった。

 というのも、土ロボットの完成には、コロコロの数と成長が必要だったからね!


 山から連れ帰った初代コロコロたちは、今じゃ四十センチサイズだ。その最初の子供たちもほぼ同じサイズ。

 このサイズに育つのに、一年とちょっとかかったもんなぁ。


 コロコロたちが動かせる土の量は、当然、コロコロたちの体の大きさに比例していた。

 そして、雌が動かせる土の量は雄の半分しかなく、ロボット部隊になれるのは雄だけ。

 そのメンバーが決まってからは、ロボットの操縦方法を――じゃなくって各部位をどのタイミングでどう動かすのかを覚えてもらう必要があった。


 お披露目会の前に練習していたけど、ついに今日、本番を迎えた。

 何度も何度も、何度も何度も、コロコロたちに、人間が歩く姿を見せてその関節や手足の動かし方を覚えさせた。その成果がこれだ!


 ズシン、ズシンと土ロボットがゆっくりと動く。


 あぁ、俺……モビ〇〇ーツに乗ってるんだ。

 

「もう、ディルの兄貴ぃ」

「早く乗せてよぉ」

「……はいはい。わかったよ。コロコロ、停止」

『キッ』


 まぁ残念なのは、しゃがんでパイロットをコックピットに誘導できない点だな。ヘタに姿勢を低くすると、重みで前に倒れてしまうから。

 なのでハシゴを用意して、他の子たちにはそれを使ってコックピットに座らせる。しっかりシートベルトも忘れない。そこだけ、頑丈なモンスターの皮と鉄を使って錬金してある。


「これでよし。じゃ、コロコロ。ゆーっくりだよ」

『キキキ』


 子供たちに交代して乗せてやっていると、村の方からフィッチャーがやってきた。


「ディルムット様ぁ~。アスデローペ卿が、到着したでぇ~って、まぁたロボット遊びかいな」

「またとはなんだよ、またとは。ロマンなんですよ」

「はいはい。そんなんどうでもええんで、はよ館に戻ってくださいって」


 そんなん、どうでもいい。

 酷い言われようだ。


「というわけで、ロボット訓練もここまで」

「「えぇぇー!?」」

「文句はフィッチャーに言ってね」

「んなっ。自分ですか!?」

「「フィッチャーさん!」」


 ロボットはそのままにしておくと危険だ。子供たちが怪我をしないよう、崩さないといけない。


「コロコロ、ご苦労様」

『キチュキチ』


 嫌々付き合ってくれてるのかなって最初は思ったけど、意外とコロコロたちも楽しんでくれているようだ。

 雄=男。

 世界は違えど、男がロボットに胸躍らせるのは同じってことだ。

 ロボット万歳!


 コロコロ部隊がみんな出てきたら、ロボットに触れて元の()に戻しておく。

 それから家へと向かった。

 





「いらっしゃいませ、アスデローペ卿」

「おぉ、ディル殿。久しいですな。前回来たときは、ちょうど王都に出発した直後で、お会いできませんでしたからなぁ」

「そうですね。二ヵ月近く留守にしていましたから」


 客間で冷たいトマトジュースを飲んで寛いでいたアスデローペ卿は、立ち上がって出迎えてくれた。


「そうそう。果物の苗木を、何種類か見繕ってきております。我がレトン商業国でも南部で栽培されている果物です。ゼナスとは気候がやや似ておりますので、栽培可能かと」

「ありがとうございます! ちなみになんていう名前の果物ですか?」

「うむ。パイン、パパイア、マンゴー。それとレモンです。いきなりたくさんだと、栽培も大変でしょうからな」


 わかっていらっしゃる。

 アスデローペ卿がファイルをくれる。その中にそれぞれの栽培方法が書かれているのだ。

 栽培が上手くいけば、冷たい野菜ジュースじゃなくってフルーツジュースが飲める!

 みんな喜ぶだろう。


「ディルムット様。そういえばあの件、自分ところでなんとかしますけど、どないします?」

「あ、そうだね。どうしようかぁ」


 フィッチャーが突然俺に話を振って来た。あの件って、なんだ?

 でもまぁ、何か企んでいるんだろう。だってフィッチャーが悪い顔をしているし。

 

「あの件? はて、いったいどんな件でしょうかな、フィッチャー殿」

「くふふ。さぁ、どんな件でっしゃろなぁ。お話できまへ~ん」

「ぐぬぬ。ディル殿。どの件であろうか? このアスデローペ、いくらでもお手伝いしますぞ」


 そんなこと言うからほら、フィッチャーの糸目がにんまりしてるじゃないか。

 あ、もしかしてピーラー?


「言いましたね。言いましたよね、ディルムット様」

「そうだね、言ったね。ないくらでも手伝うって」

「うぐ……お、男に二言はござらん! なんなりとお申し付けられよ!」

「では。鉄を安価でお譲りください」


 あぁあ、かわいそう。

 

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