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【書籍化】毒親育ちの俺、異世界で優しい家族を得る~不運な男爵家ですが、錬金魔法で辺境領地を発展させます~  作者: 夢・風魔
5章

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211/213

211:俺、このまま死ぬ、の?

「家具は必要最低限のものしか置いていませんので、足りないものは所定の場所に行って自分たちで運び入れてください」


 年が明けて、まずは砂漠の民の引っ越しが始まった。

 結局、元々ゼナスの住民だった人たちも引っ越すことにして、町を全体的に少し北に寄せることに。まぁ五百メートルぐらいしか変わらないけど、その五百メートルは畑に生まれ変わる。

 ま、それはもうしばらく先だけどな。


 町の完成度は六割ってところ。

 一斉に引っ越しをするのではなく、二十世帯づつぐらいで引っ越しをしてもらう。

 世帯によって家族の人数も違うし、錬金した家に置いてあるのはベッドとタンスが二つずつ。それだけだ。リビングのテーブルすらない。

 

 だって夫婦二人だけなら、大きなテーブルはいらないし、五人家族なら小さなテーブルでは食事何てできやしない。その住居に何人が暮らすのか、事前に把握してそれに合わせて家具を設置するとかクッソ面倒くさいからね。

 

 あと家具のデザインだって、多少は変えてあるからね。好きなものを持っていって欲しい。

 そんなわけで最低限のものしか置いていない。

 仮の住居で使っていたものを、そのまま運ぶ家族もいる。それはそれでこちらの負担が減るし、有難いんだよね。それをわかってくれているのか、ほとんどの家族は使っていたものを荷車に乗せて運んでいた。


 その家具を運ぶ荷車にも、浮遊石を使っている。エレベーターや砂船に使う浮遊石より、もっと小さくて込められた魔力もごく少量のものだ。

 

 起動させていなければ普通の荷車。荷物を載せればずしっと車体が下がる。

 何も乗せていないときと同じ高さに浮くように調整することで、たくさん荷を積んでも重さを感じることなく運べる。だから馬を使う必要もなく、人の手で軽く引くことができた。

 

 これを鉱山でも利用し、鉱石も軽々運べるようにしたら作業効率がアップ!

 トロッコがあるとはいえ、最初から最後までそれで運べるわけじゃないからね。


「新しく錬金した家具、あんまり減ってないなぁ」

「仮設の方で使われとった物を、持しなはってますしねぇ。けどゼロやないんで、引っ越しがみんな終わるまで用意あった方がええてすやろ」

「そうだね」


 在庫の家具が減ったら、また錬金するか。余ったとしても、壊れた時用の予備として倉庫に入れておけばいいだろう。


「あ、ディルムット坊っちゃん。エヴァンゼリン様が宰相閣下と一緒にお見えですよ」

「ありがとう、マーガレット」

「お、例の魔導具ですか?」

「うん。いろんな魔導具を解析して、造りを知りたかったからさ。見本をお願いしていたんだ」


 古代の魔導具にはいろんな種類がある。

 遺跡や迷宮で発掘される魔導具の中には、壊れて使えないものも多い。

 どんな魔導具があるのか、それが知りたい。


 修理して使えそうなものならそうする。

 解析して作りを知ったら、自分でオリジナルの魔導具を作れるんじゃないかとも思ってね。


 で、宰相閣下の地位をお借りして、骨とう品の魔導具を見せて欲しいってお願いしたんだ。






「ずいぶん古いものですね」

「古代王国で作られた魔導具は、全て古いものだぞ。数百年前のものばかりだからの」

「そうでした。ってことは、全部オリジナルですか?」

「博物館行きのな」


 ピクりとも動かない魔導具か。

 内臓エネルギーの枯渇とかで動かなくなったものならいいけど、中身の破損で動かないものだと解析しにくいから嫌だなぁ。


 宰相閣下が持ってきてくれたのは、大人の両手に載るような比較的小さな魔導具だ。それが二十個ぐらいある。


「これから時間のある時に解析していきます」

「うむ。役立ちそうなものがあればよいな。危険性のないようなものなら、量産するのもいい」


 危険性のないもの、か。それは大事だね。


「エヴァ。こちらの用事は終わった。もう入ってもよいぞ」

「はい、おじい様」

「別に席を外さなくてもよかったのに」

「いえ、ディル様。そこは弁えておかなければならないところですので」


 真面目だなぁ。


「おほんっ。ではわしは、温泉とやらを体験させてもらおう」

「宰相閣下も?」

「ん? わしは温泉に入ってはならぬのか?」

「え、いや。全然、どうぞ」

「うむ。最近、腰痛が酷くてなぁ。効くのだろう? そう聞いたぞ。それが楽しみで、直接魔導具を持ってきてやったのだ。はっはっはっは」


 楽しそうに笑いながら、宰相閣下は俺の執務室を出て行った。

 あれ? なんか鞄持ってたな。もしかしてお風呂セット?


「おじい様、実は昨日からウキウキしていたんですよ」

「そんなに楽しみにしていたのか」

「私も……楽しみにしていました」


 そう言ってエヴァはバッグを見せる。


「ディル様にいただいた水着を、うちの仕立て屋に見せたんです。そしたら、作ってくれたんです」

「え、まさか水着を?」

「はい! ディル様に、その……見せたく、て……」


 新しい水着を、俺に見せたくて?

 見て……いいの?


 俺、このまま死ぬ、の?


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