205:そんなこと……ないよね?
貴族用スパ。
景観もあった方がいいだろうしってことで、西の滝の側に作ることにした。温水プールの近くだ。
ついてに宿泊施設も錬金。
コテージをイメージした、戸建てのこじんまりとした建物をいくつか錬金。
一軒で一貴族が宿泊するタイプだ。
「ディルムット様。どうせなら洞窟宿はどないてす?」
「貴族だよ? 泊まってくれるかなぁ」
「いけると思います! いけんかったとしても、どうせもとに戻せるんや、せやったらやるだけやってみましょう!」
まぁフィッチャーがそう言うならいいけど。
ということで崖を利用した洞窟宿も錬金。崖から飛び出した部分はバルコニーにして、滝を横から眺められるようにしよう。
あぁ、そうだ。貴族用のスパを温泉プールの上に建てよう。そうすればプールが日陰になって熱中症対策にもなる。
日本庭園のような露天風呂。スフィンクスにピラミッド、砂漠らしいオブジェを飾った露天風呂。それに、まるで迷宮の中を思わせる露天風呂! いや、これは露天になるのか?
とにかくいろんな風呂を錬金する。
わすれてはいけないのが、マッサージ師だ。貴族用ならこういうサービスも必要だろう。
あぁ、サウナもいいなぁ。熱した石に温泉ぶっかけるだけの、簡単なサウナ。
で、あれこれ錬金してたら、なんだかんだと大きな施設になってしまった。
あ、プールにはもちろん、水着を着用してもらう。その辺りは布に詳しい商人に頼んで、これこれこんな感じと伝え水着を作ってもらうことにした。
「こ、これが【みずぎ】ですか?」
「はい。さすがに裸で入ってもらうわけにはいかないからね」
「あ、当たり前です! ディル様のスケベ」
「ちょ、待って。水着を着てもらうって言ってるじゃん」
エヴァが遊びにきてて、実際に水着を見てもらった。
裸じゃ困るから水着を作ってもらったのに、スケベなんて言われるなんて……。
スケベ。スケベかぁ。
なんかドキムネするね!
「ディル様はここを避暑地になさるのですか?」
「避暑どころか、暑さの中に飛び込むような場所だけどね」
「ま、まぁ確かにそうですね。でも、温泉……ほ、本当になんともないのですか?」
「エヴァまでそんなことを。知らないものに警戒するのはわかるけど、警戒し過ぎもよくないよ。心配なら、一緒に入るかい?」
そう言うと、エヴァの顔が真っ赤に染まった。
あ……しまった。これじゃ本当にスケベじゃないか!?
「い、いやほら、水着もあるしさ。着心地とか、感想を貰えたらなぁって思って」
「この……布面積の少ないこれをですか? わ、私がこれを……」
面積が少ないと言っても、スクール水着タイプだ。更に腰布……って言い方はなんかアレだな。名称を知らないけど、パなんとかってやつ。それもついてるから、水着としてなら布面積は多い方だけど。
「え、えっと……やめとく?」
「うぐぅ……入りますぅ。ディル様が入るのでしたら、私も……」
「そ、そう。じゃあ貴族スパを案内するよ。着心地と、あとお風呂の感想も聞かせて」
「わかりました。ど、どこで着替えればいのでしょうか?」
「用意してあるよ。うちのメイドのマーガレットが、着方を教えるから」
温泉プールの上、貴族スパのお客第一号はエヴァだ。
まぁまだ、温泉スパの宣伝していないし、オープンもしていない。今はフィッチャーが雇った従業員の教育期間だからね。
エヴァが着替えている間にこっちも海水パンツっぽいパンツに履き替える。あと、上も着る。ラッシュガードみたいなものだ。
これは日焼け対策ではない。令嬢に配慮したものだ。
この世界じゃ上半身をさらけ出すなんてことがまずな……いやあるな。騎士団なんかは訓練中、よく上着脱いでるし。
あれ? もしかしてこの世界の騎士って、露出狂?
着替えて内風呂で待つ。のぼせるといけないし、風呂にはまだ入らない。
「お、お待たせしま……した」
「いらっしゃい。最初はノーマル温泉に……」
薄水色のスクール水着に、同じく薄水色を基調にし、ヒマワリを描いたパなんとかの布を巻いたエヴァがやってきた。
お世辞にも女性らしい体つきではない。まだ十一歳だ。めりはりのある体形なわけがない。
だが……つるぺただからこそ、眩しすぎるってこともある!!
ん?
今の俺、もしかして変態だったか?
…………いやいや、そんなことないさ。そんなこと……ないよね?




