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【書籍化】毒親育ちの俺、異世界で優しい家族を得る~不運な男爵家ですが、錬金魔法で辺境領地を発展させます~  作者: 夢・風魔
5章

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192/215

192:まぁ楽しいからいいけどさ!

 王妃様へのドールハウス献上も済み、パーティーが終わった翌日。

 今度は陛下へのもろもろのお願いがあって、父上殿と共に再び王城へとやってきた。


「砂漠の民の受け入れか。それは構わぬが、食料は大丈夫なのか?」

「実のところ、あまり大丈夫ではありません。急いで開墾を勧めていますが、そこで作物を育て収穫できるようになるには少なくとも半年は先でしょうし」


 陛下へのお願いその①――砂漠の民の移民許可だ。

 キャット・ルー、フォックス・リー、キンバル、サルージの四つの部族がゼナスへの移住を希望している。総数だと千二百人ぐらいになるんじゃないかって話。

 ついにゼナスも二千人超えの大きな町になるわけだ。


 人が増えて良いことと言えば、働き手が増えるってこと。

 砂漠の民も、基本は狩りや農業を行って暮らしている。砂漠じゃ育てられる作物は少ないけど、それでも自給できるものは栽培していかないといけていけないからね。

 今、ゼナスで最も必要なのは開墾だ。砂漠の民も張り切って畑を耕してくれている。

 ただ、耕したからってすぐに野菜が育つわけじゃない。そこは数ヵ月待たなきゃいけないし、最初は収穫量も少ないだろう。


 人が増えて良いことがある反面、同時に問題も発生する。

 うちみたいに食料の自給自足率の低い土地はとくにこれだ。


 食料が足りない!!


 まぁぶっちゃけ、ビタミンなんだよ。たんぱく源は砂漠にも、東の山の上の方にもいるからさ。いいんだ、別に。あ、炭水化物もないのか。小麦の栽培はまだちょっと、手を出せていないからさ。

 そんなわけで野菜だ! そして果物も!

 栽培できる種類はやっぱり少ない。まぁそこは気候のこともあるし仕方ないけどね。


「わかった。食糧支援を増やそう」

「感謝します、陛下。ですがちゃんと対価はお支払いします。その方がこちらとしても、気が楽ですので。それに、他の領地からも譲っていただきやすくなりますし」

「わかった。王宮の魔導具を使えば、輸送コストも下げられよう」

「ありがとうございます」


 これで食料問題はとりあえずなんとかなる。二、三年後にはある程度自給自足できるようになってるといいな。

 砂漠の民の移民受け入れ許可も出たし、あとは――。


「陛下。わたしのほうからもお願いがございます」

「ん? ディルムットからか。何だ、申してみよ」

「はい、ありがとうございます」


 父上殿をちらりと見る。この件は話していないから、少し困惑しているようだ。

 話したのはエヴァだけだしね。


「陛下。祖父の領地をお返しくださるという話を以前されていましたが」

「うむ。今はバランシェットの母方の親戚、ジャニスラー元侯爵が統治しておる。あれの跡取り息子は侯爵家の領地を治めておるし、他に息子はおらぬ。ジャニスラーは他に領地を欲してはおらぬ。故にお主らに返すのだ」

「それなのですが……わたしはゼナスの開拓をこのまま続けたいと思っておりまして」

「ディルムット……そうか。それもいいと思うよ、わたしは」


 父上殿は俺の意志を尊重してくれる。それはつまり、父上殿もゼナスへ残ると言うことだ。

 でもその必要はない。


「父上。旧シュパンベルク伯爵領を継ぐ者は他にもいますよ」

「他にも? まさかジークのことかい?」


 その言葉に頷く。


「なるほどの。ディルムット、お主の言いたいことはわかった。そなたは父から独立し、シュパンベルク辺境伯となり、弟ジークをシュパンベルクの嫡男とする。そういうことか?」

「はい、陛下。あ、でも今すぐではありません。わたしもまだ若輩者ですので、しっかり学んでからと思っております。父上、よろしいでしょうか? あの子が父上の後を継ぐのなら、ホーヘンベルク侯爵様も安心してルシェット嬢をジークの元へ嫁がせられると思いますし」


 侯爵様だってきっと、娘の幸せを願っているはずだ。相思相愛の相手と結婚できる方がいいに決まっている。

 だけどジークは次男で爵位を継げない。侯爵様もその点を心配なさっているだろう。


「ディルムット、お前は……」

「あ、でもわたしが辺境伯の爵位を奪ったら、父上は男爵に戻ってしまうんですよね?」

「はは、そうだね。まぁそこは気にしなくてもいいんだよ」

「そう。気にせずとも好い。もとより、サウル・シュパンベルクには、侯爵の爵位を授けるつもりであったからな」

「「え?」」


 ち、父上が侯爵!?

 それだったらホーヘンベルク侯爵家と釣り合う! ティファニーも男爵令嬢だからって、気後れする必要もなくなるな。


「ではサウル・シュパンベルクに侯爵の爵位授与を行うとしよう。ディルムットよ。あとはお主の好きな時期に、辺境伯の授与を行う」

「ありがとうございます、陛下」

「陛下のご寛大さに感謝いたします」


 これでシュパンベルク家の憂いはなくなった。ジークにも爵位を持たせてやれるし、俺個人も辺境伯としてゼナスの開拓を続けていける。


 さぁ、やるぞ~!

 えっと、まずは何からやればいいんだっけ?

 新しい屋敷の移転場所もそろそろ整地が終わるだろうし、まずは基礎を錬金して――。

 町の中層部分にも土を敷きたいし、東から土を持ってきて――あぁ、砂漠のブロック化もしないとな。それからドールハウスと、開墾と、最近はガチャの新作も作ってないし。

 

 やることが減らないのは、なんでだろうな? 

 まぁ楽しいからいいけどさ!

 

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― 新着の感想 ―
はじめまして。いつも楽しみに拝読させてもらってます。このエピソードで父上殿が侯爵となりましたが、ジーク君が後を継ぎ侯爵。でもディル君は辺境伯?侯爵と辺境伯は同じくらいの地位だから変わらないと思いますが…
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