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【書籍化】毒親育ちの俺、異世界で優しい家族を得る~不運な男爵家ですが、錬金魔法で辺境領地を発展させます~  作者: 夢・風魔
5章

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189/216

189:楽しそうだな……。

「おおぉぉぉぉぉ!!」


 卓上で考えるより、まずやれ! やってダメならダメってことだ。わかりやすい。

 そこで実際に城壁から出て、砂漠の砂を固める錬金をやってみた。

 その結果わかったのは【できる】という、単純明快な答えだ。


「じゃあ兄さま、ゼナスから近い砂漠を全部ブロック化すれば、蛮族は入ってこれなくなるのね?」

「いや、そうはならないよ」

「ティファニー、考えてみなよ。入ってこれないのはワームだけで、蛮族には足があるんだよ。歩いて入ってくるに決まっているじゃないか」

「わ、わかってるもん! じ、じゃあ、砂をカチカチにするって意味ないじゃない」


 ゼナスの近くでやっても意味はない。

 だけど南の方でやれば、意味がなくもないんだよな。機雷と同じだ。

 砂船で何日もかかる道のりを徒歩で攻めてくるなんて、自殺行為だからな。

 だから奴らはワームを使って砂漠を移動してくるんだ。そのワームを、北に来させないようにすればいい。


 とはいえ、また二カ月かけて砂を硬化させる錬金をやらなきゃいけないのか。

 でも、やらないよりやった方がいいに決まっている。

 家族が、みんなが安心して暮らせるようにね。


「そうだ、兄上。砂漠の砂の下ってどうなっているのでしょうか? 硬い岩盤があると以前に聞きましたが、そのさらに下は?」

「うぅん、何があるんだろうね。砂を掻き分けて掘るってのが、そもそも無理な話だしね」


 掘ったそばから砂がどんどん落ちてくるし。


「ですが兄上。錬金魔法で砂を固められるのですよ。大きなブロック状に固めて、真ん中に穴を開けて螺旋階段にすれば――」

「砂が流れ落ちてくるのを気にせず、岩盤まで辿りつける!?」

「はい!」


 な、なんて賢い子なんだ、ジークは。

 砂漠の岩盤の下にいったい何が埋まっているのか。何もないかもしれない。

 だけど、これはやっぱ――。






「掘るしかねぇだろ!」

「ですよねぇ」


 ジークの発想を親方に話すと、結果はこうだ。


「砂漠の下ですか? いやぁ、何が出てくますやろねぇ。大昔海やったんは、どのあたりまでなんでしょ? 岩塩がザックザクですかねぇ」

「あまりザクザク出てきても、価値が下がりそうだけどね」

「そうでした。岩塩はあきまへんけど、鉱石でも採れればええですなぁ」

「そうだね。北のドワーフ族も移住してきたし、人手は十分だからね」


 父上殿とフィッチャーも興味あるようだ。

 何か出てくるといいなぁ。


 ってことで、俺はいろいろやらねばならないことがあるので、入り口を用意する段階で退場する。

 しかし、別に砂をわざわざ掘らなくても城壁のする外側を掘ってもいいんじゃないかって思ったけど、親方曰く「この辺りにはなんもなさそうだ」とのこと。

 そこは大地のドワーフ族だ。なんとなくニオイでわかるんだとか。


 で、砂船で軽く砂海に出て――。


「坊、ここだ。ここで止めてくれ」

「ここでいいの? 城壁から一キロぐらいしか離れてないと思うけど」

「ここでいい。ちと匂うからな。それに、ここからなら徒歩でも通えるだろう。足場が悪いから、砂を錬金して道を作ってくれねぇか?」

「まぁ、いいですけど。とりあえず入り口を錬金しますね」


 砂船から降りてその辺の砂を一時保存で取り込んでいく。ちょっとした窪みができたら、一時保存した砂を圧縮して魔法陣の下に向かって沈めていく。サイズは魔法陣の直径五十メートルそのままだ。円筒形の形で下に伸ばしていった。

 ある程度沈めたら、今度は螺旋階段を錬金する。下へ、下へと伸びる階段を錬金し、砂が出てきたらまた円筒形ブロックを繋げていく。

 正直、先に錬金している筒からずれそうだけど、まぁそこはよしとしよう。螺旋階段を錬金しながら、ズレてたらその都度砂ブロックを追加すればいい。


 ただ、思ったよりもそう深くなかったようだ。

 といっても階段は百九十五段あったけどね。


 上に戻ったら、今度は砂筒の地上部分に壁を錬金していく。少し厚めにするために、地上部分だけは追加で床を錬金していった。

 壁の厚みは二メートルに。屋根も付ければ、ここは日陰になって休憩スペースにもなる。


「坊、真ん中に穴をあけてくれ。掘った岩を上に運ぶのに、滑車を使うからよ」

「わかりました」


 掘削が進んでいったら、空気穴も開けてやらなきゃな。


 岩を運ぶのは、エレベーターと滑車を使う。浮遊石を使って台を浮かせ、上、もしくは下からロープで手繰り寄せるようにしよう。その方が力も、そして時間もかからないだろうしね。

 それらの準備をするために町へ戻る。

 戻りながら、ドワーフ族が歩けるように砂を固めていった。


「砂船も横切れますよね?」

「えぇ、大丈夫っすよ。平ならむしろ砂船も走らせ安いっすからね」


 こうして約一キロの道のりを固め、ゼナスへ到着。

 浮遊石を四つ作ってもらって、エレベーターを錬金。ロープも持って、再び砂漠へ。

 浮遊石をセットしたエレベーターを円筒の床の真ん中へ置き――。


「錬金魔法――」


 エレベーターより少し大きめに砂ブロックをくり抜いていく。

 一気にくり抜いても、浮遊石を起動したエレベーターに乗っていれば、最下層まで高速落下することはない。ゆる~く落ちて、底に到着したらまた錬金。

 岩盤まで辿りついたら外側へ向かって砂ブロックをカットしていく。


「親方、エレベーターの用意、できましたよ」

「おう。んじゃあ、楽しい掘削タイムといこうじゃねえか。野郎ども、掘って掘って掘りまくるぞ!」

「「おおぉぉぉぉ!!」」


 楽しそうだな……。

 じゃ、砂ブロックロードにトロッコでも錬金しとくかぁ。


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