188:俺の魔法なら関係ない。
各地から集めた落ち葉と、コロコロたちの結晶うん玉。それと水を魔法陣で一時保存の中に取り込み、砂漠の砂ぐらいまで粉砕した岩と混ぜる。すると脳裏に【土壌生成】という言葉が浮かんだ。
「土壌生成!」
すると、魔法陣の上に土が現れた。
「あぁ、外で作業してよかった。これ建物内だと大惨事だったな」
「キュキュイィン」
「なんだ、コロコロも嬉しのか?」
お尻をぴこぴこ動かして、まるで踊っているようだ。コロコロだって、肥えた土地を好む。ということは、この土っていい土なのか。
「畑の土によさそうだな。でも住宅やその周りの土なら、肥えてなくてもいいんだよなぁ」
「キュ。キュッキュ」
「うん玉と落ち葉を減らして、岩を増やしてみろ? やってみるか」
コロコロは器用に文字を書くことができるようになっていた。まぁたどたどしい、しかも小さくは書けないが。そのコロコロのアドバイスに従って、素材の量を調節してみた。
土のことはコロコロに聞けってんで、さっきは岩10に対して草を5、うん玉2、水3の分量だった。そこを、草を3、うん玉1,水2にしてみると、ちょっと硬めの土になった。
「うん、こんなもんでよさそうだ。ありがとう、コロコロ」
「ンキュ~」
ただ、岩の量に対して落ち葉がやっぱり足りないよなぁ。町の全面を土にするにしても、これは厳しいかもしれない。
粉末にした岩の上に、土を敷くかな。何十年か先に、その粉末岩も土に変わることを願って。
そうしてまずは屋敷を建てる階層に敷き詰める分の土、完成!
一メートルぐらい下まで岩を粉末にしておいて、その上に土を乗せていった。あとは町の人たちが手分けして平らにしていってくれる。
俺の方は下層の住宅エリアを作るため、岩を削り取っていく。
すると、まさかの事態が発生した。
「つ、土が出てきた!?」
岩を削っていたら、なんと土の層が出てきたのだ!?
「たぶんだけどな、西側の山は海底だったが、こっちの東側の方は元々陸だったんじゃねえかな。だからこっち側にゃ、岩塩がねぇんだよ」
「じゃ、この辺りって海岸の岩場だった場所、みたいな?」
「おう。東の山は、北へいきゃ土になってんだろ? この辺りももう少し東にいきゃあ、やっぱ土山になってんだ。ちょうどこの辺りが岩と土の境界線だったみてぇだな」
天然の土。いや天然って言い方は変だけど。とにかく土が出た!
これで土足りないぞ問題も解決できそうだ。
「兄さま、王妃様へのプレゼント、どうするつもりなの?」
「ん? 一応、錬金するドールハウスは決めたよ。このお城にしようと思ってね」
「あ、そのお城、私が選んでたヤツ!」
土を町の人たちが均してくれている間に、王妃様への誕生日プレゼントの錬金だ。
図鑑から選んだのは、まさにティファニーが「私このお城か、こっちのお城がいい!」と言ったお城だった。ただし第二候補の方だ。
「たださ、このお城の間取りって細かいんだよね」
「うん、私もそれ思ったの。部屋数多過ぎるなぁって。浴室が40もあるんだけど、そんなにいる?」
「代わりに大浴場がないもんね。客室やお城で暮らす人たちの部屋に、浴室が併設されている感じか」
確かに風呂多過ぎ。人形は風呂に入れないから、まぁ必要ない。
そして、人形を飾るのだから、一部屋ごとが広くないといけない。エヴァに贈ったドールハウスも、部屋数はたったの十しか作らなかった。
「このお城もさ、部屋数は十ぐらいの方がいいかなぁって思うんだ。あと庭園も欲しいって言われて」
「お庭! 噴水とお茶を楽しめるガゼボは絶対ね」
「はいはい。でも庭の地面とかどうしようかなぁと思ってさ」
人工的に作るにしても、素材をどうするか。ベンチとか、ガゼボや噴水は、自由にレイアウトできるようにしてあげたい。模様替えできるようにね。
庭園だし、人工芝? いや、土の部分もあるし……。
いっそ本物の土で作ってみる? 錬金魔法で薄い板状に圧縮して、魔力で固めてしまえばいい。
じゃあ芝生は草を押し固める?
いや、なんか違うな。
いっそ土を緑に染めるか? 染まればだけど。難しいか?
「砂漠の砂……砂なら、色が染まるかも?」
「砂をどうするの?」
「いや、砂を緑にしたら、芝生っぽく見えないかなぁと思って」
「見えないわよ、そんなの決まってるじゃない」
もっと優しく言ってくれませんか?
「でもドールハウスのお庭だもの、砂に色をつけて芝生っぽくするのはアリだと思うの」
「アリ? アリでいいんだね!」
「あ、だったらぁ、砂をぎゅ~って固めて、大理石みたいに色を塗れないかしら」
「おぉ、それもありだねぇ」
魔力で固めて、タイルのようなものを量産すればいいな。薄ければ重さもそうないだろうし。
うん、魔力で固めれば……魔力で……。
「魔力で砂漠を固めれば、ワームの侵入もガチで防げる!?」
「きゃっ。な、何なの、兄さま。急に大きな声ださないで!」
「ご、ごめん。いや、ちょっと思いついたからさ」
いや、どうして思いつかなかったんだろう。
前世のテレビで言われていた「砂漠の砂が粒子が丸く、結合しにくい」っていうのが頭の隅にあったってのもあるんだけど。
そうだよ。現実では無理でも、俺の魔法なら関係ない。
できる!




