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【書籍化】毒親育ちの俺、異世界で優しい家族を得る~不運な男爵家ですが、錬金魔法で辺境領地を発展させます~  作者: 夢・風魔
5章

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182/218

182:砂漠……コワッ。

 魔法が付与された魔石は、機雷の表面にくっつけた。百個以上の魔石があったけど、全ての機雷にくっつけられるほどじゃない。それでもワームは巨体だし、転々と設置するだけでも効果があると思う。

 ヴァルドリヒ様の氷とか最高じゃね?

 砂の中に生息するワームなら水を苦手とするだろうし、そんな奴が砂の中で氷漬けになったら……。それを見た仲間は血の気が失せるだろうな。

 イヒヒヒヒヒヒヒ。


 それにだ。

 年明けからジークはある魔法を学んでいた。本人たっての希望であり、向こうさんも「ぜひ!」と言ってくれたのでご好意に甘えて学ばせてもらっている。


 退魔特化の初級魔法――【聖なる光】。

 この魔法は単純に明かりとして使うことができる。暗がりを照らす光なんだけど、それに聖属性が加わったタイプだ。だから明るくするのと同時に、アンデッドや悪魔、それから蛮族を寄せ付けなくなる。

 まぁアンデッドや悪魔に比べると、蛮族は怪我を顧みず強引に突破してくる奴もいるらしいけど。

 それでも無傷じゃない。こういうトラップが仕掛けてあるぞってわかれば、奴らも進軍を躊躇するだろう。とりあえずはそれでいい。

 あとこれ、属性ダメージの効果は日中の明るい時間だろうが夜だろうが関係なく乗るそうだ。


 その聖なる光魔石も、ジークが用意してくれていた。


「神殿の司祭様も手伝ってくださいました」


 そう笑って、ジークは聖なる光魔石を数十個くれた。


 東側のトラップを設置し終わったのは更に半月後。

 大岩から真っ直ぐ東に進むと、チェスト王国から連なる山にぶつかり、距離にすると西側の半分以下しかなかった。おかげで作業が早く終わり、魔石も意外と余ってしまった。

 そこで西側にも少し設置するかな~と思ってUターンして二日目にそれを見た。


 蛮族を背中に乗せたワームは、基本的に体の一部を砂から出している。蛮族だって生きているから、呼吸する必要があるからね。だけど半分ぐらいは砂の中に潜っていて、だからトラップに引っかかったんだろう。


 Uターンをして西へ向かう途中に、氷漬けになったやや小さめのワームがいた。


「坊ちゃん。奴の頭に誰かの足がありますぜ」

「あ、足!? え、どういう状況?」


 キャット・ルー族の船員が短眼鏡を貸してくれた。それを覗き、ワームの頭の上を見る。

 すると、ワームの頭に足が生えていた。

 人型の足だ。膝から下しかない足だ。


 え……。

 もしかして、凍結を免れるために足を犠牲にして逃げた?


「蛮族を探してください! あの足の持ち主がいるはずです!!」

「そりゃ無理だろうぜ」

「族長!?」


 族長は船の上から辺りを見渡す。

 このワームがトラップにかかったのは、少なくとも四日前。

 トラップを設置して移動している俺たちが見えなくなって直ぐだとしても、それぐらい前になる。

 見つけるのは無理か……。


 そう思ったけど、族長はそういう意味で言ったわけじゃなかった。


「ここは砂漠だ。砂の中にはワーム以外にもいる。わしらぐらいのサイズのものもな。血のニオイを嗅ぎ付ければ、わんさと集まってくるはずだぜ」

「もしかして、モンスターに食われた?」

「あぁ。モンスターは時と場合によっては、同種同士でも喰いあう生き物だ。種族が違えば遠慮なんてしねぇ。いくら蛮族が上位種だといってもな、両足を失くして身動きとれねぇなら仕留めるのは難しくねえよ」


 弱肉強食の世界、か。


 このあと、族長が言った通りになったのかわからないけど、それっぽい痕跡を近くで見つけた。

 十数匹の小型モンスターが群れている場所があって、そこには何種類かのモンスターの残骸が見つかった。

 あれはきっと、死に物狂いの蛮族が倒したモンスターだろう。だけど蛮族も力尽き、喰われたあとだって。で、蛮族が倒したモンスターを、小型のモンスターがゴチになっている場面。


 砂漠……コワッ。


 けどあのワーム、サイズからして大型船で見た奴だと思う。逃がしたと思ったけど、もしかして俺たちを追いかけていたのかな?

 だとしたらよかった。ワームハーレム計画を阻止できたってことだし。


 この機雷は効果あるな。

 砂船は浮かんでいるから、砂の下に埋めた機雷なんて関係ない。もし風で砂が飛ばされ、表面に出てきたとしても、ある程度の高さなら浮遊石が自動的に回避しようと浮かび上がる。

 まぁ障害物が大きいと、船が垂直に浮かんだりして危ないらしいけど。


「時間のある時に、時々機雷を追加しにくるかな」

「そのうち、砂漠んなかはあのトゲトゲだらけになりそうだな……」

 

 それをしたらゼナスの東西にある岩山が、本当の意味で禿げてしまうよ。






「お風呂に入りたぁぁぁぁぁい!!」


 今回の船旅は長かった。四十日ぐらいずっと船の上だったしね。まぁUターンして西側にもう一度行ったのが主な原因だけど。

 ようやくゼナスへ戻って来たのは八月も終わりに差し掛かる頃。

 残暑? いえいえ、夏真っ盛りですよ?

 なんだったらゼナスは年中夏ですから。

 

 そして帰宅した俺を待っていたのは――。

 

 「え……砂漠の民が移住を打診してきた!?」


 ――という、ゼナス最大の移住計画だった。

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