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【書籍化】毒親育ちの俺、異世界で優しい家族を得る~不運な男爵家ですが、錬金魔法で辺境領地を発展させます~  作者: 夢・風魔
5章

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179/218

179:あるじゃないか!

 父上殿、フィッチャーと一緒に王都へ転移し、急いで城下町から必要なものを物色しまくった。それにはフィッチャー商会の商人たちにも手分けしてもらい、大量のロープを購入。フィッチャーの方は医療品関係と食料を買い込んでいた。

 父上殿は王様と謁見して、この件を報告している。

 物資が集まったら大容量転送の魔導具で荷物と一緒にゼナスへ。そこから大忙しだった。


 急いで炊き出しの準備。急いでハンモックの錬金。

 避難してきたキャット・ルー族で、動ける人たちには仮設住宅へ入ってもらう。


「ご家族分のハンモックを持っていってくださいね~。——錬金魔法」


 ハンモックを配りながら、ハンモックを錬金する。

 中には小さな子供が一緒で、添い寝が必要だって一家にはワンサイズ大きくしたり、広げて使える工夫もした。怪我をした人たちも、結局母上の治癒で完治。その日のうちに全員、仮設にはいることができた。


 仮設錬金して、ハンモック錬金して、へとへとだ。砂船での移動もずっと続いたし、さすがにもう無理。気付けば夕食も食べず泥のように眠り、朝になっていた。


「おはようございます……お腹空いた」

「そりゃそうよ。夕食だと呼びにいったら、もう眠っていたんですもの」


 少し心配気味な表情な母上。すぐに食事を運んでくれるよう、メイドたちに頼んでくれた。


「もしかして、みんなもう朝食が済んでいたり?」

「九時を過ぎているの。起こすのもかわいそうだったし。とりあえず胃に優しいものにしておきなさい」

「はい。ありがとうございます。キャット・ルー族はどうですか? 他の部族の方とか、何か情報は?」

「キャット・ルー族のみなさんは落ち着いていると思うわよ。朝から特に話は聞かないもの」


 他の部族の方はまだ何も情報が届いていないと言う。

 昨日の今日だし、まだ何もこないか。


「そうそう。リディアレーゼさんがいらしているわよ。お父様とお話はしていたけれど」


 おっと。砂漠エルフたちが避難を希望するなら、受け入れるかどうか父上殿と話し合ってまだ解決させてないな。

 食事が運ばれ、パンをスープに浸しながら食べていく。具がやわらか~くなるまで煮込んだシチューが、体に染みわたっていく。はぁ、ほっとするなぁ。

 急がず、だけどなるべく早く食事を済ませ、父上殿の執務室へと向かった。






「じゃあ、砂漠エルフとバトラス族はそのまま?」

「うん。その二つの部族は、砂漠の東の端のほうに里があって、チェスト国から近いんだよ」


 彼らの里がある場所は、砂で覆われた砂漠ではなく、どちらかというとゼナスに近い、荒野タイプの砂漠だ。そうなると必然的にワームも入ってこれない。

 万が一の時には――。


「母者や何人かのエルフが、転移魔法を使えるのじゃ。もしものときはバトラスの連中と一緒に転移して逃げると言っておった」

「そうか。それなら一安心だね」


 そのために、普段から魔石に魔力を貯めこんでおいてあるそうだ。


 東側の問題はひとまず解決として、西側の里がどうかなだ。

 砂漠中央の大岩から一番近いのは、サルージ族の里だ。年寄り、女子供がほとんどのサルージ族の里が襲われれば、ひとたまりもないだろう。戦士がゼロというわけではない。数年前の盗賊団と結託していたあの事件。あれに加担していなかった男たちもいる。

 だけど、両手で数える程度だ。


 そんな心配をしていた翌日。

 砂漠を警戒していた騎士団から連絡が入った。数隻の小型砂船がこちらへ向かって来ている――と。


 俺と父上殿が城壁に到着した頃には、砂船もこちらへ入港していた。その数は三隻。乗船者が慌ただしく下りてくる。


「怪我人を頼む! 俺たちはすぐまた出航する」

「妻に連絡を! ディルムット、すぐに広めの建物を」

「えぇっと……城門の向こう側に錬金します! 後々解体しますので」

「それでいい、頼んだよ」


 町の真南に城門を作ってある。普段は門を開けっぱなしにしているけど、何かあった時には閉じられるようにはしてあった。

 観音開きの城門。その片方、東側だけ閉じ、その後ろに怪我人を収容できるサイズの建物を錬金。

 風通しを良くするために窓を開け、外側に竈をいくつか併設。


「どなたか、町へ行って使っていないシーツの提供を頼んできてください!」

「承知しました」


 シーツを錬金して糸に戻し、そこから太い紐に、そしてハンモックを編む。石で錬金したベッドフレームと合体させ、簡易ベッドの完成だ。素材があるだけ錬金しておこう。

 そうこうする間にも、怪我人が次々と運ばれてくる。


「サルージ族?」


 怪我人を運んでくる騎士が頷く。

 やっぱり、襲われていたのか。

 そりゃそうだよな。キャット・ルー族の里より若干南にあったんだ。素通りするわけがない。


 アスデローペ卿のところの砂船も出航するという。そちらにはゼナスに滞在する砂漠エルフやうちの騎士たちも同行するらしい。

 各部族の砂船だと、百から百五十人乗せるのが限界で、一度に乗せきれない。大型船なら四百人乗せてもまだ余裕があった。だから残っている人たちを一度に運ぶため、アスデローペ卿の船も出すことに。


「中央の岩山も再び襲撃されたそうで、奴ら、どうしてもあの岩山が欲しいようですね」

「北上するための拠点にするためだろうね」


 あの岩山の周囲は砂に囲まれている。ワームでギリギリまで移動できるし、拠点に適しているのだろう。

 そうはさせない。

 なんとかして阻止したいけど……どうすればいい。どうすれば……。


 ワームの進行を妨げられればいいけど、砂の中を移動されたんじゃ城壁を錬金しても意味がな……ある!

 あるじゃないか! 

 砂の中に城壁を築けばいいじゃないか!!

 

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