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毒親育ちの俺、異世界で優しい家族を得る~不運な男爵家ですが、錬金魔法で辺境領地を発展させます~  作者: 夢・風魔
3章

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113/124

113:これは、デートって言うんですか?

「というわけで、まだ数日、王都で過ごすことになりました」

「そうなのですね! あ、わ、私ったら、喜んでしまって……。ロバート卿は、十代の頃に冒険者をやっていたとお伺いしました。やはり冒険者という経験は様々なことでお役に立つのですね」

 

 エヴァンゼリン嬢がロバート卿のことを知っていた?

 手紙でロバート卿のことは何度か書いたことがあるけど、冒険者をやっていたことまで書いたっけかなぁ?

 

「あっ。その……い、いつも私の運動を見てくれていた、うちの騎士団長がロバート卿のことを知っていまして。彼だけじゃないんです! ロバート卿、王国騎士団の中でも、結構有名な方なのですよ」

「え? それは知りませんでした」

「お恥ずかしいです」


 と、後ろを歩くロバート卿が言う。恥ずかしがるんじゃなく、誇っていいんだよ?

 

 俺たちは今、城下町にくりだしていた。

 せっかく予定より長く滞在するのだから、デートでもしたらどう?

 とティファニーが強引にセッティングしたのだ。


 で。


「わぁ。兄さま、あのお店を見ようよぉ」

「ぼくは書店を見たいです!」


 これは、デートって言うんですか?

 ティファニーとジークがいて、さらに。


「ジークは本が本当に好きなのね。ゼナスには書店がなかったものね」

「そうなんだ、ルシェット。町の子供たちも文字の読み書きを習っているし、大人たちにはお給料も払うようになったから、書店ができてもいいのになぁ」


 ホーヘンベルク侯爵家のルシェット嬢も一緒だった。


「はぁ……フィリクス様もご一緒だったらよかったのになぁ」

「お兄様は、今日は学園の授業があったから。明日はお休みよ。また明日、一緒に町へ行きましょうよ」

「本当!? ルシェットちゃん、フィリクス様をお願い!」

「任せて、ティファちゃん」


 さらに護衛のロバート卿と、彼の部下ふたりがいて、案内役としてフィッチャーもいる。

 前世でも今世でも、デートなんてしたことないけど……これが……デート?


「一般生徒は夏季休暇中なのですが、お兄様やフィリクス様は生徒会役員のお仕事だから……」

「え? エーリヒ様とフィリクス様は、王立学園の生徒会役員なのですか?」

「はい。お披露目会の時季に合わせて、秋季イベントの打ち合わせが行われるのです」


 貴族や、一部の才能ある庶民が通う王立学園。

 一般的な勉強だけの学部もあれば、魔法特化、武術特化の学部もある。

 詳しくは知らないけど、父上殿からはそう聞いていた。


 生徒会役員って聞くと、優秀な生徒ってイメージだけど。

 さすがエーリヒ様とフィリクス様ってことか。


 しばらくあの店この店を見て回った後、フィッチャー商会の王都支部へと顔を出した。

 新作玩具の評判を、この目で見るためだ。


「お店の前に、たくさんの子供たちがいらっしゃいますね」

「子供たちの目的が、新作アイテムだといいのですが」

「先日のお手紙にあった、カプセルガチャ、ですか?」

「はい。フィッチャー、こっそり中に入れるかな?」

「もちろんです。ささ、裏から入りまひょ」


 フィッチャーの案内で店舗の裏から中へと入る。

 二階に上がって廊下を進むと、店内が吹き抜けになっていたので様子がよく見えた。

 子供たちで賑わっている。集まっているのは庶民の子だ。


「あの箱にお金を入れてレバーを回すと、カプセルというのがひとつ出てくるのですか?」

「はい。木製の丸い玉のようなもので、中は空洞になっています」

「実物をお見せした方がええでしょ? ちょいと持ってきますので、お待ちください」

「ジークはどんなものか知っているの?」

「うん。ぼくもカプセルの中に入れる人形のデザインを、手伝ったんだ」


 カプセルトイ。所謂ガチャガチャだ。

 中に入っているのは、小さな動物フィギュアだったり、カッコいいモンスターや俺デザインのロボットだ。

 素材はカプセルもフィギュアも木。色も塗られていない。

 完成したものがひとつ、入っているだけだ。


 ただし。これは庶民向けのガチャのみで、貴族向けのガチャはいくつかのパーツに分かれたものが入っている。

 色を塗りやすくするためだ。

 そう。色塗りは面倒だから、購入者にやってもらう!

 そうすることで、自分だけのフィギュアにできるし、色を変えることで同じデザインのものを複数集めたくなる、購買意欲効果をもたらすんだ!

 モンスターフィギュアなんて、一部は首回りや胴のサイズを合わせているから、キメラを作ることだってできる。

 僕が考えた最強モンスター!

 それを作ることだって可能だ!


 ぐふふふふふ。

 儲かるぞ。これは絶対儲かる。

 フィッチャーと二人でそう思っていたのだけれど、庶民向けでこれだ。


「フィッチャー。貴族向けのガチャは?」

「隣です。別室にしとるんですよ」


 廊下を引き返して一階へ。建物の端の扉を開き在庫部屋を通って、今度は鍵のかかった扉を開く。

 その先が、貴族向けの店舗になっていた。

 こちらは貴族向けなだけあって、高そうなソファーやらテーブルが置かれている。


「まぁ。こちらも賑わってますね」

「はぁ、よかった。販売したのはいいけど、売れないと寂しいですからね」

「ふふ。お手紙にあったものが入っているなら、必ず流行ると思ってました」

「え? エヴァちゃんは何が入っているか知っているの?」

「令嬢向けのものなら、その……ディル様に、アドバイスを求められたから。そ、それだけよ、ルシェットさん」


 ずる~い――とルシェット嬢が頬を膨らませる。

 ジークよりひとつ上のルシェット嬢だが、十一歳なんてまだまだ子供だ。仕草も子供っぽい。


「あら、ごきげんよう。ルシェット嬢。それから……えっと」


 ルシェット嬢やティファとそう変わらない年頃の令嬢がやって来た。

 随分と派手なドレスと、縦ドリルヘアーっていうの、あれ?

 いやぁ、実際に縦巻きロールの髪型なんて、初めて見た。いるもんだなぁ。

 その令嬢の左右に、別の令嬢がひとりずつ立っている。

 まるで女ボスだな。


「デイジー嬢、ごきげんよう。こちらはハルテリウス公爵家のエヴァンゼリン嬢。そしてこちらはシュパンベルク辺境伯家のティファニー嬢です」

「ハルテリウス!? あの白ぶ……いえ、い、以前お会いした時とは、随分とお代わりになったのね」


 今この令嬢、白豚って言おうとしたな。


「そ、そうだわ。ルシェット嬢も新作を購入するために来られたのかしら?」

「え? 私たちはその」

「でも残念だわ」


 残念?


「新作はぜ~んぶ、この私、デイジーが購入しましたの」

「「え?」」

「かぷせるといレディー向け。そのすべてを購入しましたのよ」


 つまり買い占めたってこと?

 どういうことだ。

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