22、ソロキャンパー、手ほどき(シゴキ)をうける。
22話目です('ω')ノ
昨日は予約投稿忘れており、投稿できていませんでした。
申し訳ございませんでした。
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「うそだろおおおおおおおおおお!!?」
僕は限界ギリギリで走っていた。後ろからは何か超重量の物が地面に激突する様な音が響いてくる。
『『なんじゃ?逃げ足は一丁前かの?だが遅い!もっと早く走らぬか!!』』
「そんなこと言ってもこれで限界ですってええええええ!!」
『『限界?そんなものサクッと超えて見せぬか!!』』
「えええ、ここで根性論!?って、うおおおおおお!?」
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――では、ゆくぞ?
その言葉とほぼ同時に僕は吹っ飛ばされていた。
いや、吹っ飛ばされたのは確かなんだけど、問題は何に吹っ飛ばされたかだ。
なにか大きな物によって殴られた。そんな衝撃だった。死ぬんじゃないかと思うほどに。
死なない様に加減はしてくれていたのだろう、なんとか起き上がってタラちゃんの方に向き直る。
――って。
そこには美しい竜の姿があった。
初めてタラちゃんと出会った時にあの姿。その存在に畏怖しながらもとても美しいと思った、あの竜の姿だった。
『『さて…、まずここからは『鬼ご』じゃ。儂に捕まることなく、そうじゃの…、半刻ほど全力で逃げて見せよ』』
「いや、だから、ちょっと待ってくれます?僕ペットボトル飲まなかったら普通の人間なんですけど!?」
『『問答無用じゃ(ニッコリ)』』
で、こんな事態になっているわけだけど。
超怖い。死ぬはずはないだろうと思いながらも、強さの次元が違う生物に襲われることがこんなに怖いとは思わなかった。
此間のモンスター討伐や、エスぺラーザと戦った時の比じゃない。
ペットボトルで強化してない生身の僕じゃとても対峙できる気がしない。
そんな緊張の中全力で走りまわっているのだから体の消耗も半端が無い。
走り出して10分程で息は上がり、足はもつれ出し、思わず手を膝につく。
『『どうした!?止まるな!手加減するから死にはせん。さあ走れ!走るのじゃ!』』
「いや走れって!?なんかこう、この魔法でパワーアップ!とかそういうのはないの!?」
『『無い!事もないが、まずは地の力を鍛えるのじゃ!といっても半刻やそこら鍛えても無理なのはわかっとるがの』』
「じゃあなんで!無理って分かってるなら意味無いんじゃないですかあ!?」
僕を追いかけまわしていたタラちゃんがふと止まる。
『『何故じゃと思う?』』
何故って――。
「何故ですか?」
『『わし自身、今日一日で力を3割増しにする等普通は無理な話じゃと思っておる』』
? それが分かっているならなおさら疑問が膨らむんですが。
『『しかしの、お主の魔法や技、それにはぐれ人の力を幾度か目にしたが、あれは力を使っているのではない、ただ使えているだけじゃ。確かにお主の力は凄まじい。しかし、わしが見るにまだまだ先があるように思えるのじゃ。勿論、今でも不完全な状態という事を加味した上での。』』
使っている、ではなく、使えているだけ、か。
『『例えば魔力、魔法やスキルを使う時にどうあろうとも必要になるものじゃ。ぺっとぼとるを使った時のお主は確かにわしと同等以上の魔力を持ち得る。じゃがの、全くと言ってよい程練れておらぬのじゃ。…それであの威力は空恐ろしいものがあるのじゃが…』』
魔力を練る。練る?よくラノベや漫画で出る表現だ。
『『お主はこの世界に来てほんの1週程しかたっておらぬゆえ、魔力を練ると言われてもピンと来ぬじゃろうよ。まあ、この世の者の殆どが力を練る事ができておらぬがの。それはお主達も同じじゃぞ?』』
そういいつつ、タラちゃんは何事かと飛び出して来ていた3人の方を向くと追いかけっこの理由を説明してくれる。
それによると、魔力を練る感覚を掴むためには意識を保ったままで体内の全ての力を完全に抜く必要がある。意識を失くしたままは感覚を掴む事はできないから。
ただ、いきなり完全に力を抜けと言うてもまず無理な話。だから普通ではない訓練をさせようとしているらしい。その第1歩としての『追いかけっこ』で、先ずはこの追いかけっこで体の力を無理やりに、どうやっても立てない様に抜いてしまい脱力の感覚を掴めるようにすると。
ああ、色んな武道でも脱力する事が大事ってどっかで見たか聞いたかした事がある様な…、漫画だったかも。でも確かに山登りやボルダリングでも体が固くなっちゃうと思わぬ事故に繋がるしなあ。
だからと言って追いかけっことは、流石タラちゃんと言うべきかなんというか。
『『さて、人数が増えたがやる事は変わらん。話の続きは終わってからじゃ。そうそう、さっきは言うておらんかったがの。捕まったら吹っ飛ぶものと思え?死ぬほど痛いぞ?』』
『『では再開じゃ!』』と追いかけっこを始めるタラちゃん。今度は逃げる側が4人になった。皆いきなりの追いかけっこで、動揺しつつも本能的な畏怖を感じたのか猛ダッシュだ。
あ、アイーシャ捕まった。え、ホントに吹っ飛ばすの? あ、飛んだ……、合掌。
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息も絶え絶えとはこの事である。
手足どころか首さえ動かない。息をするのがやっとの状態まで追い込まれている。
目だけで周りを見ると皆同じように突っ伏していた。
あれからおよそ2時間、僕達は延々と走っては吹っ飛ばされ、吹っ飛ばされては走るを繰り返させられた。休憩なんて無かった。
こんなに自分の体を追い込んだのはいつぶりだろうか、いや初めてかもしれないな。
『『そのまま仰向けでいるのじゃ、魔力の流れを感じるにはその方が良い』』
人の姿に戻った?タラちゃんがそう言いながら僕の方へ近づいてくる。
『『少し手助けをしてやろう』』と僕の下腹部、臍の下辺りに手を触れて来た。
『『この辺りの背骨の部分に意識を集中させるのじゃ、何か感じるものがある筈じゃがの?どうじゃ?』』
「…確かに、なんというか、ぐるぐると何かが渦巻いている感覚がありますね」
『『うむ、それが魔力じゃ。次はそれをお主の体全体、骨という骨に絡みつくように巡らせる事を意識していくのじゃ。急がずゆっくりとな』』
骨に絡みつかせて全体に巡らせる…、あれ、これ難しい。まず魔力が動いていかない。
イメージする力が足りないのかな…、あ、少し動いた。
『『どれ、あ奴らも手助けしてくるかの。ユズルお主は今言った事をやっておくのじゃ』』
そう言いながら皆の元へと歩くタラちゃんを横目に僕はイメージを続ける。
まずは渦巻く力を満遍なく背骨に沿わせていく。魔力が細い筋となって、背骨をその筋で包み込む様に…、骨全体を魔力という筋肉で覆うように。
――ゾワリ。
そんな鳥肌が立つような感覚と共に、少しずつ渦から魔力の筋が出ていくのが分かる。
1本、2本、徐々に増えるその筋が背骨を包んでいく。『『急がずゆっくりとな』』そう言われた通り、まずは背骨の1つから。じわじわと増える魔力の筋が背骨を包みこんでいく。
おお。出来たっぽいぞ?
背骨の1つが魔力で包み込まれている。確実にその感覚が分かる。ならば続けて次の骨へ。
延々と繰り返す。背骨が終われば、尾骶骨、肩甲骨へ、それが終わればその先へ、急がずゆっくり、指の先まで。
日も傾き、そろそろ星が瞬きだそうかと言う頃、突然その感覚は現れた。
表現するならば「ふええええぇ。鳥肌が止まらないよぅ。僕どうなっちゃうの?ゾクゾクするよぅ!あっ、でも、なにこの感じ?段々気持ち良くなってくるうぅ!はううぅ」であろうか。
断言しておく、僕はロ○でもショ○でもない。只適切に表現しただけだ。
ゆっくりと魔力で体中の骨を包みこんでいきそれが全てを包みこんだと思ったその瞬間、今まで感じた事も無い怖気に襲われたのだ。
全身を今まで感じた事も無い鳥肌が襲い、それに比例してゾクゾクとした何かが走り回る。
だがその何かが全身を駆け廻った直後、得も言われぬ解放感に体が包まれていく。
併せて体の倦怠感が抜ける。貯まった疲れも、筋肉の痛みも、全てから解放されてどこまでも動ける様な力が体中に漲っている。それはそんな感覚だった。
ふとタラちゃんが下腹部に触れて来る。
『『よし、練る事は出来た様じゃの。どうじゃ?感覚は掴めたじゃろ?』』
「はい!体全体を魔力が廻っているのが分かります。何というか力が増している感じが」
『『そうか、ではそれを今日は維持し続けるのじゃ。そのことを意識せよ。自然に出来るようになるまでは脱力と併せて付き合ってやるからの。力を得る為にはこれが出来ぬと話にならん。まずは魔力を練ったままで今日を過ごすのじゃ。おっと、あ奴らも出来た様じゃの』』
どうやら他の皆も無事魔力を練る事が出来た様で、それぞれ起き上がって感覚を確かめている。
ん?自然に出来るまで付き合ってやるって言っていたけど、これが自然に出来るまでは毎回今日みたいに地獄を見るって事?
――ふええええぇ、僕死んじゃうよぅ。
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予期せぬ特訓でお腹がペコペコになった僕達はいつもの倍くらい食事を取った。
魔力を練る訓練をしていた間にタラちゃんが魚を取って来てくれていたので、その魚を塩焼きに。強火の遠火でじっくりと焼いた魚は美味かった。
併せてご飯を炊いておにぎりにした。この間おにぎりを出したらかなりの好評だったのだ。持ってきていた「三回のときめき」がもう無かったので仕方なくインディカ米で作ったのだけど、それでも美味く出来たと思う。これは炊き方の違いだね。詳しくは省くけど。
「今日は本当に死ぬかと思いましたぁ」
食後のコーヒーを飲みながらアイーシャ達がぼやく。
「確かに!あたし何回飛ばされたか覚えてないよ~!」
「しかし、魔力を練る、ですか。今までに無い力の伸びを感じますね。これは」
『『そうじゃろ?多分ではあるがレベルも上がっていると思うぞ?魔法自体の威力もの』』
「!?」そう言われて僕達は自分のカードをそれぞれ確認する。
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ユズル・イスルギ レベル77
野営者・退ける者・彼岸の旅人
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サーチを使っていないので細かい情報は出ていないが、確かにレベルが上がっている。しかも称号が増えている。
「確かにレベルが上がってる!というか称号が…、あ、これタラちゃんと一緒の称号じゃないかな?」
『『ふむ。これはあれじゃろ、エスペラーザとやらを強制帰還させたからではないかの?彼岸の旅人と言うのは…、はぐれ人の本来の呼び方ではないか?』』
ああ、成程。と納得しながらも1つの疑問が頭に浮かぶ。
このカード、どうやって情報を更新してるんだ?退ける者という称号がエスペラーザを強制帰還させた事で新たに表示されるものだとしたら…、その事実をどうやって確認しているのだろうか?ちょっと謎がふえたぞ。
彼岸の旅人にしてもそうだ、この世界で僕達はぐれ人や、神代の者の本来の目的はほぼ隠されている筈。それがこの様に表示されるって事は・・・。
まあ、おいおい分かるだろうと気楽に考える事にした。今重要なのはそこじゃないしね。
そうそう、もう一つ聞いとかなきゃいけない事があった。
「タラちゃん、レベルって魔物なんかを倒す事で上がるんじゃないんですか?」
『『いや、少々違うぞ?』』とタラちゃんは教えてくれる。
確かに魔物を倒せばレベルは上がる。上がる事は上がるのだけど、例えばラクー1匹倒したところで、ポンとレベルが上がる訳ではない様だ。
レベルが上がるというのは、魔物なんかを倒したから、では無く戦闘を行い倒す事によって起きる自身の体や精神の消耗、その後に起こる、もしくは起こす、体や精神の回復、もしくは超回復行為による恩恵とでもいうものみたいだ。とにかく、その恩恵がレべルアップという目に見える形で起こっているという事らしい。勿論戦闘を経験しそれを積み重ねていくという事も大事なことみたいだけど。
確かに、戦闘したので経験値入りました~、経験値が貯まったのでレベルアップです。
まあこれは分かる。
レベルアップしたので色んな力が上がりま~す。
これが謎だった。
これを戦闘後の心身の疲労に伴う超回復、所謂筋トレ後の超回復と考えた場合、うん、しっくりくるな。
これを今日の特訓に置き換えたら、成程、急激なレベルアップも頷けるね。
皆を見るとレベルアップした事で一騒ぎになっていた。とりあえず考えるのをやめて、皆のカードも見せてもらうことにする。キャイキャイと自分達のカードを見せあいっこしながら騒いでいる皆に混ざる。
雑談して盛り上がってる女子達に突撃する気分だ。
『『わしも称号が増えとるぞ!』』
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タラ・スクイーズ レベル512
神代の輝紅竜・退ける者・彼岸に並ぶ者
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神代の輝紅竜は分かる。『彼岸に並ぶ者』というのは、パーティーメンバーだからかな?
というか『タラ・スクイーズ』って、偽名とはいえ似合いすぎだろ。騒げるタラちゃんって。
そのまま、アイーシャのカードを見せてもらう。
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アイーシャ・エル・ピオーネ レベル34
魔脈の見子・彼岸に並ぶ者
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「うわ!凄くあがってますぅ」
これは…、僕はレベルの上昇率が2倍になっている為、48の30%前後×2でレベル77に上がったのだけど、アイーシャも同じく6割程度レベルが上がっている。
元々のレベル差の所為なのだろうか、それか僕の上昇率が皆にも適用されているかだ。
『魔脈の見子』はそのまま魔脈を制御する見子だからかな?
続けてリゼルさんのも見せてもらう。
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リゼル・ラダニオ レベル48
双剣士・彼岸に沿う者
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おや、今度は『彼岸に沿う者』か、パーティーメンバーだからと思っていたらちょっと違うみたいだ。その違いが何かまでは分からないけど。
それにレベルの上昇率は4割ちょっとか…、僕の上昇率が適用されているわけでは無いみたいだね。やっぱり元々のレベル差かな。『双剣士』響きが格好いい。
レッドアイも見てみる。
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アイ・バンズロート レベル40
武器職人・防具屋・彼岸に沿う者
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元々のレベルを知らないので上昇率は分からないが、喜んでいるところを見るとやはりレベルの上昇は大きめらしい。こちらも『彼岸に沿う者』だ。武器職人と防具屋の違いは何なのだろう?熟練度の違いだろうか。
皆今日の特訓で一気にレベルが上がった。身体能力なんかも間違いなく上がっていると思う。どこかのタイミングで色々試してみたいところだけど、正直今日はもう眠い。
あ、ステータスの隠蔽もどうにかしとかなくちゃ。色々騒がれたくないし。
そして明日はいよいよタラちゃん以外の『神代の者』に会う事になる。
タラちゃんは喧嘩を売ってくるって言っていたけど、どうか穏便に済みます様に。
ちょっと文字数が多くなってしまいました。
次回は明日投稿予定です。




