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urban legend  作者: 子寝虎
12/15

urban legend

遅い!ほんっとに遅い!!

理由・読めばわかる!!!


では、いい夢を

  私は速見カザリ、22歳。普段は駄菓子屋の店長だが、本職は退魔師であり関東支部を管理するギルド「クロネコ隊」のマスターを務めている。

  まぁ人生いろいろあったわけで退魔師という最下層の職ながら「皇導十二宮」の1人としてれLeo とかいう称号も貰っている。いや、実際私は欲しくなかったのだが……。

  ちなみに退魔師がどんだけ最下層の仕事かというと、聖騎士や魔導師の傭兵や戦争で残った魔力因子の消滅、魔獣の処理など………つまり主な仕事は「お偉いさん方の後始末」がメインだ。

  それ故に魔導職の中で一番死にやすい。事実、私の仲間も多く死んだ。悪い言い方をすれば「お偉いさん方に無理やり殺された」ということだ。

  そういうわけで私は「魔導連盟」のお偉いさん方が大っ嫌いだ。



  だから、だからいつも連盟を避けていたというのに…………。




  どうして………こうなった。




  本来ならば私はジジィに他エリアでの仕事の許可を貰ってからさっさと山に行こうと思ってたのだが…………今は私は他の皇導十二宮達に囲まれた状態で椅子に座っていた。


  右からAriesのヨミ様、taurusのタケマル、Geminiのクウ、Libraのタチバナ、scorpioのアトラ、piscesのグラエド………………まぁ、よく集まったものだ。グラエドとかヨーロッパ支部担当だろ。

 


  「………………さて、これはどういうことか説明して貰おうか。クソジジィ」


  私は自分の目の前で堂々と偉そうに座っている爺さんを睨みつけた。


  「黙れ犯罪者が。マーリン様の前だぞ」


  ダン!私の左横に座っていたグラエドが机を叩きながら立ち上がった。

  静まった空気が一瞬震える。


  「グラエド、落ち着け」

  「…………………はい」


  マーリンがそう宥めるとグラエドはかるく謝りながら自分の席へと座った。

  そして周囲の空気が静まった途端、マーリンの重く深い声がこの空間を支配した。


  「さて、はじめようか」

  「急にそんなこと言われてもねぇ。私、急いでるんだけど、早くしてくんない?」

  「なぁに、すぐ終わるはずよ………お主が無実ならの話だがなぁ」


  無実……さっきグラエドも私のことを「犯罪者」と叫んでいた。

  私は呆れたようなため息をつくと肘を机についた。


  「で、私が何を犯したって?」

  「三年前のお前が起こした『大和事件』の事だよ。まさか覚えていないとかいうんじゃないよな」


  そう切り出してきたのは関西をまとめるギルド『祇園』のマスター、ヨミだ。


  「おやおや、京都の陰陽師様もご来店とは………よっぽど暇だったのでしょうね」


  私はヨミ様から発せられた言葉から逃げるため下手な冗談を口にした………が、効果はなかったらしい。ヨミ様は私の言葉を華麗に右に受け流し、「どうなんだ」と突っ張ってきた。

  私は深くつまらないため息をつくと「ええ、覚えてますよ」と答えた。

  大和事件………すごく簡単に言い表すと「魔導師大量殺人事件」だ。

  目的は魔導界の厄災「夢の住人」の排除と言われているやつのことだ。

  私は少しニヤリと笑うと机に対して前のめりな姿勢をとった。


  「まさか、その件で私はここでこんな状況になってるのかな?」

  「…………どう言う意味だ」

  「意味も何もその作戦の指揮官は私でなくてそこにいるクソジジィだってことさ」

 

  私がその言葉を唱えた瞬間、まるで魔法にかかったかのように私の周囲にいる皇導十二宮のほぼ全てが驚くようにマーリンの方に振り向いた。

  まぁ、ヨミ様とマーリン本人はそんなに驚いたようすではなかったが………。

  すると、マーリンはまるで自分についた埃を払うかのような声で答えた。


  「私がLeoに命じたのは『魔邪教の壊滅』だけだ。非合法魔導組織全ての壊滅も夢の住人の殲滅など命令しておらん。そんなことしたら人間界のバランスが崩れるからのぉ」

  「さてさてさてさて、どーですかねぇ」


  私はとぼけたような声で返すとマーリンのよぼけた眼玉を強く睨みつけた。


  「人間嫌いのあんたの口から人間を庇う言葉がでるとわねぇ……それにあの殲滅戦は夢の住人の処理が目的じゃあねえだろ」

 

  周囲の空気が完全に凍る音がした。すると、マーリンのよぼけた口がニヤリと音をたてじわりじわりとつり上がっていった。


  「なぁLeoよ、少し昔話をしよう」


  そう言うとマーリンは机の上で手をアーチ状に組み、その上に己の顔を乗っけるかのように前かがみになった。

  マーリンの冷たい冷気を纏った視線がカザリの眼を睨みつけたていた。


  「……………どうやって一夜だけで十を超える非合法魔導組織を同時に打ち滅ぼした。ソロモンの手を借りずに…………」

 

  まさか、ジジィがこの状況下で私に私自身の自慢話を求めてくるとは思わなかった。

  …………罠だろうか。だとしたら穴が浅すぎる。理由は単純で退魔師の作戦は一度行ったものは二度と使わないという風習があるからだ。だが、念のためぼかしておこう。

  私は脳内で何を言うか固めるとまるで放送原稿を丸暗記したアナウンサーの如く無表情で語り出した。


  「どうやってって、普段通りツーマンセルで組んで一組織に二チームずつ配置して片方を奇襲、もう片方を内部攻略に回しただけだが。なんか問題でもあったのか」


  マーリンの表情はあきらかに笑っていた。どうやら今の情報で何かを掴んだらしい。

  私は一言「面白くなってきた」と呟くと少し本気を出す覚悟を決めた。


  「………………大和事件。あれの本来の目的は、オーヴァーロードのdust Childrenを街に放つことだろ」


  普段、目の細いヨミ様の眼とマーリンの眼が必要以上に大きく開いた。…………どうやらビンゴのようだ。

  私はもう一発、敵の的の中心を射抜くために矢を弓にかけ解き放った。


  「urban legendを完成させ、何をするつもりだ…………マーリン様よぉ」

  「……………どこまで知っている」


  ようやくマーリンの表情が険しくなった。私は勝機を得た戦国武将の如くそのまま一気に敵の本陣に攻め込んだ。


  「魔邪教を壊滅させると同時に大量のdust Childrenとオーヴァーロード dust Children、そして夢の住人が街に解き放たれる。そして、狂気に満ちたやつらが大量の魔力因子をばらまく。それがtriggerとなりurban legendが発動する……とね。しかし、urban legendは発動しなかった。」


  周囲を見渡すとヨミとタチバナ以外はキョトンとした顔で聞いていた。

  どうやら、そのことに関わっていたのはごくわずかな人間のみらしい。

  私はかまわずに続けた。


  「あなたはこう考えた。私が邪魔したのではないかと。でもね、それは五割当たりで五割外れ」

  「どういうことだ」


  マーリンは眉間に大量のシワを寄せながら私を睨んできた。

 

  「urban legendとは単純にいってしまえば魔力因子をkeyにした連鎖爆発だ。だから大量の燃料、つまり夢の住人とdust Childrenの魔力因子と着火点、つまりオーヴァーロード dust Childrenの負の魔力因子が必要だ。それがうまい具合に噛み合わなければurban legendを完成しない…………。しかし、ある程度の量さえあれば小規模の爆発程度なら起こるはずだ」


  周囲から異様な怒りが伝わってきた。私は構わず続けた。


  「urban legendが発動しなかった理由は二つ。まずあの時、魔邪教が大量の魔力因子を帯電させることができる個体を作り出していたこと。それのおかげで街を覆っていた魔力因子のほとんどが奪われてしまったということ」


  二つ目を放つ前に一つ、深くつまらないため息をついた。そして、腹をくくるとまた口をひらきはじめた。


  「もう一つは、私がオーヴァーロードdust Childrenの1人だったということ。」

 

  周りのお偉さん方の目線が私に一気に集まった。

  私は守備が薄くなった王に王手をかけたのだ。自分という駒を犠牲にして……………。

 

  「貴様がオーヴァーロード dust Children!?冗談も休み休みいえ!」

  「私の名前は速見カザリ・ワーウルフ・オーヴァーロード………モデルは人狼だよ」

  「そんなことはいくらでもでっちあげられる!」


  グラエドは、綺麗にモブキャラっぽく吠えてきた。しかし、タチバナは私の魔力因子を察知したらしく吠えるグラエドに「落ち着け、どうやら嘘ではないらしい」となだめていた。


  「……………Libra。Leoの中身は間違えなくオーヴァーロードなのか?」

  「はい、taurus殿。彼女から一定値以上の負の魔力因子が確認されました。おそらく彼女はオーヴァーロードでしょう」


  それを聞いたタケマルは一言「わかった」というと自分の背丈の2倍もある刀身の日本刀に手を掛け、一気に抜刀した。


  シャン!


  広い空間に綺麗に乾いた音が響いた。 すると、その音に遅れを取るかのように私の後方に存在する柱が真っ二つに割れた。

  さすがタケマルというべきだろうか。taurusの名は伊達ではない。しかし、よくもまぁそんな低い背丈であんな化け物をふるえるよなぁ。

  私は少し微笑むと右手に重点的に魔力を集めた。


  「taurus …………私と殺りあう気?その身長で?」


  私は自分の手札をあまり明かさずに敵を挑発した。

  すると、タケマルは刀を構えなおし精神を統一し始めた。

  どうやら本気らしい。


  「最期に言い残すことはあるか」


  タケマルは私に対して問いかけてきた。

 私は少しくすりと笑うと「ない」とだけ答えた。


  「そうか、残念だ」


  タケマルがそう呟いた瞬間、互いに自分の机を踏み台にし、敵めがけて飛び込んだ。

 

  「ハァッ!」


  気合とともに放たれたタケマルの突きが私の頬を掠めた。

  頬を一筋の赤い液体が流れ出す。

  しかし、これはチャンスだ。私の攻撃圏内にタケマルの顔があった。

  私は、自分の右手に集めた魔力を解放させた。

  そしてそのままタケマルに対してクロスカウンターを決めた。







  ズドォオォオォオォオン‼︎‼︎‼︎

 

 






 広い空間につまらない轟音が響き渡った。

 

 



 


 

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