第七章 やおよろず屋のある箱
「君は変わった九官鳥だな」
キネムがカゴを突くと「君モ相当ダゼ。猫目ノオ兄サン」と九官鳥。
「ダイタイ世ノ中、変ワッテイナキャ意味ガナイ。ミンナガ同ジナラ進化ヤ変化、成長ナド望メナイシ、ソモソモ必要サエナクナルジャナイカ」
「真理まで説くのか。驚いたな。いや、まったく」
「ケレドモ、探シ物ガ『大切ナ物』トハネ。トンデモナイ嫌ガラセダ。オタクラ、ライバル店カラノ刺客カナンカ?」
「いいや、君のカゴを抱いている彼女を元の世界へ戻すのに必要なんだ」
「元ノ世界? デハコノ世界ハ何ダト言ウノダ」
九官鳥は首をもたげて真っ黒な瞳を私へよこす。私が返答に困っていると「マッ、オタクラガ何者デアロウト、我ガ、ヤオヨロズ屋ハ誇ヲカケテオ客様ガ求メル商品ヲゴ提供スルダケサ」
「お爺さんは部屋の中で何を探してるの?」
「大切ナ物。ヒヒフフ」
九官鳥は下手くそに笑って首を戻した。
そこへお爺さんが戻ってくる。
「随分と長い間、存在すら気に止めておりませんでしたが、案外早く見つかりました」
腰が曲がっているから引っ込んだお腹に添えるようにして両手でティッシュボックスのような箱を持っていた。
「その箱は?」
「私どもは開かずの箱と呼んでおります」
「その箱が僕たちの探している大切な物なんですか?」
キネムの問いに九官鳥が「ヒヒフフヒヒフフ」と笑った。
「大切ナ物ハコノ箱ノ中ニアル」
お爺さんが「どうぞ」と差し出した細かい模様の入った箱には本物か偽物かはわからないが大小様々な宝石が散りばめられ、それがランプの明かりに慎ましく輝いて綺麗だ。




