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ある夜の物語  作者: 星六
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第七章 やおよろず屋のある箱

「開ケテミルトイイ」


九官鳥に言われてキネムが箱を受け取って開けようとするも開け方が分からないようだ。


「鍵がかかっているんじゃないだろうね」


「イイヤ、鍵ハカカッテハイナイ」


「ダメだ。開かない。亜子もやってみる?」


私はカゴをキネムへ渡し、代わりに箱を受け取った。


ズシリと重たい箱。


箱の真ん中には下と上の境目がはっきりとあって、裏には蝶つがいもあるから開くのは分かるんだけどどんなに力を込めても一ミリたりとも開かない。

そこで箱をよく確かめてみる。


フタが開く仕組みに見せかけておいて実は押したり引いたりすることで上と下がずれて中身が取り出せるなんて仕掛けになっているのかもしれない。けれどもどこをどういじろうとも箱はビクともしなかった。


すると箱の側面、上の段に左から日、月、火、水、木、金、土と横に文字が彫られているのに気づいた。そして下の段には上の段の文字に相対して赤、黒、(空白)、白、茶、(空白)、鼠と文字があった。


火と金の二つの文字の下の段だけが空白で何も彫られていないのは何かの暗号なのかな。


「その箱にはある男の大切な物が封じられているとのことです」


言葉につられてお爺さんに目をやった。


「男は大切な物をその箱へ入れ、呪術を使って封じたと言われております。その箱に文字が彫られていることにお気づきでしょう。そして火と金の文字の下だけが何も彫られていない。そこへ正しい字を書き込めたなら箱は開くと言われております。しかし、その文字を書き込めるのも三度まで。しかも三度目に間違えてしまうと書いた者に世にも恐ろしい呪いがふりかかると言われております。興味に駆られた先代が二度挑戦いたしましたので残されたチャンスは一度だけ」


「壊して開ける事は考えなかったんですか?」


「考えましたとも。呪いの恐怖より興味が勝り、いろいろとやったようです。ですが叩こうが斬ろうが焼こうが箱には傷一つつきません」




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