第三章 ある夜の星の風祭り
キネムがそれを取って私に見せる。カゴの中にはごろごろとした石がいくつか入っていて夜空の星の光やつゆ草の青い光を捕まえてはキラキラとささめくように輝いている。
「ひょっとして、これが星のかけら?」
「うん。この人が採っているんだよ」
「どうやって?」
「それが面白いんだ。少し見て行こう。さぁここに座って」
カゴを返したキネムはおじさんから少し離れた所に座るように指示し、私はわけがわからないまま従って柔らかい草の上に腰をおろした。
昼間に蓄えたのか、陽の匂いがふんわりと香り立つ。
口数少ないおじさんは私たちに興味をなくし空を見上げた。私もそれに倣う。
北東から南の空へ向かって太い天の河のアーチがかかっていて、その周りにも砂金を巻いたかのような星々が白く黄色く赤く青く瞬いている。
それに加えて夜空をかける幾筋もの流れ星。
今日が十月の七日であろうと、七月十日であろうと目ぼしい流星群はないはず。
……なんて常識はここでは何の意味もないんだろうな。まったく呆れてしまう。
「亜子の笑顔を初めてみた。素敵な笑顔だよ」
キネムに言われて私は笑っていることに気付いた。そしてポッと顔が熱くなった。
きっと顔は真っ赤だろう。この夜が肌の色を隠してくれていると良いけど。
「構えた」
キネムの言葉どおり、イスに腰掛けたおじさんは手にした銃を空に向かって構えた。
そして照準を合わせているのか、銃身に顔を近づけている。
私は銃口の向く先、空に目を運んだ。幾万もの星々の張り付いた夜空にかける流れ星。




