第三章 ある夜の星の風祭り
お爺さんの横のベニヤ板で出来た台の上には大小さまざまな大きさの不定形の石たちが並んでいるのだけれど、その石がまた奇麗だった。
鉱石の類なのだろうけど、赤や黄や青や緑や桃や橙や白または黒までいろんな色の結晶石。
しゃがんで近づき眺めてみると細かく奇麗に輝いて、私の心を捉えた。
「星のかけらだね」
キネムも横に並んでしゃがむ。確かに台の端には『星のかけら』と達筆で書かれた札が乗っていた。
「なんて美しいんだろう」
「欲しい?」
「けど、お金ないから」
どこにも値札はないけど、きっと高いに決まっている。子供に買える額じゃないのは確かだ。
ところがキネムは「お爺さん。これ、いくらだい」と訊くから、私は一応、お爺さんからの返答を待った。が、返ってこない。
もう一度キネムが訊くけど返答はなく、背中を丸めたお爺さんはゆらりゆらりと身体を静かに上下させるだけだ。
「寝ちゃってるようだね」とキネムがこちらを向いて、顔を見合わせると私たちは苦笑いを交わした。
「私たちに買える値段じゃないんでしょう?」
「うん。そりゃもうね。それにこれらは観賞目的でここに置いてあるんだ。でも値段を訊くのは無料じゃないか。そうだ。星のかけらを採るのを見に行かない? ちょっとした見物なんだよ」
「今から?」
「すぐそこさ。行こう」
キネムは迷いもなくスクッと立つと歩き出す。少し強引だけど、そんなキネムにはなんとなく頼りがいがあって、それはそれで悪くない気がした。




