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追放された俺だけが、魔物の感情を見ることができる ~役立たずスキル《閲覧》で助けた魔物たちに慕われました~  作者: 浦嶋亀タロー


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7/13

《閲覧》スウ

翌朝。

木漏れ日が森を照らし、小鳥の鳴き声が静かに響く。

焚き火はすっかり灰になっていた。

荷物をまとめながら、昨日のことを思い返す。

レオンは現場を見ただけで、薬草を使ったことまで見抜いていた。

あいつは勘で話す男じゃない。

証拠を積み重ね、答えへ辿り着く。

昨日は誤魔化せた。

だが、次は分からない。

もし俺がフェンリルを助けたことが知られれば、討伐の妨害をしたとして罪に問われるかもしれない。

「……しばらくはリーフェルには戻れないな。」

小さく息を吐く。

それに、あの町では魔物は討伐するものだ。

俺のように助けようとする考え方は、きっと理解されない。

レオンたちだけじゃない。

他の冒険者も同じだろう。

俺にはもう、あの町に居場所はない。

そんな時、ふと思い出す。

以前ギルドで聞いた話だ。

この先には、亜人が暮らす町がある。

人間は歓迎されない。

それでも、ギルド登録された冒険者なら立ち入りは認められているらしい。

中には魔物と共に暮らす亜人もいる、と酒場で聞いたことがあった。

噂話かもしれない。

それでも、今の俺には他に当てがない。

「……行ってみるか。」

そう呟くと、足元で小さく身体が揺れた。

「ぷる。」

自然と《閲覧》を使う。

---

【スライム】

Lv.10

状態:健康

感情

・ごしゅじんと いっしょで うれしい

・きょうも やくに たちたい

・ぼく がんばる

---

「……。」

思わず見返した。

昨日までとは違う。

レベル1だった頃は、

・みず

・くるしい

そんな短い言葉しか見えなかった。

今は違う。

ちゃんと考え、気持ちを伝えようとしている。

「レベルが上がると、こんな風に変わるのか……?」

答えは分からない。

だが、一つだけ分かることがあった。

こいつは、俺と一緒に旅をするつもりらしい

「行くぞ。」

「ぷる!」

一人と一匹は街道を歩き始めた。

森を抜け、緩やかな坂を登る。

スライムは楽しそうに跳ねながらついてくる。

しばらく歩いたところで、俺は足を止めた。

「そういえば。」

しゃがみ込み、小さな青い身体を見る。

「お前、名前がないな。」

「ぷる?」

不思議そうに身体を傾ける。

昨日のことを思い出す。

フェンリルの血を吸い、血痕を消してくれた。

あれがなければ、親子は討伐隊に見つかっていたかもしれない。

「血を吸うスライム。」

「スウ…。」

「今日から、お前はスウだ。」

一瞬だけ動きが止まる。

そして。

ぷるっ!

勢いよく俺の胸へ飛びついてきた。

《閲覧》。

---

【スライム】

Lv.10

状態:健康

感情

・スウ……

・ぼくの なまえ

・ごしゅじんが つけてくれた

・うれしい!

---

「気に入ったみたいだな。」

「ぷる!」

俺は小さく笑った。

「よろしくな、スウ。」

スウは何度も嬉しそうに身体を揺らした。


昼を過ぎる頃。

街道の先に、高い石造りの城壁が見えてきた。

近づくにつれ、その大きさに思わず足が止まる。

「……ここか。」

人間の町とは違う。

門の上には獣耳を持つ見張り。

角を生やした者。

長い耳を持つ者。

様々な亜人が城壁の上からこちらを見下ろしていた。

スウがそっと俺の足元へ寄ってくる。

《閲覧》。

---

【スウ】

Lv.10

状態:健康

感情

・いっぱい いる

・ちょっと こわい

・でも ごしゅじんが いるから だいじょうぶ

---

「俺も少し緊張してる。」

そう言うと、スウは安心したように身体を揺らした。

一歩。

また一歩。

門の前まで歩み寄る。

すると、槍を持った狼獣人が静かに一歩前へ出る。

「止まれ。」

鋭い金色の瞳が俺を射抜く。

「人間が、この町に何の用だ。」

俺はゆっくりとギルドカードを取り出した。

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