感激と追撃
「星屑が………光を………吹き飛ばした………。」
誰もが何処と無く呟いた。
「よくやった!星屑!!!」
鍵矢が叫んだ。
…………が……反応が無い!
「星屑くん!しっかりして!」
光を吹き飛ばしたはいいがもう受け身をとる力すら無かった。
動かなくなった体は地面に向かい一直線に進んで行く。
星屑の脳裏に一つの言葉が浮かんだ。
死、だ。
死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死
<諦めて死ぬしかねぇよな……>
死体ぐらいはお前の物がいいだろ。
両手の指胸に叩きつける。
目の色がいつもの色に戻った。
痛みを、死を味わうのは俺。と言うことか。
クソッ……結局ダメダメだった。
なんにも出来なかった。あの男に仕返しする事も俺一人では出来なかった。
ここで死ぬのか……しかも……まぁもう、どうでもいいや。どうでも……。
それを見ていたコウは舌打ちする。
「バカかあいつは。簡単に死なせてたまるもんか。次元輪廻。」
次元の穴を星屑の真後ろに出した。
そして星屑はその穴に吸い込まれた。
穴が通じてるのは………。
「空ぁぁああ!?」
上に穴が繋がっていた。
星屑の落ちる向きは下向きから上に変わり、上に吹き飛ばされた。
そしてやがて、失速する。
「ここから落ちるのか……これ高さ…死ぬだろ。」
満面の苦笑いを浮かべ、背筋が凍りつく感覚を覚える。
が………コウはそこまで考えない男では無かった。
失速し、速度が限りなく0に近づいたとたん、穴を出し、屋上にワープさせた。
「星屑くん………。」
なんで一人で全て抱え込もうとしたの?
月美はそう続けるつもりだった。でも……。
着地に失敗し、「いてぇ…。」と言ってる星屑にコウは言った。
「てめぇがなんか抱えてるのは分かった。………でもな。一人で全部出来る人間なんていねぇ!妙に大人ぶって自分の友達を困らせんな。」
ギリッ、歯を食いしばる音が聞こえた。
「こんな事、誰かを巻き込めるはずないじゃ無いですか!あいつらの狙いは俺だ!なら………俺があいつらと闘うしか……。」
下を見ながら、星屑は言った。
顔を上げる事は出来なかった。その中、乾いた音が轟いた。
星屑は顔を上げる。
永………遠………?
目には涙をため、星屑の頬を叩いた手は紅くなっていた。
「なんで加那太は自分から答えを決めつけて、私たちを信用してくれないの?なんで私たちに中途半端にしか手伝わせてくれないの?
加那太は……加那太にはみんながいる。一人じゃ……だから…………」
そう。都伝部はこう言ってくれる。だからなんだ。だからこそなんだ。
そこまでしてくれる。そんな人たちが本物の「死」をみるかも知れないんだ。言えない。言えるはずが……………
「星屑…お前は……何がしたい?」
鍵矢の声が耳に届いた。それは小さな声だった。でも、確かに聞こえた。みんなに聞こえた。
それほどはっきりとした言葉だった。
「お前は今まで、何を望んだ?どんな夢を追いかけた?何を俺たちに頼んだ?
それに比べて、俺たちは何をお前にした?
お前が一人で村雨と戦ったとき、俺たちは何をした?
お前が永遠を助けたとき、俺は止めをさしただけだった。
そんなお前が、少し何かを頼む事を誰が断れるんだ?誰が嫌がるんだ?
みんなお前がFMSについて調べてると知って、みんな自分からやったぞ。」
「だからこれ以上は迷惑………」
「もっと自分に自身持て!なんでお前はそうなんだ!?」
「俺は………誰も傷ついて欲しくない。」
「俺たちも、これ以上お前だけ に背負って欲しくない!信じろ!みんなを!都伝部を!」
星屑の頬を涙が横切った。
「…………信じて……頼んでいいんですか?」
「みんな、そう思ってるよ。」
一人では出来ないことが出来る。ここはそういう部活なんだから。




