表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/15

第6話 どれもこれも全部


【パーティー『気炎万丈』視点】


「結論から申し上げますと、このままクエスト失敗が続くようでは、貴方たちの冒険者ランクの降格を検討せざるをえません」


 ギルドの職員が、ダンジョンに戻ってきたシャーベたちにぶつけた容赦ない言葉。それに伴う、周りの冒険者からの冷ややかな視線。一連の出来事のインパクトは、シャーベの自尊心を傷つけるには十分すぎるほどだった。


「ユミナ! お前はこのパーティーから追放だ!」


 ギルドの建物から出るやいなや、シャーベは気炎万丈の4人目のメンバーであるユミナに罵声を浴びせた。1週間前に追放したリューオの代わりとして雇われた、身長150センチにも満たない小柄な女性の冒険者だ。


「え、追放って、何を言ってるんですか……?」


 ユミナは目をぱちくりさせている。パーティーに加入してから僅か1週間、パーティー内での働きも上々。そんなユミナが追放だなんて、普通はありえない。しかし、怒り狂うシャーベにそんな理屈は通じなかった。


「お前がパーティーに加入した途端に俺たちの動きが鈍くなった! 今まで上手くいってたことが急に上手くいかなくなったんだよ! どう考えてもお前のせいだろうが!」


「そ、そんな! 私は精一杯皆さんをサポートしてます!」


「黙れ! 黒級スキル持ちの雑魚が偉そうに口答えしてるんじゃねえよ! お前のせいでギルドの奴に説教されて、恥かいたじゃねえか!」


 罵声を浴びたユミナは大きく息を呑み、両手で口を覆った。あまりにも理不尽なシャーベの物言いを受け、ユミナの大きな黒い瞳にじわりと涙が滲んでいく。


「……そんな……私は自分の出来ることを精一杯やったのに……酷いです……」


「黙れ! どれもこれも全部お前のせいだ! さっさと失せろ!」


「そうよ! 役立たずな冒険者なんていらないから!」


 様子を見守っていたアリネも同調する。それが引き金になったのか、ユミナはわーっと泣き出し、どこかに走り去ってしまった。


「クソが……。気分が悪い、飲みに行くぞ」


 周りの野次馬を追い払いながら、シャーベはずんずんと歩き出した。慌ててアリネも後に続く。シャーベの背中を追いながら、ゴンドは違和感を感じていた。


(ユミナのスキルは黒級の『回復』……この1週間、サポート役としてのスキルの使い方、そしてユミナ自身の立ち回りに特におかしなところはなかった……とすると俺たちの動きが鈍った本当の原因は何だ……? 引っかかるな……)


 酒場に行き、酒を飲み始めてしばらく経っても、ゴンドの脳内からその違和感が消え去ることはなかった。シャーべがいい感じに酔い、怒気が薄れた頃合いを見計らい、ゴンドは「話があるんだが」と切り出した。


「何だよ」


「ここ1週間のことだ。前と比べて何かがおかしい。今までなら、あの程度の難易度のクエストを立て続けに失敗するなんてあり得なかったと思わないか?」


「だから、それはさっき追放したチビ(ルミナ)のせいだろうが。あいつが役立たずだったのが全ての原因だったんだよ」


 シャーベは不満げに言い、酒の入ったジョッキを傾ける。


「マジあの娘ムカつく。いつも可愛い子ぶってたしさぁ」


 酒のつまみを頬張りながらアリネも同調する。アリネは自分より美しい女性に出会うと、途端に不満げになるというのはここだけの秘密だ。


「まあそうかもしれないが、俺は別の可能性を考えている。リューオが実は役立たずじゃなかった、という可能性はないか?」


「はあ? ゴンド、お前何言ってるんだよ」


 シャーベは呆れた表情を浮かべる。しかし、ゴンドがリューオ追放以前と以後の違い、それを踏まえた自分の考えを細かく説明すると、「なるほどな……」とシャーベは態度を一変させた。


「たしかにリューオの奴、いつも武器を強化してるとか、場面ごとに最適な立ち回りをしてサポートしてるとか、色々言ってたもんな。あの時は馬鹿な奴だと思って聞き流してたが……あれが全部本当だった可能性もあるのか」


「じゃあ、私たちの武器の性能が露骨に落ちたのも、そもそも上手く戦えなくなったのも、リューオを追放した影響ってこと? マジかー、じゃあリューオを呼び戻さないとね」


 アリネの言葉を聞いて、シャーベは盛大に舌打ちをした。


「クソが……追放した奴を呼び戻す羽目になるとはなぁ」


「あれ、でもリューオって今どこにいるんだろうね? それに、私たちのパーティーに戻ってきてくれるかな?」


「戻ってくるに決まってんだろ。田舎育ちのアイツを拾ってやった恩を忘れたとは言わせない。多少金を積めば絶対に戻ってくる。少し休んだらリューオを探しに行くぞ」


 シャーベは自信ありげに言い、その後3人は再び酒を飲み始めた。この時の3人はまだ知らない。リューオが神級スキルを覚醒させたこと、ミノタウロスと邂逅して勝利したこと、そして序列2位の騎士団長の心を掴んでいたことを……。


※第7話は2026年4月10日14時20分に投稿します。お楽しみに

昨日(2026年4月8日)、ずっと行ってみたかった近所の二郎系ラーメン屋のお店に行ってみました。麺量300gのラーメンを食べたのですが、絶品でした! スープの味が濃くて、麺も良い食感で、豚も美味しいし……! 最高でした! 二郎系ラーメン最高です! 本当は週に3回くらい通いたいほど美味しかったのですが、健康のことも考えて通うのは週1回に留めようと思います。ラーメンは正義(*^^*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ