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第20話 カオスな状況

※予定の時間より投稿が遅れてしまい申し訳ありませんm(_ _)m


「え?」


「な、なんだと!? どういうことだ!?」


 僕が声を漏らしたその時、傍のミラエルが驚きを露わにした。ミラエルは僕とネミアを交互に見比べている。


「リューオ! ネミア王女と何があったんだ! 聞いてないぞ!」


「いや、ちょっと待ってください! 僕は何もしてませんよ!」


 ミラエルに鋭い視線を向けられ、僕は慌てて胸の前で両手を振った。


「何よそれ! 6日前のあの時、リューオは私に気持ちを伝えてくれたじゃない!」


 ネミアは顔を真っ赤にして、ぶーっと頬を膨らませている。


「な、何の話ですか! 意味が分からないですよ!」


「どうして惚けるのよ! 恥ずかしいのは分かるけど、私だって恥ずかしいんだから! 早く返事を聞かせなさい、リューオ!」


「さっきから何を言ってるんですか! 落ち着いてくださいよ!」


 ネミアが何を言ってるのかさっぱり分からない。僕が気持ちを伝えた? どういうことだ?


(本当に意味が分からないよ! ネミアは何を言ってるの!?)


《恐らく、6日前の救出作戦の際にリューオ様からかけられた言葉の意味を誤解していると推測します。12歳のガキですからね、無理もありません》


(ちょいちょい口が悪くなるのは何なの!? というか、僕、その時に何か変なこと言った!?)


《そうですね……『貴方を守るために戦わないといけないんです。貴方は大切な存在なんです』、この辺りでしょうか。この言葉をプロポーズと勘違いした可能性があります》


(はああああ!? プロポーズなわけないじゃんか!!)


《12歳ですから》


 俄には信じがたいが、神級スキルが今まで間違ったことを言った記憶はない。


「えっと……6日前に僕が、大切な存在、って言ったことと関係してる感じですか……?」


「当たり前じゃない! あの状況であの言葉、どう考えてもプロポーズに決まってるわ! 『貴方は大切な存在、僕は貴方を守るために生まれてきた、この命を貴方に捧げる』なんて言われたら、誰だって心を奪われるわよ!」


「そんなこと言ってませんよ!」


 記憶を勝手に美化しないでほしい!!


《12歳ですから》


 12歳だからって何でも許されるわけじゃない!!


「……」


 その時。ミラエルが無言で、僕の鎧の裾を掴んでいるのに気付いた。

 視線を向けると、ミラエルは何やら、縋るような、泣きそうな表情を浮かべている。な、何でそんな表情をするんだ。


 ……とにかく。このカオスな状況をなんとかする必要がある。ネミアはとんでもない誤解をしている。まずはその誤解を解くことから始めよう。


「はっきり言います。ネミア様は大きな誤解をしています。僕はネミア様にプロポーズしていません」


「はああああああ!? 何よそれ!? 嘘よ嘘! 絶対に嘘だわ!」


「嘘じゃありません! たしかに『貴方は大切な存在』とは言いましたけど、それは『守るべき対象』という意味であって、『心から愛している人』という意味ではないんですよ!」


「な……何よそれ!!! 紛らわしいわ!!! 女心を弄ぶのはよくないわよ!!!」


「女心を弄びたいなんて一度も思ったことはありません! 一旦落ち着いてください!」


「落ち着くなんて無理に決まってるじゃない! とにかく、まずはこの婚姻届にサインをしてちょうだい! 話はそれからだわ!」


 ネミアは叫び、懐から婚姻届の書類を出して僕に突きつけてきた。おいおい、正気か!?


「だから僕はネミア様にプロポーズしてないんですって!」


「知らないわよそんなの! 私は今日、リューオと結婚する気マンマンなんだから! いいからサインしなさい!」


「無理ですって! そもそも、女性が結婚出来るのは16歳から、って法律で定められてます! 諦めてください!」


「愛の前に年齢も法律も関係ないわ! おとなしくサインしなさいよっっ!!」


「だから無理ですってぇぇ!!!」



「……まさか、あんなことになるとは思わなかったな。心臓に悪すぎる」


 ハスブルク王家の豪邸から駅に向かう道中、ミラエルはぽつりと声を漏らす。


「僕が何気なくかけた言葉を、あそこまで誤解されるのは予想外でしたね……」


 僕は頭に手を当て、苦笑を浮かべた。


 あの後、求婚を迫るネミアを説得して場を収めるのに30分は要した。僕が「今ここで結婚するのは絶対に無理です。絶対、絶対に無理です」とはっきり言い切ったことで、ようやくネミアは折れてくれたのだった。


 そして場が落ち着いたところで改めて王家の方々からお礼を言われた。加えて、頼まれたのでフェアード教団についての情報を可能な限り共有したところ、王家の方々は強い危機感を抱いたようで、冒険者ギルドと聖帝騎士団への援助の強化を固く約束してくれた。

 ミラエル曰く、この約束を取り付けられた意義は極めて大きいようだ。王家の強力なバックアップがあれば、教団への対抗がしやすくなるという理屈は僕でもなんとなく分かる。


「リューオはあの時、どう思ったんだ?」


 その後駅に戻り、王都行きの機関車の客車に乗り込んだ直後。向かいの席に座るミラエルがぽつりと声を漏らした。その視線は車窓の向こうに向けられている。


「え? あの時というのは……」


「ネミア王女に求婚を迫られた時だ」


「ああ、あの時はとにかく驚きました。何を言ってるんだ、って感じでしたよ」


 尚もミラエルの視線は車窓の向こうに向けられている。その表情からはいまいち感情が読み取れない。


「求婚を断ったのは、ネミア王女が12歳だったからか? 仮に王女が16歳だった場合は、求婚を受け入れていたのか?」



※第21話は2026年4月24日19時40分に投稿します。お楽しみに

いよいよ明日は、妹とポケモンカードで戦う決戦の刻!


この後カードショップに行ってデッキに必要なカードを揃えに行きます!


妹よ、震えて眠れ( *`ω´)

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