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第16話 拒否権

【シャーベ視点】


「……ふざけんなよ……クソが……あの野郎……」


 ネミア王女救出作戦が決行されてから2日が経過したある日、シャーベは1人、酒の入った瓶を片手に、街外れの裏路地を彷徨っていた。


「あいつだけあんな良い思いをしやがって……絶対に許さねえ……」


 シャーベは怨嗟に満ちた呟きを漏らし、瓶を傾けて酒を摂取する。前まで傍にいたミリネとゴンドは、今はもうシャーベのそばにはいない。


 2日前、シャーベはミラエル・ソードフレアに遭遇した。そして、リューオを虐げ、追放したことを公衆の面前で責められたのだった。

 最推しとして崇めていたミラエルに、冒険者ライセンスの剥奪を宣言され、さらにリューオと腕を組む姿を見せつけられた。シャーベのプライドが木っ端微塵に叩き潰されたこと、『気炎万丈』が解散に追い込まれたことは言うまでもない。


 その出来事にミリネとゴンドはショックを受け、自警団の支部へ自ら足を運んだ。つまり自首だ。自首をすれば、幾分かのペナルティの緩和は期待出来る。2人は自らの過ちを自覚した上で、潔く自首する道を選んだのだった。

 

 しかしシャーベは、どれだけ2人に説得されても、頑なに自首を拒んだ。シャーベは2人と違って、最後まで自らの過ちを自覚しなかった。いや、出来なかった、というべきだろうか。


「おいてめえ、どこ見て歩いてんだ?」


 その時。シャーベは通りがかった1人の男と僅かに肩がぶつかった。見るからに柄の悪そうな男は、シャーベを鋭く睨みつける。


「今ぶつかったよな? 薄汚え格好しやがって。まずは謝罪を……」


「黙れゴミがっっ!!!」


 シャーベは叫ぶと同時に、腰から下げていた剣を抜刀し、さらにスキルを発動した。シャーベの銅級スキル『炎撃』が発動し、剣を薙ぎ払うと同時に赤い炎が出現する。


「うおおっ!? 馬鹿野郎!! ダンジョン以外のエリアでの戦闘系スキルの使用は御法度だろうが!!」


 男は寸前で攻撃をかわし、驚きの声を上げた。


「黙れ黙れ黙れ!! 俺を馬鹿にする奴は全員殺してやる!!」


 シャーベは絶叫し、狂ったように剣を振り回す。あと少しで殺人を犯していた、という恐ろしい事実を認識出来ていない。

 プライドをズタボロにされ、パーティーの解散をよぎなくされ、憂さ晴らしで大量の酒を摂取している今のシャーベに、まともな思考力は備わっていなかったのだ。


「イかれてやがる……! 自警団に通報するからな! 覚えとけよ!」


 男はそう言い残し、全速力で逃げ出した。シャーベは舌打ちし、再び瓶を傾ける。そして酒が無くなるとその瓶を地面に叩きつけた。


「ふざけんな……俺はこれから冒険者として成り上がるはずだったのに……許さねえ……リューオとミラエル・ソードフレアは絶対に許さねえ……」


 お門違いの恨み節を吐きながら、再び足を動かそうとしたその時。物陰から様子を見守っていた1人の女性がシャーベに声をかけた。


「はじめまして、お話ししたいことがあるのですが」


「ああ……? 誰だてめえは……」


 シャーベは振り向き、謎の女性を睨みつけた。白いローブを纏う背の高い女性は、怪しげな笑みを浮かべている。


「私はフェアード教団のグルムと申します」


「フェアード教団……? ああ、過激なことをやってる連中か。そんな奴が俺に何の用だ」


「先程、貴方の呟きが聞こえてしまいまして……リューオ・アルブレードに恨みを抱いているのですか?」


「はあ? たしかに恨んではいるが、お前には関係ないだろうが」


「それが、関係あるんですよ。実は我々もリューオ・アルブレードに強い関心を抱いております。我々と手を組めば、貴方はリューオ・アルブレードに復讐することが出来るでしょう」


 グルムは言い、口角を上げた。これには、さしものシャーベも訝しげな表情を浮かべている。


「何言ってるんだ、馬鹿なんじゃないのか」


「我々フェアード教団は、新世界を創造するために様々なことを行なっています。その1つが兵器の開発です。人間を改造して兵器にすることで、我々の邪魔をする人間を排除出来る。そして、ベースとなる人間がより強く、深く、黒いネガティブな感情を抱いているほど、より強力な兵器になることが研究で明らかになっています。リューオ・アルブレードに強い負の感情を抱く貴方は、兵器のベースとしてこれ以上ないほど適任というわけです」


「いい加減にしろクソ野郎、さっきから訳の分からないこと言いやがって。殺してやる」


 そこでシャーベは怒りの頂点に達し、グルムを殺さんと剣を突き出した。グルムは素早い身のこなしで攻撃をかわし、瞬きの間にシャーベの首に手刀を叩き込む。あっけなくシャーベは気絶し、地面に倒れ込んだ。


「私たちに目をつけられた時点で、貴方に拒否権はありませんよ。貴方は最強の兵器になり、我々のために働く運命なんですから」


 シャーベを見下ろすグルムの顔には、歪んだ笑みが浮かんでいた。




【キャラクターを軽くおさらいしちゃおう、のコーナー(^○^)】


・リューオ・アルブレード

主人公。序列不明のDランク冒険者。スキルは白級の『武器強化』と神級の『武器錬成』。ミラエルの心を掴んでいることを本人は自覚していない。面食い。


・ミラエル・ソードフレア

ヒロイン。序列2位のSSランク冒険者。聖帝騎士団団長。スキルは金級の『聖剣』。巨乳。


・ノルド・ラローア

序列47位のSSランク冒険者。聖帝騎士団所属。スキルは金級の『鏡撃』。2人の娘を育てるパパ。


・レイン・フルビラージュ

序列13位のSSランク冒険者。聖帝騎士団副団長。スキルは金級の『幻影』。趣味は読書と散歩。


・ネミア・ハスブルク

ハスブルク王家の娘。12歳。甘いものが大好き。


・ユミナ・ブルークイーン(諸事情により名前変えました)

序列不明のDランク冒険者。スキルは黒級の『回復』。貧乳のロリ系美少女。シャーべたちにパーティーを追放されてからは、自分を迎え入れてくれるパーティーを探して奔走中。


・ミリネ・ピラスク(『気炎万丈』の元メンバー)

序列不明のDランク冒険者。スキルは銅級の『妖魔術』。自分より容姿が美しい女性を極度に毛嫌いしている。現在は自警団の留置場内で反省中。


・ゴンド・タラマール(『気炎万丈』の元メンバー)

序列不明のDランク冒険者。スキルは銅級の『鋼撃』。辛いものが好き。現在は自警団の留置場内で反省中。


・シャーベ・ディルブルーム(『気炎万丈』の元メンバー)

序列不明のDランク冒険者。スキルは銅級の『炎撃』。極めてプライドが高く、他責思考。



【スキルの序列】

第1位 ゴッドクラス

第2位 ゴールドクラス

第3位 シルバークラス

第4位 ブロンズクラス

第5位 ブラッククラス

第6位 ホワイトクラス


※第17話は2026年4月20日9時20分に投稿します。お楽しみに

ポケモンチャンピオンズのランク戦でレート1700に到達しました!


嬉しい(^○^)

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