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プリローダ⑩

マォ達が王都から戻って数週間、季節はすっかり秋めいている。

せっかく植えた夏野菜はマォが居ない間に収穫が終わり、今の畑には秋に収穫する物が植えられていた。


キャベツ・ブロッコリー・カリフラワー・人参・蕪・大根菜・インゲン・枝豆・茄子・南瓜


南瓜は夏に引き続き秋にも採れるが、他の野菜はマォが居なかったのでオルガが選んで植えたものだ。

土壌は亀さんパワーで追肥が要らないほどフカフカで良質なままだ。

トードワーム達もひそかに貢献している。


「おかん、相変わらず畑やりよんじゃねぇ」

「オルガと一緒にやりよるよ。ああ、玄武さんも一緒にかな」

「玄武さん?」

「ほっほっほっ。儂の事じゃのぅ」

「「 うわぁ! 」」

「だーかーらー、急に出てこんでくれる?・・・」

「すまぬな」にっこり

「今はアストータスって魔獣なんじゃけどほら、あれよあのガ〇ラ」

((( ガ〇ラで通じるのか? )))

「あー、コイ〇ングの仲間の!」

((( 通じるんだ。そしてコイ〇ングってなんだ?! )))

「今はここの守り神的なことやってくれよるん」

「へぇそうなんじゃ、玄武さんよろしく~」

「いやよろしく~じゃないんだわ。ちゃんと挨拶しんさいや」

「したじゃん」

「あのさ、仮にも亀さんなんよ」

(おかん、なんか違わないか)

「うん亀だね」

「 ・・・ 神だね。玄武さんは仮にも神なんよ。

 しかもぶち世話になっちょるんよ、儂もゆっちゃんも。

 じゃけぇちゃんと挨拶しんさい」

((( なんか千秋殿とゆっちゃんが親子だと納得が・・・)))

「ゆっちゃんがお世話になったんならちゃんとせんにゃあいけんね。

 娘のゆっちゃんがお世話になりありがとうございました!

 ついでにうちのおかんもお世話になりありがとうございました!

 今後は私もお世話になるかと思いますので宜しくお願いしまぁす!」

((( ついで?マォはついでなのか・・・ )))

「うむうむ、よしなにのぅ。ところでじゃがなぁ。

 我 収穫祭にはアップルパイとパンプキンパイが食べたいので頼むのぅ。

 ではまたの、ほっほっほっ」

「「 ・・・ 」」


「おかん、玄武さんて食いしん坊?」

「いやそんなこたぁないと思う、たぶん」

「まぁええわ、ほんで今日は何するん?」

「そろそろ冬の準備始めんにゃあいけんけぇ千秋も手伝いんさいよ」

「ほいほい。何すりゃええ?」

「誰かと一緒に山菜摘みに行ってくれん?」

「わかった、じゃあアシーナさん一緒に行ってもろぉてええ?」

「私でよろしければ喜んで」


千秋はすっかりと此処に馴染んでいて、特にアシーナと仲が良いようだ。

山へ向かう2人を見送ってマォは自分の作業へと移る。

冬の保存食として乾燥野菜やドライフルーツ、水煮の瓶詰などを作っておく事にしたのだ。

マォは保存箱を持っているから生の野菜も保存できる。

だが全員が持っている訳ではないし、住人が増えれば消費する食材だって増えるしコルディの手間も掛かる。

少しでもコルディの手間を省くべくマォ達親子3人は自炊している。

乾燥野菜や水煮の瓶詰めは半加工品になるのでコルディも少しは楽になる。


大根・人参・牛蒡・薩摩芋・南瓜・茄子・ズッキーニ・きのこ類

きのこ以外は薄めにスライスし重ならない様に網の上で広げて並べる。

風通しの良い場所で半日天日干しすれば完成する。


水煮の瓶詰の場合は少し固めで火を止める。

瓶に移した後に蓋は緩めにしておき瓶ごと湯煎にかけると中の空気がコポコポと抜けていく。

抜け終わったら蓋をきつく締めて火を止めれば完成だ。


マォは小豆を多めに、かなり多めに瓶詰にした。

前回の餅つきで食べそこねたのもあれば、今年は千秋が居る。

マォと同じく千秋も餅が好物なのであっと言う間に無くなりそうな予感がするのである。

今年こそは食べ損ねてなるものかと心に誓うマォだった。


豆類と栗、トマトを大量に水煮し、瓶に詰め終われば空は見事なオレンジ色になっていた。

さすがに疲れたなと腰を伸ばしていると満面の笑みで戻ってくる千秋とアシーナの姿が見えた。


「おかーん、見て!大量!」

「おかえり。何採ってきたん?」

「つるりん茸と待つだけとびっくり」

「??? ごめん、さっぱり分からん」

「じゃろうと思った。

 つるりん茸ちゅうんがうちらで言うなめこみたいなん。

 待つだけっちゅうのが松茸みたいなん。但し顔がついちょる」

「ぶっ。顔ってなんなん・・・

 顔があったらそれはもお松茸じゃなくて魔物なんじゃないん?」

「そそ、最初は魔物なん。それがテコテコ歩きよんじゃけど

 地面に腰まで潜ってしばらくしたらキノコになるんよ」

「まさか・・・」

「キノコになるまで待つだけ。じゃけぇ名前も待つだけなん」

「駄洒落かよ!」

「私も最初そう思ぉた」(笑)

「そうなるとなんかびっくりも予想が・・・」

「まぁ栗の一種なんじゃけどね。

 見た目は普通に栗なん。イガにもはいっちょるし。

 じゃけど驚かせんと実が取り出せんのんよ。

 じゃけぇびっくり」

「 ・・・ 

 儂が考えたんよりもオヤジギャグじゃった・・・」

「おかん、何考えたん?」

「びっくりするくらい大きい栗かと・・・」

「あー、そっち系・・・

 まぁ味はぶちうまいけぇ大丈夫よ。

 おかん、栗きんとん食べたい」

「えらい唐突じゃね・・・」

「だってさ、モンブランみたいなんはあったん。

 じゃけど栗きんとんは探しても無かったんよ。

 ナイってなるとよけぇに食べとぉならん?」

「なるね・・・」

「じゃろぉ。じゃけぇ作って」

「冬になったらね」

「なんで?今じゃだめなん?」

「栗きんとんって栗だけじゃのぉて薩摩芋も使うん。

 その薩摩芋の収穫は来週あたりかな。

 収穫した後は冷暗所でしばらく寝かせんといけんのんよ」

「なんで?」

「寝かした方が甘くて旨いん」

「そぉなんじゃ、残念じゃけどそれまで待とぉ」

「そうしんさい。

 栗だって薄い塩水に一晩漬けちょかんにゃ虫がおったら困るし」

「あー、そうじゃね」

「取り合えず今日は松茸、じゃなかった。

 待つだけづくしの料理にしようか」

「じゃったらあれがええ。土偶焼き」

「 ・・・ 

 あんたそれまじっちょらん?

 土瓶蒸しとホイル焼き」

「そう、それ!」


土偶を焼いてどうすると思うマォである。

ついでだからアシーナにも食べて行くよう声を掛けた。

幸い土瓶もダンジョン産があったりする。何故と思わなくもないが突っ込んだら負けだ。

なんせここは異世界。そう思う事にしたマォである。


夕飯は豪華にも待つだけメインのキノコ御飯と土瓶蒸し、サーイラと言うサンマに似た味の川魚の塩焼きと待つだけのホイル焼きならぬ和紙でくるんだ奉書焼きだ。

この和紙はマォが障子に使いたくて作ってみた試作品である。

子供達が小さい頃に自由研究として作ったのを思い出して作ってみたのだが、ちょっと厚いが出来るには出来たのだった。

ただ手間暇がかかるので障子には無理だと諦めた。


「うっまぁ~!おかん、ぶち旨いね」

「うん、旨いね。秋の味覚って感じじゃぁ」

「ンマーねぇ」

「こういった食べ方は初めてだ」

「こっちじゃとどうやって食べるん?」

「肉と一緒に串焼きかスープだな」

「「 もったいなっ!! 」」

「確かにこの食べ方を味わってしまうと串焼きやスープにはもったいないですね」

「まぁ年に1回のお楽しみって事で」

「じゃねぇ~。でもさ、おかん。なんか家の外が騒がしい気がするんじゃけど」

「シーッ! 気付かないフリしんさい。はよ喰わんにゃ無くなるよ?」

「ねぇね、しぃー」

「そうだな、チアキ急いで食べろ」

「お兄とガイアまでどうしたん? あれ、アシーナまで掻き込んじょるし」


千秋が不思議そうにしているとバンッと戸が開けられルークとダルクが駆け込んできた。


「マォ!私の分は?!」

「マォ殿!私のもありますよね?ね?」

「ある訳ないだろ」

「あ、ルーク様釜に少し残って、ああぁぁぁぁ」

「やる訳ないだろう」

「そんな、アルノー。私とアルノーの仲ではないか」

「どんな仲だよ・・・」


ポカッ ポカッ


「「 いったぁ・・・ 」」

「人が飯食ってるときに雪崩こんでんじゃねぇ! 毟るか?」

「「 ひっ、すみませんでした! 」」


なんとも騒々しく、せっかく秋の味覚を味わっていたのに気分が台無しになったマォ達であった。

なお数日後に其々が1本づつ待つだけを持ってきたので仕方が無いと作ってやったマォである。

読んで下さりありがとうございます。

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